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2013年3月16日 (土)

利根川・江戸川河川整備計画原案への公聴会意見③ 

国土交通省関東地方整備局は、2013年2月24日から26日まで、「利根川水系利根川・江戸川河川整備計画(原案)」に対する公聴会を開催されました。利根川流域市民委員会関係者が公述した内容を当人の許可を得てご紹介します。
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利根川水系河川整備計画原案への意見(パブリックコメント)
2013年2月28日  埼玉県所沢市 河登一郎

0. はじめに: ご送付頂いた膨大な「原案」に専門的な立場からコメントする知識はありませんので、1人の国民/納税者として総括して意見を申し上げます。

1. 民主的な手続きに従って公正・オープンな検討を行った上で計画を策定して下さい:
「有識者会議」を1回でも傍聴すれば、民主的運営とは程遠い実態は一目瞭然ですが、以下具体例をいくつか列挙します。

(1) 委員の人選が公正でありません。事業推進者たる国交省がご用学者を密室内で選び、予算とポストを与えて国交省シナリオのお墨付きを与える茶番の連続です。

(2) 今回は公開されましたが、八ッ場ダムの検証会議など非公開のケースも珍しくありません。

(3)昨年9月以降の有識者会議は、民主党政権による数少ない政治主導で批判派の学者が2名(逆も1名)参加され、目標流量などの妥当性に関して科学的な疑問を出されました。行政側は説得力ある反論ができず、国交省は有識者会議を直前になって9回も中止し、議論半ばで打ち切って勝手に「原案」を作成してしまいました。

(4)この種の会議では事務局の役割が大変重要ですが、有識者会議では国交省職員が勝手に仕切って長々と行政案を説明し「討議」時間を短縮し予定された結論に誘導するだけでした。ご用学者たちが行政の振り付け通りに尻尾を振っている実態を国民は見てしまいました。

(5)利根川水系河川整備計画は、本来、相互に関連する5つのブロックを総合した計画です。「原案」は利根川江戸川本川だけを対象にしており、河川法の規定に準拠した「利根川水系河川整備計画」ではありません。 このまま強行することは違法だと思います。

2. 客観的且つ科学的な事実をふまえた議論を実行し、可能な限り計画に反映させて下さい: 
ここでも有識者会議の実態は、科学的な事実をふまえた「議論」が行われていません。

(1) 日本学術会議は、国交省が提示した実績/目標流量や基本高水を「一部根拠不明」と指摘しながら「全体として妥当」と評価しました。これに対して、隠されていた国交省資料を基にした科学的な疑問に対して学術会議委員は反論できず、関係ない知識を列挙した挙句、「私の論文を読めば分る」。なんという傲慢さ!何たる思い上がり!頭の悪い学者は議論に負けると「権威」に逃げ込みます。悪徳学者と権力が癒着すると悪事につながります。

(2) 国交省は、ダム必要論を導くために、公文書を偽造し、説明資料をねつ造し、都合の良い資料は誇張、不都合な資料は隠蔽・ムシ・・・「科学的」とは対極にあります。

3. 行政運営の基本である「最小経費で最大効果」を上げる政策を目標にして下さい:

(1) 終戦後70年近く経過し、その間全国に設置した膨大な基礎インフラ(道路・橋梁・港湾・トンネル・ダム・空港・学校・公共施設など)の多くは老朽化しており大規模な修理や更新時期を迎えています。先日の中央道笹子トンネルの天井崩落事故は起こるべくして起こった人災で、7名もの尊い生命が失われました。

(2) この間、国家財政は世界にも類を見ないほどの借金王国になってしまいました。実態はギリシャより深刻です。返済義務はこれから人口が激減する将来世代の負担になります。

(3) このような状況の下、今後の公共事業は、巨額の新規事業は原則として中止し、老朽化した基礎インフラの修理・更新を優先し、併せて可能な限りコストの安い方法を選ぶなど抜本的な見直しが不可欠です。

(4) 原案に示された8,400億円は過小評価で2倍以上かかります。完成までに数百年かかるスーパー堤防を入れれば正確な算定はできません。有害無益且つ高価な人工建造物、例えば、八ッ場ダム・霞ヶ浦導水事業・高規格堤防、首都圏氾濫区域堤防強化事業などは即刻中止すべきです。ムダの塊である個々の事業に関しては他の論者のご指摘を参照して下さい。

(5) 発注方法の問題もあります。多くの工事や契約が事実上の談合や天下り先への随意契約・指名入札など独禁法違反事例の状況証拠が無数にあります。血税浪費の伏魔殿です。

4. 流域住民の安全と生活再建支援が何よりも優先して配慮されなければなりません:

(1) 地元住民の生活再建を支援する法案を早期に立法化すべきです。

(2) 火山の溶岩を中心とする脆弱な地盤がダムで水に浸かれば崩壊する可能性が高いことは多くの専門家が強く警告していますが、その対策は不充分です。不幸にも予想が的中した場合国交省は「想定外」「昔のことは忘れた(注)」で責任を取らずに済むでしょうが、犠牲者は住民です。(注):奈良県大滝ダムで地元に対して「絶対安全」と断言した現場責任者がダムによる亀裂で村民が仮設住宅へ移転が避けられなくなった際、栄転先で受けたTVの取材に対する発言。

(3) 堤防の弱い部分の補強・内水氾濫の可能性が高い場所の対策が喫緊の課題です。

5. 環境保護への配慮と文化財保護の視点も重要です:

(1) あの美しかった八ッ場ダム予定地一帯の景観は既に大量のコンクリートで切り刻まれてしまいました。この事実はもはや永遠に取り返しがつきません。

(2) あの醜悪な人工物と富栄養化して悪臭を放つ薄汚い水を貯めたダムでは観光業はなりたちません。「原案」の環境評価は全く不充分です。日本中にできたダムと河口堰のために日本ウナギが絶滅危惧種に指定されてしまいました。

(3) 治水・利水の必要がないことと有害・危険であることを客観的に評価すれば、流域全体をラムサール条約に登録し、同時に天明の浅間山噴火で江戸時代の生活がそのまま残った遺跡を東洋のポンペイとして世界文化遺産に登録できるとすれば、美しい日本の観光資源としても非常に意義深いことだと考えます。

6.おわりに:

(1)今回提起された問題は、ダム推進か反対かという単純な図式ではありません。この厳しい国家財政の下で、国民の税金をどのように使うべきかと云う国民の選択です。示された原案のような形で血税を浪費する余裕が我が国にはありません。

(2)利権で汚れた公共事業に対して、心ある国民は自分の時間とエネルギーと経費を使い、直接の見返りは求めず真剣に見直しを求めています。志を共有する専門家・学者・弁護士・メディア・政治家の方々の協力を得ながら努力しています。

(3)一方、なりふり構わず推進を画策している人々は圧倒的に利権受益者です。

(4)私は官僚に期待をつなぎたい。ぜひ行政内部からも改革を進めて下さい。官僚の中にも問題意識を共有している方は多数おられます。権力に擦り寄って利権を求める一部企業や政治家に対して、公務員の誇りをかけて正しい行政を貫いて下さい。関西では民主的な行政で一部のムダなダムは止まりました。まだ間に合います。

以上

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