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2013年2月23日 (土)

国交省のパブコメ宛名アドレスに誤り。    要注意!

利根川水系の一部区間の河川整備計画(原案)パブコメ開始
呼びかけをしましたが、国交省が案内したアドレスに誤りがありました。

公聴会の公述人の〆切りはすでに過ぎています。
間違ったアドレスで公述に応募した方は
河川計画課まで早急にご連絡と申込みを!
誤ったアドレスにすでにパブコメを出した方は再送を!
まだの方はこれから意見送付を!

国土交通省 関東地方整備局 河川部 河川計画課
〒330-9724 埼玉県さいたま市中央区新都心2-1 さいたま新都心合同庁舎2号館
電話:048(601)3151(代表)

●提出先の抜粋
下記様式に書き込みの上、下記へ送付
(意見該当箇所の記入が困難な場合は「全体について」とお書き下さい。)
様式「tonegawa_public_comment.doc」をダウンロード

○ 郵送 〒330-9724 埼玉県さいたま市中央区新都心2-1
  国土交通省関東地方整備局 河川部河川計画課
「利根川・江戸川河川整備計画(原案)」意見募集 事務局 宛
○ファクシミリ 048-600-1436
○電子メール tone-plan3@ktr.milt.go.jp
正しくは (tone-plan3@ktr.mlit.go.jp)
件名:利根川・江戸川河川整備計画(原案)意見募集事務局宛と明記


「I」と「L」が逆です。ご注意を!!
誤tone-plan3@ktr.milt.go.jp
正tone-plan3@ktr.mlit.go.jp

 
原案等はこちらから↓
「利根川水系利根川・江戸川河川整備計画(原案)」に対する意見募集の実施及び公聴会の開催について 
■「利根川・江戸川河川整備計画(原案)」概要
http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000073035.pdf
  
  


2013年2月13日 (水)

利根川水系河川整備計画の策定に関する要請(7)(関東地方整備局の常軌を逸した方針変更を看過してよいのでしょうか) 

利根川流域市民委員会は2013年2月14日に開催される利根川・江戸川有識者会議に対し、7つ目となる追加要請を行いました。委員には事前送付を行い、会議当日の配布を依頼します。

--◇--◇--◇--◇--◇--◇

2013年2月12日
利根川・江戸川有識者会議
  委員 各位
利根川流域市民委員会
 共同代表 佐野郷美(利根川江戸川流域ネットワーク)
  嶋津暉之(水源開発問題全国連絡会)
  浜田篤信(霞ヶ浦導水事業を考える県民会議)
      連絡先 事務局(深澤洋子)TEL&FAX 略


利根川水系河川整備計画の策定に関する要請(7)
(関東地方整備局の常軌を逸した方針変更を看過してよいのでしょうか) 


利根川・江戸川有識者会議は10月16日に開催された後、中止が続き、今回ようやく再開されました。聞くところによれば、10月下旬から1月まで利根川・江戸川有識者会議は9回連続の中止であったとのことですが、このように非常識な会議運営が罷り通ってよいのでしょうか。

さらに、10月16日までの会議で治水目標流量17,000㎥/秒とその洪水流出モデルの是非について白熱した議論が行われ、その決着が付いていないにもかかわらず、関東地方整備局は今年1月29日になってその議論を無視して、治水目標流量の局案を前提とした利根川・江戸川河川整備計画原案を発表しました。そして、2月1日に「今後の予定」として、本有識者会議と流域住民の意見を聴取したあとの段取りを発表し、利根川・江戸川河川整備計画の策定まで一気にもっていく考えを示しました。

今までの経緯は踏まえずに自らの都合だけで物事を進める関東地方整備局の身勝手さにはあきれるばかりです。しかし、今回のことだけではありません。利根川水系河川整備計画の策定作業が始まってから、関東地方整備局の方針はころころ変わってきており、責任のある行政の組織であるとは到底思われません。

関東地方整備局がどのように方針を変えてきたのか、まず、策定作業の経過を振り返り、次に方針変更の内容を示すことにします。

委員の皆様が、この方針変更の問題を取り上げて、関東地方整備局に対し、明確な説明とその是正を求めることを要請します。


1 利根川水系河川整備計画の策定作業の経過

(1)2006年11月~2008年5月

ア 有識者会議
利根川水系全体の河川整備計画の策定を進めるため、利根川水系を五つのブロックに分け、それぞれに有識者会議を設置して会議を開催。
(利根川・江戸川有識者会議、渡良瀬川有識者会議、霞ケ浦有識者会議、鬼怒川・小貝川有識者会議、中川・綾瀬川有識者会議)
第1回 2006年11~12月 個別に開催(整備計画の基本的な考え方の説明と質疑)
第2回 2006年12月 個別に開催(第1回の意見への回答と質疑、今後の意見聴取) 
第3回 2007年2月26日 合同会議(パブコメ、公聴会、市区町村長の意見の紹介)
第4回 2008年5月23日 合同会議 (出された意見に対する関東地方整備局の見解)

イ 利根川水系全体の河川整備計画案のメニューを提示(第1回有識者会議)
治水安全度1/50 治水目標流量 約15,000㎥/秒(八斗島)を前提としたメニュー

ウ 関係住民の意見聴取(河川整備計画案のメニューについて)
① 公聴会 水系全体1会場、ブロック別18会場(2007年2月22日~3月9日)
  公述人119人
② パブリックコメント 応募数 313件(2007年1月10日~2月9日)

エ 河川整備計画の案をとりまとめるまでの進め方
関東地方整備局の説明(高橋河川計画課長)
「河川整備計画の原案作成前の段階で公聴会とパブリックコメントを行い、そのあと、出された意見に基づいて整備計画原案を作成して、再度、関係住民等から意見を聴いて原案を修正し、その修正原案について、再度意見をきき、そういったことを何回か実施して河川整備計画案を取りまとめる」(2006年12月18日 第2回利根川・江戸川有識者会議の議事録から)

オ 2008年5月23日「第4回有識者会議」の後の進め方
関東地方整備局の説明(柏木河川部長)
「きょうの御議論を踏まえまして、次回にはまた御議論いただくもとになります整備計画のたたき台をお示しをいたしまして、また、それを説明します基礎的な状況というのもできる限りわかりやすくお示しをして、また皆様の御意見を賜ればというふうに考えております。できるだけ早い時期に整備計画もまとめていきたい、こういうふうに考えてございます」(2008年5月23日 第4回有識者会議の議事録)

しかし、その後、2012年度になるまで約4年間、策定作業は中断された。

(2)2012年5月~

ア 治水安全度1/70~1/80、治水目標流量17,000㎥/秒(八斗島地点)についての
パブリックコメント(5月25日~6月23日) 
 応募数 93件

イ 利根川・江戸川有識者会議の開催
   第5回 9月24日
   第6回 10月4日
   第7回 10月16日
   治水目標流量の局案17,000㎥/秒と洪水流出モデルが妥当か否かについて議論。
  10月下旬~2013年1月
   予定されていた会議はすべて中止

ウ 利根川・江戸川河川整備計画原案の発表(2013年1月29日)
  関東地方整備局が治水目標流量の局案17,000㎥/秒を前提とした利根川・江戸川河川整備計画原案を発表(本川のみの計画原案)。

エ 利根川・江戸川河川整備計画原案のパブリックコメントと公聴会の実施の発表(2月1日)
  ① パブリックコメント 2月1日~3月2日
  ② 公聴会(4会場) 2月24日、25日、26日


2 関東地方整備局の不可解な方針変更

 以上の経過を振り返ってみると、関東地方整備局が基本的なことについて前言を翻して、方針を大きく変えてきています。特に問題とすべき不可解な方針変更は次の5点です。

(1)利根川水系全体ではなく、なぜ利根川・江戸川の本川のみの整備計画を策定しようとしているのか。
 
関東地方整備局は2006年11月からは利根川水系全体の河川整備計画を策定する作業を進めていましたが、2012年度からは利根川・江戸川の本川のみの河川整備計画を策定しようとしています。
利根川水系には大きな支川がいくつもあって支川と本川は相互に関係しており、本川だけの整備計画を先行して策定することは科学的にも不合理です。
 利根川の河川整備計画は本川、支川を含めて水系全体で策定しなければならないことは第4回有機者会議での福岡捷二委員の次の発言からも明らかです。

【福岡委員の発言】「本川と支川の関係で、利根川の本川の安全度を50分の1に確保するために、支川にいろいろな施設がつくられます。それは支川の安全度も上げると同時に、本川の安全度を確保するためにもやるんだということです。今後、それぞれのブロックに分かれて整備計画を議論することになりますので、各ブロックでの議論は、利根川流域全体の議論に密接に関係してきます。特に、利根川・江戸川ブロックの議論との関わりが重要になります。そのため利根川・江戸川ブロックでの議論を各ブロックにしっかりとお伝えをして、やはり各ブロックは自分の河川流域の安全度と、利根川・江戸川の安全度の両方に関係しているという流域全体を見る視点が持てるようにすることも重要です。それぞれのブロックの議論の中では利根川・江戸川ブロックの内容が伝わるように、またその逆も当然必要です。」(2008年5月23日 第4回有識者会議の議事録)

この発言のように五つのブロックの有識者会議がそれぞれ議論を進め、その内容を相互に伝え合って、水系全体の河川整備計画を策定していくことはごく当然のことなのです。
2012年9月下旬から、本川を扱う利根川・江戸川有識者会議のみが再開されましたが、支川を扱う他の有識者会議をどうするのか、関東地方整備局からは何の説明もありません。
関東地方整備局はなぜ本川だけの整備計画を策定しようとしているのでしょうか。

(2)本川の治水安全度1/50をなぜ1/70~1/80に引き上げたのか。

2006年11月からの策定作業で示された河川整備計画のメニューでは利根川本川の治水安全度は1/50でした。この1/50を前提としたメニューに対して有機者会議で議論がされ、パブリックコメントと公聴会による意見聴取が行われました。
ところが、2012年度からの策定作業では利根川本川の治水安全度は1/70~1/80に引き上げられていました。それに伴って、治水目標流量(八斗島)は15,000㎥/秒程度から17,000㎥/秒へと、約2,000㎥/秒も大きくなりました。
本有識者会議で、治水安全度引き上げの理由を示してほしいという委員からの質問があり、それに対して、関東地方整備局が10月4日の第6回会議で出した資料は次のものでした。

八ッ場ダム建設事業の関係地方公共団体からなる検討の場(第1回幹事会2010年10月1日)

「○埼玉県県土整備部長代理
同じく埼玉県の高沢でございます。
利根川は、過去にカスリーン台風の洪水でも本県を含めまして重大な被害をもたらしております。また、現在でも一旦決壊をすれば、首都圏に大きな被害が生じると思っております。また、本県につきましては、本県の東側の地域でございますが、利根川よりも低いところに人と資産が集中しております。このため、利根川の治水安全度は埼玉県にとりましても非常に大切でございますので、このようなことから適切な治水安全度を設定するように検討していただきたいということでございます。よろしくお願いいたします。」
しかし、この議事録では、埼玉県は適切な治水安全度の設定をと述べているだけであって、引き上げるべきだという趣旨のことは一言も言っていません。
このことは、治水安全度Ⅰ/50から1/70~1/80への引き上げは、関東地方整備局の思惑だけで行われたものであることを明白に示しています。
2007~08年に有識者会議で議論し、パブリックコメントと公聴会まで行った、治水安全度1/50という計画案の前提を関東地方整備局はなぜ変えたのでしょうか。

(3) 2006年12月18日の有識者会議で関東地方整備局が約束したことはどうなったのか?

2006年12月18日の第2回利根川・江戸川有識者会議で関東地方整備局は「意見をきいて原案を修正し、その修正原案について、再度意見をきき、そういったことを何回か実施して河川整備計画案を取りまとめる」と言明しました。
公の場で関東地方整備局の責任者が言明したのですから、そのことは当然のことながら実行されなければなりません。しかし、今年2月1日に発表された「今後の予定」をみると、「パブリックコメント、公聴会で出された意見に基づいて河川整備計画原案を修正し、その修正原案について再度意見を聞いて修正する」ようなことは全く書かれていません。
パブリックコメント、公聴会とも1回限りで終わりのように受け取れます。
しかし、公の場で言明したことをいとも簡単に覆してよいのでしょうか。関東地方整備局は公の場で言明したことについて何も責任をとらないということが許されるのでしょうか。

(4)関東地方整備局は2006年5月の後、整備計画の策定作業をなぜ中断したのか。

関東地方整備局は2008年5月23日第4回有識者会議(各ブロック合同会議)の終わりで、「次回には整備計画のたたき台を示して、皆様の意見をお聞きたい。できるだけ早い時期に整備計画もまとめていきたい」と言明した。ところが、その後、整備計画の策定作業は中断され、有識者会議が開かれたのは、2012年9月からの利根川・江戸川有識者会議のみで、その他の4ブロックの有識者会議は未だに開かれていません。
国交省はその後の政権交代による河川行政の方針変更を整備計画策定作業の中断の理由に挙げているようですが、政権交代は2009年9月のことであり、一方、上記の第4回有識者会議は2008年5月です。この1年数カ月の間、関東地方整備局は何をしていたのでしょうか。2008年5月の後、有識者会議が開催されなかったのは関東地方整備局の思惑によるものであって、政権交代が理由であるはずがありません。
2008年5月23日の第4回有識者会議で「次回は整備計画のたたき台をしめす」と言明したことを関東地方整備局はなぜ守らずに、整備計画の策定作業を中断したのでしょうか。

(5)関東地方整備局は2012年10月下旬以降、なぜ利根川・江戸川有識者会議の開催を中止し続け、さらに、その議論を無視して利根川・江戸川河川整備計画原案を発表したのか。

そして、冒頭で述べたように、関東地方整備局は利根川・江戸川有識者会議を昨年10月16日に開催した後、今年の1月まで9回連続で中止してきました。さらに、10月16日までの会議で治水目標流量17,000㎥/秒の是非について議論が進められてきたにもかかわらず、関東地方整備局はその議論を放り出し、今年1月29日に治水目標流量17,000㎥/秒を前提とした利根川・江戸川河川整備計画原案を発表しました。
関東地方整備局はなぜ利根川・江戸川有識者会議の開催を中止し続け、その議論を無視した利根川・江戸川河川整備計画原案を発表したのでしょうか。

以上のとおり、利根川の河川整備計画の策定において関東地方整備局の身勝手な方針変更は常軌を逸しているといわざるを得ません。
利根川・江戸川有識者会議の委員の皆様におかれましては、上記5点の不可解な方針変更の問題を取り上げて、関東地方整備局に対し、明確な説明とその是正を求めてくださることを要請します。

以上


追記 利根川流域市民委員会の賛同団体34団体の名簿は、2012年9月25日に提出した「利根川水系河川整備計画の策定に関する要請(1)(計画策定の基本的な事項について)」の末尾をご覧ください。

2013年2月10日 (日)

ここが問題!これが提案!              「利根川・江戸川河川整備計画(原案)」

国土交通省関東地方整備局が利根川水系の利根川・江戸川河川整備計画の原案を発表しました利根川流域市民委員会では「治水」「利水」「環境」「手続き」の面から次のような問題があると考えます。

皆様も原案をご確認の上、ドシドシとご意見をお寄せください。
私たちの提案も是非、ご参考ください。<転載歓迎>


■ここが問題!これが提案!
■「利根川・江戸川河川整備計画(原案)」

1.利根川水系全体の計画にしてください! 

今回の原案は利根川・江戸川の本川のみが対象となっていますが、渡良瀬川、鬼怒川、霞ケ浦などの支川を含め、利根川水系全体で治水、利水、環境でバランスのとれた統合的な計画を作ってください。

提案:利根川水系全体の計画を明らかにしてください。
提案:絶滅危惧種に指定されたウナギの生息地を回復させるために、霞ヶ浦につながる常陸川水門の柔軟運用(遡上時期の開門)を利根川水系河川整備計画に位置付けてください。

2.事業費と実現性を明らかにしてください!

 原案にはダム事業やスーパー堤防など、効果が不明な数々の巨額事業が数多く含まれ、優先順序も不明です。国土交通白書(平成21年度)には、2037年度には過去のハコモノ事業の維持管理・更新費すら不足することが書かれています。

提案:各事業の費用を明らかにして、住民と協議し、現実的な計画に見直してください。
提案:計画中の事業を中止して、老朽化対策に徹する計画に見直してください。

3.治水目標流量は旧建設省資料と比べて過大です! 

2012年9月から10月に開かれた利根川・江戸川有識者会議では、治水目標流量17,000㎥/秒(八斗島)は過大であると指摘されましたが、国交省からは合理的な説明がないまま途中で中断されています。また、昭和22年のカスリーン台風洪水の実績流量は15,000㎥/秒程度であることが、当時の建設省の資料によって明らかになりました(東京新聞特報部2013年1月10日)。

提案:すべての情報を開示し、目標流量を適正に見直して無用な事業は止めてください。
提案:昭和22年の資料で示されたカスリーン台風時の流量が15,000㎥/秒程度なら、八ッ場ダム事業は不要です。計画から削除してください。

4.治水効果が不明な八ッ場ダムを位置付けないでください!

 ダムの水位低減の効果は下流に行くほど減ります。八ッ場ダムでも利根川・江戸川の下流部では最大でも数㎝であるとされていますが、その効果は原案には書かれていません。

提案:治水効果の期待できない八ッ場ダム事業を原案から削除してください。
提案:八ッ場ダム水没予定地のダムなしの再生計画を流域の計画として位置づけてください。

5.優先順序を明らかにして自治体・住民参加で治水計画を見直してください。 

利根川水系の本川・支川では破堤する危険性がある脆弱な堤防が各所(原案 の附図3-1、3-2、3-3、3-4)にあり、浸透防止対策が必要な区間の割合は利根川62%、江戸川60%に及ぶとされています。

提案:堤防の漏水対策など緊急に必要な事業を優先してください。
提案:自治体・住民参加で治水計画を見直してください。

6.想定外の洪水で壊滅的な被害を受けない対策を盛り込んでください。

3.11東日本大震災を踏まえれば、「想定外」への備えが必要です。想定外の大洪水で破壊的な破堤を起こさないことが重要です。

提案:越流しても住民が逃げる猶予のある、直ちに決壊しない堤防整備(以下7を参照)を進めてください。
提案:流域住民に洪水情報を知らせ、自治体に住民参加で避難計画を作ることを義務付けるソフトな治水計画にシフトしてください。
提案:集水域が限定されているダムは治水効果に限界があることを住民に周知してください。

7.完成しない巨額の堤防ではなく最新の技術を活用してください!

①1982年(昭和62年)に着手された高規格堤防(スーパー堤防)は1㎞の整備に数百億円(1メートル当たり数千万円)規模の事業費を要し、現在に至るまで「点」にとどまり、完成の見込みがありません。

②2004年(平成16年)に着手された首都圏氾濫区域堤防強化対策は、「浸透に対する安定性が不足している」として利根川・江戸川の右岸側堤防(約70㎞)のすそ野を大きく広げる事業ですが、私たち利根川流域市民委員会の調査では、1,200戸以上の家屋の移転が必要となり、計画通りでも約2,700億円(堤防1メートル当たり約400万円)の巨費を必要とし、完成予定は不明です。

③国内外ですでに実績のある鋼矢板やソイルセメント連続地中壁で、より早急に安価で堤防の浸透・浸食対策を行うハイブリッド堤防技術があることが考慮されていません。

提案:完成見込みも効果もない高規格堤防(スーパー堤防を計画から削除してください。
提案:完成見込みもなく巨額な首都圏氾濫区域堤防強化対策を計画から削除してください。
提案:国内外ですでに実績をハイブリッド堤防技術を導入する計画に見直してください。

8.ゲリラ豪雨による内水氾濫への対策を位置づけてください。

近年、ゲリラ豪雨が引き起こす内水氾濫(小河川の氾濫を含む)が目立ちます。2011年9月のはじめにも群馬県南部の記録的な大雨で、川に排水できない浸水被害(内水氾濫)がありました。

提案:雨水貯留・浸透施設の設置、排水機場の強化など、内水氾濫対策に重点を置いた計画に見直してください。

9.不要な利水事業を削除してください!

 首都圏の水需要は東京を含めて、一都五県すてで減少しています。節水型機器の普及により一人当たりの水使用量はもちろん、人口減少は首都圏においても進み始めています。

提案:「整備する」とされている八ッ場ダム事業は、完成が最速でも2020年以降となるとされているため、計画から削除してください。
提案:南摩ダムや霞ヶ浦導水は、これから「検討し、その結果を踏まえて対応する」のであれば計画から削除してください。
提案:南摩ダムや霞ヶ浦導水で長期にわたり影響を受けた地域の再生計画を流域の計画として位置づけてください。

10.リスクが適正に評価されていないままの事業を位置づけないでください!

 八ッ場ダム予定地は地質が脆弱で、現在までにすでに雨水による地すべりや崩落、関連工事現場における崩落死亡事故が起きています。ダムの湛水による地すべりの誘発、地すべによる生活環境や工事期間、工事費への影響やリスクが専門家から指摘されています。事実や国交省と利害関係を持たない第三者によるこうしたリスクは無視されてきました。

提案:リスクが適正に評価されていない八ッ場ダム事業は原案から削除してください。

11.ラムサール条約に登録されるよう湿地保全を具体的に位置づけてください!

 ラムサール条約に湿地が登録された「円山川」(兵庫県)では河川整備計画原案に「本川と支川・水路との間の落差を解消し、生物の移動可能範囲の拡大を図る」などが具体的に記されました()が、利根川の原案では、渡良瀬遊水池以外の重要な湿地や保全計画が明確に記述されていません。

提案:渡良瀬遊水池のみならず、利根川水系全体がラムサール条約登録地になることを目指して、登録地に相応しい、湿地に関する具体的な記述を盛り込んでください。
提案:利根川流域においてすでにラムサール条約湿地候補地リスト(2011年8月24日開催の環境省の平成22年度第3回ラムサール条約湿地候補地検討会)に入っている、利根川下流域(神栖市高浜および周辺水田など)と霞ケ浦・北浦を、重要な湿地として計画に位置づけ、その具体的な保全対策を計画に位置づけてください。
提案:次回以降のラムサール条約締約国会議で、この二地域を含む利根川水系全体を登録地に推せるよう、湿地の重要性を強調していることが明確な計画に見直してください。
提案:湿地保全活動に従事する専門性の高い環境保護団体や住民団体から多様な意見を取り入れるための協議の場を計画に位置づけ、柔軟に計画を変更する「順応的管理」の考え方を取り入れてください。

12.生物多様性国家戦略を位置づけてください!

 2010年10月開催の第10回生物多様性条約締約国会議(名古屋)では愛知ターゲットが採択され、「遅くとも2020年までに、生物多様性の価値が、国と地方の開発(略)の戦略及び計画プロセスに統合」されることなど20項目の目標が設けられました。
 また、河川法は「生物多様性国家戦略2012-2020」(2012年9月24日閣議決定)に「生物多様性の保全および持続可能な利用に係る制度」として位置づけられています。

提案:2010年の生物多様性条約締約国会議で採択された愛知ターゲットに掲げられた20の目標のそれぞれに対応した、計画に見直してください。

13.効果と影響の事後評価を行って計画を適正化してください!

 利根川水系では多数のダム・河口堰建設、霞ケ浦開発といった河川工事により、自然環境と生物の多様性に影響を与えてきました。その効果と影響についての評価が適正に行われなければ今後の計画も適正なものとなりませんが、原案にはその視点が欠如しています。

提案:既存ダム等による総事業費とその治水効果を「治水の沿革」に付け加えてください。
提案:既存ダム等による環境影響事後評価を行って、生物種の減少、淡水水産漁業や資源への影響を「河川環境の沿革」で明らかにしてください。
提案:計画を遂行しながら影響評価によって柔軟に計画を変更する「順応的管理」の考え方を取り入れてください。
提案:江戸川近海、利根川近海の漁業資源への影響の有無を確認して「近海環境への影響」について記述してください。
提案:3.11後の東京電力福島第一発電所事故による放射能汚染の影響と対策について計画に位置づけてください。
提案:過去の開発で失われた利根川の自然環境を再生させるために必要な住民との情報共有と協議の場を計画に位置づけてください。

14.関係住民の意見を反映してください!

①1997年の国会審議で、尾田栄章河川局長(当時)は「(関係住民の意見を)言いっ放し、聞きっ放しというのでは全く意味がない」、「まさにその河川整備計画に関係住民の皆さん方の意向が反映をしていくというふうに考えております。」と答弁しました。
②2006年12月18日に開催された第2回利根川・江戸川有識者会議で、髙橋伸輔河川計画課長は「整備計画原案を示し、有識者会議、関係住民等の意見をきいて整備計画修正案をつくり、それを何回か実施して計画をつくる」と言明しました。

提案:1~14までの意見を反映させてください。
提案:有識者や参加意欲を持った関係住民、利害関係者との協議の場を設定し、多様な意見を反映させてください。

参考「tonegawa_issues.doc」をダウンロード

原案
http://www.ktr.mlit.go.jp/river/shihon/index00000021.html
原案(概要)
http://www.ktr.mlit.go.jp/river/shihon/river_shihon00000214.html
パブコメの出し方
http://tonegawashimin.cocolog-nifty.com/blog/2013/02/post-781d.html

利根川水系の一部区間の河川整備計画(原案)パブコメ開始

国土交通省関東地方整備局が利根川水系の一部区間である
利根川・江戸川河川整備計画の原案と、
そのパブリックコメントと公聴会の日程を発表しました。

2013年3月2日締め切りのパブコメにご意見を出してくださるよう、
また可能な方は、2月12日締め切りの公述人募集に応募してください!

パブコメはどなたでも意見を出すことができますが、公聴会に応募できるのは茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都在住の方だけです。よろしくお願いいたします!

利根川流域市民委員会 深澤洋子
T/F 042-341-7524
bbjaga@jcom.home.ne.jp

〜〜〜〜〜
●原案の入手方法
利根川水系利根川・江戸川河川整備計画(原案) 114p:
ここ[PDF:6343KB]からダウンロード

または、その他の資料も含め、関東地整や河川事務所等、各都県の河川課等で
閲覧可能。その概要版
http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000073035.pdf
や募集要項は上記各所で入手可能。

●パブリックコメントの募集期間
平成25年2月1日(金)~平成25年3月2日(土) 18:00必着
(郵送の場合は当日消印まで有効)

●提出先
下記様式に書き込みの上、下記へ送付
(意見該当箇所の記入が困難な場合は「全体について」とお書き下さい。)
様式「tonegawa_public_comment.doc」をダウンロード

○ 郵送 〒330-9724 埼玉県さいたま市中央区新都心2-1
  国土交通省関東地方整備局 河川部河川計画課
「利根川・江戸川河川整備計画(原案)」意見募集 事務局 宛
○ファクシミリ 048-600-1436
○ 電子メール tone-plan3@ktr.milt.go.jp
注意!国土交通省が間違えて掲載していました(加筆2013.2.23)
正しくは (tone-plan3@ktr.mlit.go.jp)

 件名:利根川・江戸川河川整備計画(原案)意見募集事務局宛と明記

●公聴会
*開催日時 平成25年2月24日(日)~26日(火)の3日間
(1)10~12時、(2)13~15時、(3)15~17時のうち、
ご希望の時間帯

*開催会場(以下の4会場で同日開催、傍聴可能)
会場1 :国土交通省高崎河川国道事務所 群馬県高崎市栄町6-41
会場2 :さいたま新都心合同庁舎 埼玉県さいたま市中央区新都心2-1
会場3 :国土交通省利根川上流河川事務所 埼玉県久喜市栗橋北2-19-1
会場4 :水辺交流センター(水の郷さわら内)千葉県香取市佐原イ4051
番地3

*公述人募集期間・様式
平成25年2月1日(金)~平成25年2月12日(火)18:00必着
(郵送の場合は当日消印まで有効)
以下の様式に400字以内の意見を書いて応募。
様式「tonegawa_hearing.doc」をダウンロード

*応募先
○ご郵送の場合
 〒330-9724埼玉県さいたま市中央区新都心2-1
 国土交通省関東地方整備局 河川部河川計画課
 「利根川・江戸川河川整備計画(原案)」公述人募集 事務局 宛
○ファクシミリの場合 048-600-1436
○電子メール
 tone-plan4@ktr.mlit.go.jp
 件名に「利根川・江戸川河川整備計画(原案)」公述人募集 事務局宛と
 明記ください。

●応募手続等の詳細
http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000073039.pdf
問合せ:国土交通省関東地方整備局
河川部河川計画課 藤田、内田
TEL:048-601-3151(代表)、内線3616、3641

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