霞ヶ浦導水事業差止め裁判 原告団/弁護団 声明
7月17日に、水戸地裁で那珂川流域の漁協が霞ケ浦導水事業の工事差し止めを求めた裁判の判決がありました。原告および弁護団が発した声明を許可を得て以下に転載します。
原告団声明
2009年3月に那珂川水系5漁協が原告となって提起した霞ヶ浦導水差止め裁判は、5年9ヶ月の長きにわたる裁判闘争の末結審し、本日、水戸地方裁判所で原告らの訴えを退ける判決が言い渡された。
導水事業で那珂川の漁業資源が損なわれるという私たち漁業者の主張を受け入れなかった水戸地裁の不当判決に、私たちは満身の怒りを込めて抗議する。そして、この判決が、事業を推進する国とともに、歴史によって裁かれる日が必ず来ることを私たちは確信する。
那珂川は、先祖代々にわたり栃木・茨城の流域に恵みをもたらしてくれる母なる川であり、この豊かな川を孫子の代まで変わらない姿で残したいという思いが私たちの原動力である。こうした私たちの思いは、広く市民の共感を得ており、今後もより一層の支援が広がっていくことであろう。
私たちは、これまでの皆様のご支援に深く感謝しつつ、不当判決に負けることなく、最後の勝利まで戦い抜く決意である。
2015年7月17日
霞ヶ浦導水事業差止め裁判原告団一同
弁護団声明
本日、霞ヶ浦導水差止め裁判で、水戸地方裁判所は原告らの訴えを棄却する不当判決を言い渡した。
本判決は、漁業者を無視して進められる何の利益もない無駄な公共事業を司法が追認したもので、水戸地裁には無駄な事業から内水面漁業を守ろうという勇気の一片もないことが明らかとなった。行政追随の水戸地裁に厳しく抗議するものである。
同時に、こうした不当判決を前にしても、長年にわたり団結を維持し、裁判勝利のために奮闘した、原告ら那珂川関係漁協の組合長をはじめとする関係者の努力に対する評価は揺らぐものではなく、弁護団からも心からの賛辞を送りたい。また、原告らの裁判闘争に有形無形のご支援をいただいた評価委員の専門家各位、市民団体・個人のみなさんの多大なご支援にも心より御礼を申し上げる。
そもそも霞ヶ浦導水事業は、事業の効果も必要性もない無駄な事業である。一審の審理で、国側の専門家証人は「幾ら導水が頑張っても、水質を改善することはできない」と証言するなど、導水事業が霞ヶ浦浄化に役立たないことが明らかになった。また、国土交通省の小島証人の尋問では、国土交通省が関東各都県で水余りの現状にあることを無視していることが明らかとなり、水需要が増加する要因をただの1つもあげることができなかった。
他方、導水事業では、アユ・シジミを始めとする漁業資源が被害を受ける。国が取水停止しない12月以降にも少なくないアユの仔魚が降下しており、これらが吸い込まれればアユ資源に重大な影響がもたらされると考えられること、導水事業の取水により涸沼が高塩分化・貧酸素化し、涸沼のシジミの生息環境を悪化させると考えられること、こうした懸念は証拠上十分に裏付けられた。
弁護団は、国が一審での原告らの主張内容を真摯に検討し、ただちに導水事業を中止することを強く求める。また、導水事業を推進する立場に立つ地元自治体が、真に地域住民の利益を守る観点から、推進姿勢を転換するよう求める。
弁護団としては、このたびの不当判決に屈せず、控訴審で必ずや勝利するために全力を尽くす決意である。
2015年7月17日
霞ヶ浦導水事業差止め裁判弁護団
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