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2007年3月24日 (土)

公開質問書への関東地方整備局の回答について(コメント)

公開質問書への関東地方整備局の回答について(コメント)  

利根川流域市民委員会

 3月5日付けで提出した「利根川水系河川整備計画に関する公開質問書(その2)」に対して、関東地方整備局から回答が送られてきました。
 私たちが6枚にわたって書いた質問に対して、関東地方整備局の回答はたった1枚だけで、内容も乏しいものでした。
 
 私たちの質問書は大きくは3点からなっていました。
 
 第一は今回の公聴会及び有識者会議を傍聴して生じた疑問点について、「公聴会は、河川法第16条の2に照らし合わせて適切である」と回答をしています。しかし、公聴会は開くことに意義があるのではなく、「意見を反映」することにあります。私たちは、「関係住民の意見を反映」という点から不適切であると考えた点について質問をしたにも関わらず、具体的な回答がほとんどありませんでした。特に、住民のための公聴会で現職の首長が公述したことの是非については何も答えませんでした。
  
 第二は住民の意見を反映させる方法の改善に関するもので、住民と行政が議論をする場をなぜ設けないのかという質問に対する答えはありませんでした。この部分の回答で注意を要するのは「整備計画の原案を示した後にも、より多くの方々の意見を聴けるよう、今回と同様に会議の公開や頂いた意見及びその対応の公表を通じて、情報の共有化、相互理解に努めるとともに、それらを踏まえて原案の修正を加えることを複数回行い」という記述です。「今回と同様に」に注目すれば、原案修正後も公聴会を開くように読めますが、「会議の公開やいただいた意見及びその対応の公表」に注目すると、インターネットなどによるパブリックコメントだけで終わらせるようにも読めます。要するに、世論の動向を見て対応しようという考えのようです。
 
 第三は河川整備計画の内容を考える上で必要な基本的なデータについての質問です。これについては原案作成までは検討途上のものであるで出せないという回答でした。ということは4月に原案が提示された段階では基本的なデータが公開されるということでしょうか。

 以上のとおり、内容の乏しい回答ですので、関東地方整備局に対してはあらためて真摯な対応を求めていきたいと考えています。

「利根川水系河川整備計画の策定に関する公開質問書(その2)」への回答

3月5日に利根川流域市民委員会として国土交通省河川局長および関東地方整備局長に提出していた「利根川水系河川整備計画の策定に関する公開質問書(その2)」への回答が来ました。

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平成19年3月19日
利根川流域市民委員会 様
                 国土交通省関東地方整備局
                     河川部 河川調査官

 平成19年3月5日付けで利根川水系河川整備計画に関する公開質問書(その2〉を頂まして、誠にありがとうございます。頂いた意見につきましては、他の意見と同様に取り扱わせて頂きますので、よろしくお願いいたします。

 なお、前回も回答いたしましたとおり、頂いた質問1につきましては、利根川水系の流域住民の方々には多様な意見があり、活動している個人や団体も多数あることから、私共は、出来るだけ多くの方々から等しく意見をお聴きする方法として、公聴会及び意見募集を行うこととしたものであり、適当であると考えております。公聴会は、河川法第16条2項4条に照らし合わせて適切であると考えております。

 公聴会は、河川管理者である関東地方整傭局が責任をもって関係住民の方々から意見を聴く場として設けたものであります。公聴会での概要説明につきましては、公述頂く意見の内容をより理解頂くために設定させて頂きました。公述人の選定につきましては、応募頂いた全ての公述希望届出書をホームぺージで公表させて頂いているとおりであり、応募者の中から、地域バランスや意見の多様性を勘案して、関東地方整備局が選定したものであります。有識者会議や公聴会の開催に関する広報については、記者発表、ホームページへの掲載、地方紙での広告、関係自治体の広報誌への掲載依頼等を行いましたが、更なる広報に努めてまいりたいと考えております。

 有識者会議の運営につきましては、様々な方からご意見を頂き、傍聴席の配置等について改善してまいりましたが、今回頂いたご意見についても今後の参考とさせて頂きます。有識者会犠や公聴会の円滑な進行のため、皆様のご協力をお願いいたします。

 質問2につきましては、整備計画の原案を示した後にも、より多くの方々の意見を聴けるよう、今回と同様に会議の公開や頂いた意見及びその対応の公表を通じて、情報の共有化、相互理解に努めるとともに、それらを踏まえて原案の修正を加えることを複数回行い、よりよい河川整備計画にしたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

 質問3につきましては、その内容が検討途上のものであり、今回実施した公聴会等で頂いた意見を参考として整備計画の原案を作成することとしているため、今後の検討によって変わりうるものであります。このため、現時点では内容の詳細を公表できる段階ではございません。原案を示す際には、分かりやすい説明に努めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

2007年3月18日 (日)

利根川河川整備計画公聴会における公述意見

2月22日 全体公聴会(浦和会場)
  入江晶子 
  神原禮二
  嶋津暉之 
  深澤洋子 
  吉田正人 
2月23日 高崎会場
  真下淑恵 
2月26日 江戸川区会場
  岡田幹治 
  高橋薫子 
  田中清子 
  田巻 誠 
  深澤洋子 
  松本淑江 
2月28日 野田市会場
  佐野郷美 
  新保國弘 
  高橋盛男 
  三ツ橋トキ子 
  武笠紀子 
3月1日 佐倉会場
  中村春子 
  村越啓雄 
3月6日 春日部会場
  河登一郎 
  嶋津暉之 
3月7日 足利会場
  高橋比呂志 
3月7日 取手会場
  神原禮二 
  香山建雄 
  塩野谷勉 
  関戸 勇 
  塚越恵子 
3月8日野木町会場
  一色安義 
  高松健比古 
  寺島陽子 
  日向野哲夫 
  柳澤 勇 
3月8日土浦会場
  飯島 博 
  浜田篤信 
  水野玲子 
  山根幸美 

 <水と緑と湿地と風>を活かした利根運河河川整備計画(公述)

 <水と緑と湿地と風>を活かした利根運河河川整備計画 
  2007年2月28日  新保國弘

 利根運河は、2月16日「美しい日本の歴史的風土100選」において、県内では佐原の水郷、成田山新勝寺、手賀沼周辺の文人旧居とともに準100選に選ばれた。

緩やかに蛇行して流れる河道景観に加えて、隣接する歴史的農的風土とのつながりと奥行きの妙、言い換えればビジュアル言語で語ることが出来る歴史と文化と自然のポテンシャル高い、県内有数の河川空間といえる。

 歴史を辿れば、明治中期に江戸川と利根川のバイバス水運路として民間会社がお雇いオランダ人工師デレーケとムルデルの指導を受け、太政官布告の免許を得て開削。大正末期までは高瀬船や筏、蒸気船でにぎわった。やがて経営が行き詰まり、昭和16年に内務省が買い上げ、以後、野田緊急暫定導水路の時代を経て、昨年春、高水流量500トン/秒が0トン/秒に変わる大きな節目を迎えた。河床高の関係で、源流がない故に維持流量の数値もない利根運河の河川整備計画について意見を述べる。

1.アユが遡上できる水質

 約27本の排水樋管から生活及び産業排水が自流水である利根運河の水質は、環境基準を大きく上回り、流山の新川耕地の水田では運河からの取水を止めているほどである。
水質改善のためには、国、県、流域3市、住民及び企業が、継続的に本音で意見交換できる<たまり場>を設けることが鍵である。水質の目標は、松戸の坂川を手本に、清流のシンボル・アユが遡上可能なBOD2~3を目標とすること。

2.生物多様性と景観の連続性

 運河橋から水堰橋間の川表や川裏ではノジトラノオ、フジバカマなど500種を超える植物が春から秋に観察できる。コガモなどが越冬に来る冬、日だまりのアキニレの河畔林では、ベニマシコ、アトリ、ウソなどたくさんの小鳥が集まりざわめきが心地よい。この生物多様性と景観の連続性を保全し、可能な範囲でハンノキやコブシなど在来種による<川の並木道>を各所に植栽配置すること。

3.隣接する4ヶ所の農的自然拠点とのつながり

 運河周辺には次の4ヶ所の生態系豊かな自然拠点が、野田市、柏市、流山市の3市に分散して運河に広がりを持たせている。この自然のつながりを切断しないこと。

 (1)野田の江川・三ヶ尾の水田と斜面林:東西の斜面林を挟んでオオタカとサシバがセットで繁殖。15種の猛きん類を確認。ニホンアカガエルの大産卵地。

 (2)野田の下三ヶ尾の湿地:
    ハンノキ林とミドリシジミ。新川耕地までハンノキ林をつなげては。
   理窓会記念自然公園:
    高原の森林浴が味わえる。

 (3)柏の大青田の湿地と大青田の森:
   木下貝層の北端。

 (4)流山の新川耕地:
   タゲリとケリがセットで越冬。春にはムナグロが渡ってくる。
   メダカも多い。
   新川耕地斜面林:
   江戸川流域最長の5㎞延長の緑の回廊

4.むやみな観光地化や舟運復活計画などの歯止め

 むやみな観光地化や舟運の復活など河川構造上の大きな改変が想定される計画は、避けるか、あるいは運河橋下流の都市公園やポケットパーク部分に止めるのが好ましい。

5.<水と緑と湿地と風>を活かした河川整備計画

 運河開削以前、この地の自然地形であった東葛三大谷津の一つ、三ヶ尾沼谷津水系(江川谷津、三ヶ尾谷津、東深井谷津の3大谷津)の自然要素である<水と緑と湿地と風>を活かした河川整備計画づくりが望ましい。

利根川水系河川整備計画の非民主的な策定手法について(公述)

2/22 利根川水系全体公聴会に参加したメンバーの公述内容です

利根川水系河川整備計画の非民主的な策定手法について

本日、私がここに参りましたのは、この公聴会のテーマであります「利根川水系河川整備計画」の策定に際し「流域住民の声を封じ込める」国土交通省の非民主的な進め方に、主権者として深い危機感を覚えたからです。

1997年、河川法は画期的なものに改訂されました。それまで治水と利水だけだった河川行政に「環境の保全」が追加され、河川整備計画の策定にあたっては、関係自治体の首長や学識経験者の意見に加え、「関係住民の意見を反映させるために必要な措置を講じなければならない」とされました。ここに至るには、利水計画が破綻したにも関わらず運用が強行された長良川河口堰など、官僚主導の河川行政が厳しい批判にさらされた結果でありますが、河川行政に住民参加の道を開いた当時の国土交通省の英断は高く評価すべきでしょう。

2001年、住民参加のモデルというべき「淀川水系流域委員会」が近畿地方整備局長の諮問機関として発足しました。この委員会の特色は、公共事業に批判的な人も含めた準備会議を設置し、委員と運営方法を決め、その結果、河川工学者や生態学者、NGO関係者、弁護士のほか、公募による多数の流域住民が委員に就いたことです。会議も関係資料も原則としてすべて公開され、会議では傍聴席からの意見を述べる時間まで用意されました。

同委員会は一から議論を積み上げ、淀川水系に計画されていた五つのダムの原則中止を提言しました。さらに流域自治体の過大な水需要予測を指摘、これを受けた大阪府や京都府などは、新規の利水計画から撤退しました。国の案を追認するだけの従来の諮問機関では絶対にできない成果を上げたのです。

その後、住民参加の流れは広がり、河川整備計画を立てる際、委員を公募した1級河川の流域委員会は15を数えるに至りました。

2006年、この流れに危機感を持った国土交通省は、同委員会を立ち上げた局長を配置転換。新任の局長は就任会見の場で、早々に淀川水系流域委員会の休止を表明しました。せっかく開かれた住民参加の道を閉ざし、官僚主導の計画策定へと180度舵を切ったのです。これを強権の発動と言わずして何でありましょうか。

いま私は、「利根川水系河川整備計画」の策定を見つめています。これに先だつ「利根川水系河川整備基本方針」の策定は、国土交通省の選定委員による小委員会によって審議されましたが、僅か4回の会議、延べ数時間という拙速な審議で原案が承認されました。会議の大半は原案の説明に費やされ、委員の発言は質問程度に留まりました。国土交通省による脚本、キャスティング、演出のドラマが密室で演じられたわけです。とても民主主義という白日には晒せない「村芝居」で、日本一の大河である利根川水系の、長期およぶ整備基本方針を決めてしまったのです。

この「利根川水系整備計画」の策定手順も「村芝居の続編」のそしりは免れません。関東地方整備局は自らが選定した学識経験者による「有識者会議」を開き、関係住民の意見は公聴会とインターネットなどによる意見募集で聞く。としています。「住民の意見は聞き置く」という姿勢には河川法の持つ住民参加の精神は微塵もありません。

河川行政ほど間接民主主義の「無力さ」を実感するものはありません。今回のテーマである利根川は、大河ゆえに県境を流れ、数多くの市町村に沿い海にそそぎます。関係する流域住民は膨大になりながらも、それぞれの自治体では少数派でしかありません。つまり流域住民の意思を代弁できる自治体は皆無に近いと言えます。いかに国や都県、市町村の首長や議会が選挙によるものとしても、上流から下流まで相互に関係しながら、かつ固有の問題を抱える流域住民の意思の反映は、住民参加による直接民主主義以外に方法はないと言えましょう。
また、上流から中流、下流、河口、あるいは支川、湖沼とともに暮らす人々は、日々川の流れを見つめ、沿岸の風土を血肉として生きています。川を生業の基盤とする漁業者や水運業者、水質や動植物の生態系の保存に取組む人々、利水問題に取組む市民団体など、これらの人々の経験や知識は、いわゆる有識者のそれに勝るとも劣らないと言えましょう。

そも、有識者とは何でしょうか。国は国民を「有識者」と「愚かな大衆」の二通りに分類しているのでしょうか。今日の市民社会の知識水準を思えば、時代錯誤も甚だしいと言わざるを得ません。

一方で河川整備という専門性の高い問題は、専門家の意見を尊重するのは当然です。しかし、専門家の中には、基本方針や現状の河川行政に批判的な人もいます。こうした方々を含め専門家の意見とするのが行政の取るべき態度でしょう。

私たちは戦後、国家主義の反省の上に国民主権の民主主義を選び取りました。つまり政策決定の権は国民の側にあります。国民の意思や価値観はさまざまです。なるが故にフェアーであることが求められます。例え原案は官僚が作るにしても、心すべきは、原案を拙速に通すことよりも、策定手法の公正さにあります。しかるに、この河川整備計画策定に見られるような「主権者の声を封じる」行政手法は、民主主義の根幹を腐らせるものです。
利根川水系河川整備計画は30年にわたる長期の計画です。河川法の精神の初心に帰り、住民参加の淀川方式の採用を強く希望します。いまからでも遅くありません。

人は「巨額の借金を後世に残せない」「破壊された自然環境は子孫に残せない」といいます。同様に「腐りきった民主主義」を後世につなぐのは、今を生きる私たちの責任と言わねばなりません。
      人の上に国をつくらず 

茨城県取手市 神 原 禮 二

稲戸井調整池の掘削による「調整池化」の見直しを要望(公述)

3/8 13:00 霞ヶ浦(霞ヶ浦環境科学センター多目的ホール)に参加したメンバーの公述内容です

稲戸井調整池の掘削による「調整池化」の見直しを要望します。
茨城県取手市 関戸 勇

私は、30年間、稲戸井遊水地を見続けてきた者として、利根川水系における河川整備計画の「稲戸井調節池と大規模掘削」について、実施されることにより、下記のように良質な自然環境に多大な影響が出ることから見直されるよう求めます。

現状について 
 稲戸井調節池(現在は運用が開始されていないため遊水地)は、湿原と合わせ、ハンノキやエノキ、クルミ、柳などが生い茂る、利根川中流域の中では規模の大きな河川林があります。遊水地のため、ほぼ1年に一度程度、洪水期に利根川から水が入ります。遊水地の役割を果たすとともに、水が入ることで動植物に良い環境を与えていると思います。希少種の植物も多く育成し、ノネズミ、ウサギ、タヌキ、イタチなどの動物も生息します。野鳥も多く見られます。特に1年を通して猛禽類が見られ、秋にはサシバの渡りが見られる貴重な場所です。多い日には、一度に5種類程度の鷹を見ることができます。

調整池の運用で変化が出る 
 現在の遊水地はイギョウ堤の完成にともない、調節池としての運用が始まります。運用が開始されると、現在対岸にある「田中調節池」のように10年に一度程度しか水が入らなくなりますので大きな影響が出るでしょう。

掘削による影響について

 今回発表された整備計画では、200年に1度の大洪水を想定し、河川敷内を5メートル掘削するというもので、実施された場合、現状は一変し、河川敷は一部掘削をしない「ゴルフ場」や河川林地帯を除き地下水が染み出す湿地となるでしょう。水鳥などは来るでしょうが、猛禽類でもノネズミなどを餌にしてきたフクロウやノスリなどは餌が取れませんから見られなくなるでしょう。
 植生の変化については、2メートルの掘削を試験的に行い植物の育ち具合を実験されていますが、2メートルと5メートルでは倍以上も違います。大野川とほぼ同程度まで掘り下げるのですから大きな変化があると考えます。

洪水はどこから来るか
 近頃集中豪雨などによる被害の要因には、乱開発や、危険地帯への宅地造成、山林の荒廃、休耕田の増加など、人為的なものに起因するように思えます。豪雨などの際に「遊水地」を設けることはとても効果的であると思います。しかし、取手市内などでは、大雨の際に受け皿となっていた「谷津田」「窪地」など「遊水地」として機能していた場所が土砂の「捨て場」として埋め立てられています。巨大なダムとして役割を持つ水田も次々と姿が消えています。その結果せまい地域への「集中豪雨」で一気に水が溢れ、大きな被害が出ています。洪水は川からだけでなく「背後から襲う」状況です。

200年に一度は本当か 
 平成18年2月に新たに決定された「利根川水系河川整備基本方針」の基本高水設定22000㎥にも疑問を持ちます。カスリン台風時の洪水流量に疑問を持つ研究者が沢山います。また当時の山間部の植生についても戦後の「ハゲ山と荒廃」による保水能力の問題なども考慮すべきではないでしょうか。200年に一度の基本高水設定について再度見直すべきと考えます。

洪水の被害から人命を守る
 以上の理由から、洪水などの際に、遊水地や窪地なども含め、広い地域(一部住宅地も含め)に水を逃がして、最低「人命」を守ることを中心に考える対策が必要と思います。
「稲戸井遊水地」は「調節池」ではなく「遊水地」のままでの活用を望むものです。
 以上の理由から調節池や大規模掘削を見直されますよう要望します。

利根川水系河川整備計画の公述

3/8 13:00 霞ヶ浦(霞ヶ浦環境科学センター多目的ホール)に参加したメンバーの公述内容です

利根川水系河川整備計画の公述

我孫子市の塩野谷勉です。我孫子市は水質が悪いところで有名になった、手賀沼に面したところであり、私も水利用である農民の立場から手賀沼の水質改善に努力してきました、現在、北千葉導水路施設の完成による大量の利根川からの浄化用水(約1.8億トン)の注水が行われCOD改善が行われて、市民の皆様は大変喜んでいる状況ですが、人工的なものでは必ずしも状態は真に良くならず、沼としての水草等生態系を如何にして復活させるか、下流に悪い影響を与えないためには何が必要か市民の立場から懸命に努力して処です、
本来ならば、北千葉導水路に対する問題も公述する必要があるのかも知れませんが(都市用水の使用が当初計画より少ないと思われる等・・・)今回は河川整備計画の考え方に示された、記されたことに対する疑問点、問題点に対して公述したいと思います。

第1回有識者有識者会議資料によると
「現在実施中の稲戸井調節池化に加えて掘削を行い、田中・菅生調節池の溢流堤移設により機能を向上させ、取手地点において8,500m3/Sとする」と記載されております

第一の疑問点は現在の取手地点の流下能力をどのように考えているのか、現在ある施設でも、(昭和55年の計画高水流量図によると取手地点は目標10,500m3/sとされ30年間それらの整備に努力してきたと思います)資料によると取手地点で昭和25年に8,260m3/sを流下させておりますし、又、布川地点(今回の目標値では布川も取手8,500m3/sも同じ)でも平成10年9月には8,174m3/sを流下させております、国交省では現在の取手地点の安全率をどのように考えているのか多くの皆様に知らせていただきたい(余裕高2mで流下させたのか)

田中・菅生の溢流堤移設の必要性、特に稲戸井調節地の掘削の必要性については納得の行く現実的で科学的な説明が必要になると思います。(この問題については取手の方が述べると思いますが)私は自然の破壊を最小限に留める為に、調節池掘削より、現実的で効率的な堤防の嵩上げ・補強(パイピング防止等を含む)、河床掘削による、河積拡大からの流量の増大を最優先して実施すべきであると思います(真に必要性があり、可能であるならば平時土地利用可能な調節地の検討も?)、又、住民と双方向性のある真に有効な話し合い、情報公開を積極的に行うべきであるとおもいます、(最小限の費用で最大の効果がある治水計画を樹立すべきであると考えます)、田中、菅生・溢流堤の移設、稲戸井の溢流堤の完成によりピークカット量はどのくらい増加し、利根川の安全率が増すのか現実的な住民側との議論話し合いが必要と考えます。

第二に、田中・菅生溢流堤の移設に伴い、湛水をすばやく排除する排水路が必要になりと思います。特にポンプ排水の必要性増大が必要になると思いますが如何が考えますか、(現在田中調節池では末端でポンプ施設30.05m3/s)

第3に作物等の溢流被害に対する補償について何らかの考えがありますかこのことについては詳しく述べます
田中遊水地に約1000ha、菅生遊水地にも約520haの土地改良の完了した優良農地が存在し、生産力も高く地域の農業生産力の中心となっております。しかし、昭和30年以降14回も溢流による被害を受けております。溢流水深1m以上が5回もありました。下流の流量・水害を3調節地は軽減していることは現実です。田中遊水地等は治水効果も高く、3ヶ所の遊水地は現状でも調節容量として約1億800万m3もあり、洪水量約○○○千m3のピークカット(昭和55年計画時毎秒5000m3)を行っていると聞いております、ダムなどより効率的であり、10年のうち9年間は豊かな農産物を生産して地域経済を活性化しております。しかし、田中、菅生遊水地にはまったく補償制度がなく耕作者は大変な損害を被っており、地価は大変安くなっております。今度の整備計画で田中地区の溢流堤450mが上流に移転され、1200mに拡大されるとうわさでお聞きしました。補償制度を確立して、耕作者の了解を得てください。

田中の調節地で過去最大の被害が生じたのは、昭和57年で2度も溢流に襲われ、被害総額25億円に達したと言われている。しかし、「損害は一切賠償の要求をしない」との確認書を河川管理者に提出していたので、水害に対する補償は無かった。しかし、農地は農地整備も進みビニールハウス等も増加し、資産価値も増加しており、何よりも、農業経営の基礎財であり、農村の存続を支える基盤である、生産の場であり、水害を放置できない。これらの確認書は敗戦戦後の混乱した事情の下のものであり、今日その見直しの必要性はますます高くなっておるものと思います。現実に全国的に見ると、昭和39年新河川法以降に設置された各遊水池では、何らかの補償金が支払われていると聞いております。

配布資料
「shionoya.doc」をダウンロード

2007年3月17日 (土)

稲戸井調節池の大規模掘削事業の見直しを(公述)

3/8 13:00 霞ヶ浦(霞ヶ浦環境科学センター多目的ホール)に参加したメンバーの公述内容です

稲戸井調節池の大規模掘削事業の見直しを求めます。
茨城県取手市 香山建雄

 私は、利根川河川整備計画に盛り込まれている稲戸井調節池の大規模掘削事業について見直しを求めるよう意見を述べるものです。

 調節池とは、もともと洪水調節のために造られたもので、利根川には幾つもの遊水地、調節池があります。私が取手に住んで40年近くになりますが、十分機能しています。
 現在、稲戸井調節池の周りを囲む周囲堤と囲ぎょう堤、越流堤が整備されています。その洪水調節容量は1890万㎥であり、国土交通省が「整備計画」の中で定めた目標治水安全度の本川1/50を確保しているとされていました。ところが全体計画として、調節池内を掘削し、洪水調節容量を3080万㎥と、現状の1.6倍。安全度を1/200にするというものです。ここには現状の安全度が確保され、自然環境が維持されているもとで、不要不急の無駄な公共事業と言わざるを得ません。
 洪水調節容量は、川の断面積に比例するわけですから、川底に溜まった土砂を浚渫するなどして豊かな流れを取戻すことで、洪水調節は十分可能です。

掘削によって生じるものとして
①そのもの自体は、人造湖を造るに等しいと言わざるを得ません。なぜなら地下水、雨水、支川からの流入で常に満水状態になるでしょう。ここに、万が一にも200年に一度の3080万㎥の洪水が押し寄せて来ても掘削部分は機能しません。
②掘削部分は本川でも土砂が溜まるが、調節池では濁流が滞留するため汚水処理場の土砂沈殿槽と同様に、汚泥で埋め尽くされるのに長い年月を要しない。その汚泥引き抜きにまたまた膨大な費用がかかります。
③自然環境に重大な影響を及ぼします。生態系が狂い、現状の自然環境が一変することは避けられなくなります。

 最後に、大規模掘削計画を見直し、河川の自然環境が生かされた整備計画になるよう求め、いま国民生活は深刻の度を増している中にあって、一人公共事業に名を借りて「国民の命と財産を守る」と銘打っての税金のムダ遣いを止めるよう求めて発言とします。

霞ヶ浦市民が望むもの(公述)

3/8 13:00 霞ヶ浦(霞ヶ浦環境科学センター多目的ホール)に参加したメンバーの公述内容です

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公 述 書
土浦市 山根幸美

 私は20数年前から霞ヶ浦に関る市民活動に参加し、世界湖沼会議でも発表してきました。今回、霞ヶ浦計画の中の「環境」と「維持管理」の分野で、霞ヶ浦市民の目から意見を述べます。

 霞ヶ浦市民が望むのは、「安全な水」「豊かな水」です。計画の基本理念としての「安らかな」「清らかな」「豊かな」には、共感できます。課題は、その内容と実現への道筋です。環境ホルモン問題を含め、水道原水としての安全性はどうか。霞ヶ浦の環境基準に遠く及ばないことをどう説明するのでしょうか。

<水質基準について>
 霞ヶ浦の水質環境基準は、COD3mg/1以下(湖沼A類型:水道2、3級、水産2種他)、T-N0.4mg/1以下、T-P0.03mg/1以下(湖沼Ⅲ類型)です。今策定中の「第5期霞ヶ浦に係る湖沼水質保全計画」での目標は、COD7.0、T-N0.88、T-P0.092と水質環境基準の2倍を超える数値となっています。1期から4期まで、目標水質はなかなか達成されません。そもそもの基準をどう考えるのか、問い直すことも必要ではないでしょうか。

<化学物質:ゴミ問題、環境ホルモン、ダイオキシンなど>
 市民の調査で、霞ヶ浦流域の男子出生率の低下が指摘されたのは、1999年8月です。ダイオキシン、環境ホルモン汚染の懸念が示されました(常陽新聞99.8.26、水野玲子論文、「科学」2000.2.岩波書店)。県は、98年よりダイオキシン、環境ホルモン実態調査を実施しており、00年境川で、01年菱木川で基準値の2~4倍の値が出ました。廃棄物処分場の分布と排水、農薬使用の状況が気がかりです。湖沼水質保全計画には、廃棄物処理施設の整備、環境にやさしい農業の推進をうたうが、水源地域でのこれらの問題を考えねばなりません。湖内へのゴミの内容も大変です。クリーンアップ大作戦など市民の努力や、ゴミマップ作りをするなどの試みで解決するでしょうか。

2)水循環の中に、豊かな自然と共生してゆく道を選びたい。その動機から「自然再生協議会」に参加しています。
 2003年1月「自然再生推進法」が施行されたのを受け、霞ヶ浦でも2004年10月に、「霞ヶ浦田村・沖宿・戸崎地区自然再生協議会」が設立されました。自然再生推進法には、「順応的」の語句は見られませんが、法により定められた「自然再生基本方針」に「科学的知見に基づいて、長期的な視点で順応的に取り組むべき」とあります。このため、協議会でも、たびたび「順応的管理」の語が使われますが、まだその概念は定まっていないのが実情です。
 事前調査・事後モニタリング・評価・見直しということでは、事前の影響評価が抜け落ちているため、言い訳しつつ事業を既成化してしまう可能性につながります。
 こうした課題が克服されるなら、モニタリングによる事後評価と事後の修正は、今までの公共事業には見られない新たなルールの可能性を示しています。
 河川整備計画においても、「順応的管理」とは、どうゆう実態を持ち得るのか示されることを期待します。(文献:山根幸美2006.順応的管理についての一考察、霞ヶ浦研究会報9号2006)

3)95年湖沼会議の熱気は、定着したでしょうか。霞ヶ浦環境科学センターのパートナー活動に参加して、ボランティアの意思の固さを感じています。この意思が普通の暮らしに行き渡ることが肝要です。センターの交流サロン事業として「霞ヶ浦交流会」が近く開かれますが、人々の認識を深め、育む場の後押しを整備計画に期待します。

4)昨年県歴史館で、霞ヶ浦の歴史像を描くシンポジウムが開かれました。霞ヶ浦があって発展した古代、中世、近世世界がひも解かれつつあります。土浦市立博物館は、「霞ヶ浦に育まれた人々の暮らし」に視点を据えたリニューアルを進めています。河川整備計画においても、霞ヶ浦の歴史・民俗への眼差しを未来へ活かすようにしたいものです。

過大な基本高水設定が無駄な公共事業を生む

3/8 13:00 霞ヶ浦(霞ヶ浦環境科学センター多目的ホール)に参加したメンバーの公述内容です

過大な基本高水設定が無駄な公共事業を生む
茨城県取手市 神原禮二
「kanbara.doc」をダウンロード


国土交通省 公聴会 意見陳述内容(公述)

3/8 13:00 霞ヶ浦(霞ヶ浦環境科学センター多目的ホール)に参加したメンバーの公述内容です
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国土交通省 公聴会 意見陳述内容    

土浦市 水野玲子

 霞ヶ浦の諸問題の中でも、とくに水質問題に危機感をもっています。この数十年間、環境基準をはるかに上回るCOD値等の状況に私たちはすっかり慣れきっている状況ですが、そのこと自体が大変問題であると思います。人への健康影響がいつか顕在化するのではないかと危惧しています。

 なぜならば、みなさんもよくご存知の日本の公害、水俣病の場合には、その発生当事、海水の中の水銀濃度はきわめて低かったといわれており、ほとんど測定にひっかからないほどの1ppb程度(1gの100万分の1が1Lに解けている)であったにも関わらず、魚では約10ppm程度も蓄積し、あのような人体悲劇がおきたわけです。つまり水俣病の場合、水銀濃度は水から魚に約1万倍の生物濃縮が起きたということを最近お亡くなりになった公害問題の大家、宇井純さんはいわれています。

 このことから言えることは、水の中の化学物質の濃度がきわめて低いPPBレベルだからといって、魚、そして人の安全性が保障できるわけではないということです。
 
 現在の水質基準は、それよりはるかに甘いPPMレベルで決められていることを私たちは再認識しなくてはならないと思います。

 ですから今日、申し上げたいことは、危険な化学物質も薄めて流せばよい、そうすれば水質基準をクリアーできるという考えはもう止めなければならないということです。そのつけはいずれ人に何倍にもなってかえってくるからです。

 この化学物質の生物濃縮の問題は、最近すっかり話題にのぼらなくなった、環境ホルモン問題の重要なポイントでした。

 そして環境ホルモン問題の発祥の地、アメリカの五大湖も霞ヶ浦と同じように、周辺から工場排水や生活排水が大量に流れこんだわけですが、そこでPCBなどの化学物質に汚染された魚を食べていた妊婦から生まれた子の知能レベルが低下したという研究が発表されています。大人には何もおきていないと安心していても、胎児の知能には影響があったことで、子や孫のためにはもっと私たちは慎重にならなくてはならないということをそれは示しています。

 最近、私は霞ヶ浦問題のある専門家の方とお話しましたが、その先生が「霞ヶ浦の水は水質の健康基準をクリアーしているから問題ありません」といわれたのに非常に驚きました。

 なぜならば、この6,7年環境ホルモンの科学では“低レベル問題”が話題になっており、これまでの科学の常識を覆す超低レベルの化学物質がヒトに影響を及ぼすことが明らかになってきているからです。また、他にも問題はあります。それは複合汚染の問題です。

 現実には何百、何千の化学物質が湖に流入していますが、現行の水道水の化学物質規制は、ひとつひとつの化学物質についてなされたおり、いくつもの化学物質の複合影響について、まだ科学的にはほとんど解明されていません。
 危険性が証明されていないから安全なのではなく、安全性が証明されていないので気をつけなくてはならないと考えるべきです。
 従って、水質基準そのものが現実にはまだ甘すぎ、私たちは徹底した予防原則で対処しなくてはならないと思います。

 具体的提案としては3つあります。

 飲料水の水質ついて霞ヶ浦独自のさらに厳しい基準を設定すべきです。現行の水質基準にはたとえば危険な有機塩素系物質についてはその代表的なものしか含まれていないので、さらに物質数を増やし、基準を厳しく規制する。それは、農薬についても同じです。厳しい規制は他の地域で実施していないから霞ヶ浦でもしないのではなく、他の地域で行っていないからこそ霞ヶ浦で実施すべきと考えます。

 次に下水のことですが、現在霞ヶ浦では私たちの体からでたものを濾過して飲んでいる状態ですが、これをさらに数十年も続けてよいのでしょうか。できれば、下水の系外放流の道をもっと模索すべきではないかと思います。世界の他の湖でも下水を系外に出しているところはあります。

 3番目の提案としましては、魚にどの程度の生物濃縮がおきているのか、PCBなどの化学物質濃度を測定すべきだと思います。測定して悪い結果がでると対策をたてなくてはならず、風評被害の問題もあるでしょう。しかし、すでに風評被害と子や孫の知能や健康の問題は天秤にかけけられる状況ではなくなってきていると思います。

 被害がおこってから事後処理するのではなく、事前に徹底した予防原則で霞ヶ浦は対応してほしいと思います。

利根川水系河川整備計画の策定に関わる公述(公述)

3/8 13:00 霞ヶ浦(霞ヶ浦環境科学センター多目的ホール)に参加したメンバーの公述内容です

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利根川水系河川整備計画の策定に関わる公述

2007年3月7日
塚越恵子  取手市在住

 私は「八ッ場ダムを中止させる茨城の会」の塚越恵子と申します。同ダム建設の差し止めを求める裁判の原告の1人でもあります。この運動への直接のかかわりは、私が茨城県議をしておりました折に、八ッ場ダムの工事期間の延長議案が平成13年、所属の総務企画委員会に付託され、その期に同ダムについて調査をしたことによります。利水上も治水上も必要が無いどころか環境破壊・危険性も大きいとして、議会で工期延長に反対し八ッ場ダム建設の中止を求めました。また、霞ヶ浦導水事業についても県議会で何回となく議論する機会がありました。茨城県が国の方針をそのまま受けダム建設に次々参入した結果、環境破壊や多大な水余り状況を生み出しそのツケを県民に関東一高い水道料金として押しつけていく、この悪循環を改めねばと言う思いをますます強く持った次第です。その後、議席は失いましたがこのまま見過ごしてはならないと言う思いは更に強いものがあります。

 さて、本日は利水問題に関して公述いたします。

 首都圏の水需要は減少傾向にあり、どの都県も水余り状況をきたしています。とりわけ茨城県における水余りは深刻で、このため水道問題や環境問題に取り組む市民団体や県民は長年にわたり「過大な水資源開発はやめよ」と水行政の転換を求めてきました。

 今年1月、県は水需給計画を見直し、1日45万トンの余剰水がでることを認めました。現行のいばらき水のマスタープランが平成32年度の一人一日当たり最大給水量を508リットルと見込んでいたものを、同予測455リットル(先頃450リットルに修正)と下方修正したこと等によるものです。しかしこれでもなお実績を無視した過大な水需要予測といわざるを得ません。 

 水需要は平成9年頃から横ばい・もしくは下降の状況であり、今後の人口減少予測や節水思想・節水機器の普及などを勘案すれば、平成16年度の県の一人一日最大給水量391リットルの実績値から漸次減少していくと見るのが常識的でしょう。

 たとえば大阪府や横浜市は需要予測に当たって、水洗便所用水、風呂用水、洗濯用水など用途別予測を世帯人員ごとに分析するなどし、2000年以降は右肩下がりに減少していくとしています。ダムに頼らず、本来貴重な水をいかに大事に使っていくか。国や地方自治体が何よりも真剣に取り組むべき喫緊の課題ではないでしょうか。

 私どもは今回の水需給計画見直しについて県に対し、455ないし450ℓとの予測はこうした分析をした上でなのかと尋ねましたが、答えはNOでした。茨城の予測値は科学的根拠も無く県民から見て納得のいくものではありません。水源開発による保有水源量が先にある・前提だということは明らかです。余剰水が出るならば、八ッ場ダムなどへの事業参加を取りやめることこそが一番の解決策です。
 
 「八ッ場ダムを中止させる茨城の会」では昨年、現在の県の水道用水と工業用水の余剰水は80万㎥/日であり、200万人の水道水がまかなえる分だと指摘しました。(一人1日最大給水量を400リットルで試算)これに八ッ場ダムをふくめ新たな水源62万トンがさらに加わることになります。人口300万人に満たない茨城県で、600万人を優に超える水を保有して一体なにをしようと言うのでしょうか。

 「余剰水は河川や水路を浄化させるための環境用水や危機管理水量として使う」など言う今回の県の説明は、言い訳もしくは居直りとしか映りません。環境を破壊し莫大な税金をつかった結果の、多大な余剰水を「川をきれいにするために川に流す、導水に使う」などと言って誰が「なるほど」と思うのでしょうか。ちなみに、度重なる開発で水質が劣悪な状況となり、在来魚が絶滅の危機に瀕している霞ヶ浦に利根川・那珂川の水を流し、水質の浄化を図るというのが霞ヶ浦導水事業です。しかし、これではかえって窒素量を増加させ浄化につながらない等の指摘に対し、国会審議の中、国も「大変難しい問題」と答えている状況です。(平成14年衆議院決算第4分科会)
また、ダム開発は税金の無駄遣いとともに住民には高い水道料金として跳ね返ります。そのため、茨城県民は高すぎる水道料金に長い間悩まされてきました。とりわけ県南地域は東京や他県から転入してきた方が多く、これまでの倍以上の料金になったとして、「水道料金の値下げを」「県との過大な契約水量を実態に即して改めよ」との要望・声は年々大きくなっています。重税や住民負担が強まるもとで、この要求はさらに切実です。
 
 今、述べた水余り状況は茨城県ばかりではないことを、一番御存知なのは実は国土交通省なのではないでしょうか。かくも過大な水源開発計画を策定し各県に追随させているのは当の国交省なのですから。この現状に目をつむり何が何でも開発優先というのでは余りにも無責任すぎます。将来にも大きな禍根を残します。
 
 平成14年に私は、霞ヶ浦導水事業の事業規模縮小に関する国会でのやり取りを傍聴しました。その折、事業を縮小したにも拘らず総事業費は従前と全く同額で、しかも当事者の県には説明が無いことを質問者の議員がただしたところ、当時の河川局幹部職員が、事業費が増えるか減るかといったことについて、「そういったことをいちいち県議会に諮ってということをやったんでは、これまた大変な手続きでして」と答弁したことに驚き、怒りを覚えたものです。このことを私、県議会でも取り上げました。「国会の議事録によるとそのとうり」との県当局の答えに、与党議員からはため息ともどよめきともいえるこえが期せずして起こりました。(同ダムを推進する者として)有権者に説明がつかないということでしょう。事業費となる税金を支払っているのは主権者国民・県民であることの自覚が、国にはお有りなのでしょうか。水行政のあり方を環境との共生・関係住民とともに考え進めていくことを尊重する方向へ、国が名実ともに転換を図っていくことを真に望むものです。
 
 これ以上の水源保有は茨城県はじめ首都圏のどこでも必要としてはおりません。よって、平成9年改正の河川法にのっとり関係住民の意見を反映していただき、八ッ場ダムや霞ヶ浦導水事業など不必要なダムは「利根川水系河川整備計画」」から排除する・組み込まないことを強く求め意見を述べるものです。

2007年3月14日 (水)

利根川水系河川整備計画「霞ヶ浦」に関する意見と提案

○3/8 13:00 霞ヶ浦(霞ヶ浦環境科学センター多目的ホール)に参加したメンバーの公述内容です
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利根川水系河川整備計画「霞ヶ浦」に関する意見と提案
NPO法人アサザ基金 代表理事  飯島 博

1.霞ヶ浦の管理目標水位を自然環境保全に配慮したものにする。11月16日から2月末まで の水位の上昇(Y.P1.3m)をY.P1.0m以下に見直す。

 霞ヶ浦の管理目標水位は予め数値によって定められたものではなく、判断材料には自然環境への配慮が盛り込まれています。管理目標水位の設定にあたり自然環境への配慮が重視されることは、「霞ヶ浦開発施設に関する施設管理方針」(以下、管理基本方針)の第3条に第1項には「この施設の操作は常陸川水閘門の操作と一体となって、次に定めるところにより行うものとする。この場合において、湖岸の動植物等霞ヶ浦の環境の保全に十分配慮するものとする。」と明記されているとおりです。

 1995年当時には、利水上限水位の運用による自然環境への影響を懸念する指摘が「霞ヶ浦・北浦をよくする市民連絡会議(以下、市民連絡会議)」からあり、霞ヶ浦工事事務所は自然環境への配慮を一部反映した管理目標水位を設定し、その理由を「ヨシを主体とした植物の生育期、開花・結実期である4月から10月中旬は、YP1.1mを中心として管理を行います。」(建設省関東地方建設局・水資源開発公団1995年10月)と説明しています。

 1996年から上記の管理目標水位に基づく霞ヶ浦開発事業の運用が実施されましたが、2000年までにアサザ群落などの植生帯が急激に減衰するという事態が生じました。植生帯の減衰の原因として、冬期の水位管理にあるとの「市民連絡会議」とアサザ基金の指摘を受けて冬期の管理目標水位YP1.3mがYP1.1mに暫定的に変更されました。2000年以降は市民と国交省、NPOの協働による植生帯の保全再生(自然再生)を目的にこの暫定的な水位管理が実施されてきました。

 このような経緯を見ても、霞ヶ浦河川事務所と水資源機構はその時々の状況に合わせ自然環境への配慮や自然再生事業の一環として、管理目標水位の設定や暫定的な水位管理を実施してきたことが理解できます。しかし、研究者からは現在暫定的に行われているYP1.1mによる通年管理によっても、植生帯の減衰や多様性の低下が継続していることが、科学的なデータに基づき指摘されています。

 今後の管理目標水位の設定にあたっては、Y.P1.0mを上限に自然のリズムに合わせ冬期に低く夏期に高めの水位管理を行うよう求めます。茨城県の長期水受給計画改正案では余剰水が一日45万トンも生じるとしています。これにより将来の水需要の増加を想定して行われている冬期の水位上昇実験の根拠は失われました。また、冬期の水位上昇(Y.P1.3m)による影響はすでに1996~2000年までに実証済みであり、この間に行われたモニタリングのデータを解析することで明らかにすることが可能です。特に、既存植生に影響を及ぼす恐れのある冬期の水位上昇実験はすぐに中止するべきです。

2.常陸川水門(逆水門)の柔軟運用を提案します。
 アサザ基金は逆水門の柔軟運用を提案しています。(詳しくはアサザ基金ホームページ参照)河川中央部を移動するシラスウナギなどの魚類の遡上を可能とする水門管理を実施して、湖の生態系や水質の保全と漁業振興、地域活性化を同時に実現させるという提案です。逆水門の柔軟運用は秋田県八郎湖や鳥取県東郷池等でも実施されています。

3.消波施設の設置について。
 石積みの消波施設は生態系を分断し、ヘドロの堆積や水質の悪化、外来動植物の増加等の悪影響を及ぼします。消波施設の設置が必要な場合には、順応的な管理が可能な粗朶消波施設の設置を行うよう提案します。霞ヶ浦では国交省が1996年以来、粗朶消波施設を設置してきた実績があり、これまでの経験を活かして設計に改良を加えていくことを要望します。粗朶消波施設は琵琶湖や八郎湖でも設置が行われています。

持続可能性を保障する計画を

○3/8 13:00 霞ヶ浦(霞ヶ浦環境科学センター多目的ホール)に参加したメンバーの公述内容です。

利根川水系河川整備計画の策定に係る公聴会意見陳述
持続可能性を保障する計画を

1 持続可能性確保が義務
(1)独立した水系間の水資源相互補完は生物多様性条約違反:霞ヶ浦導水事業は、利根川水系内で完結する事業ではなく、那珂川水系という他水系との間での水資源交換によって新規都市用水の開発、既得用水の補完および水質浄化を行なおうとする事業であるが、その最大の問題点は、二つの独立した生態系間で遺伝子や種、生物群集の交換によって生態系撹乱が引き起こされる点にある。導・送水によって微生物、藻類、水生動物の卵稚仔の移動が強制的に起こり、生態系の劣化・崩壊が引き起こされる。生物多様性条約第14条では「締約国は、可能な限り、かつ、適当な場合には、次のことを行う」とし、「生物の多様性への 著しい悪影響を回避し又は最小にするため、そのような影響を及ぼすおそれのある当該締約国の事業計画案に対する環境影響評価を定める適当な手続を導入し、かつ、適当な場合には、当該手続への公衆の参加を認めること」と定めている。わが国の水資源開発事業が、途上国へ技術移転されつつある中で、このような事業が世界各国で適用されれば、地球規模での自然破壊が加速され滅亡に向かうことは必至である。

(2)当該事業による私たちの地域の生物多様性崩壊:以上は、一般論であるが、当該事業が実施された場合を考えてみよう。
 2003年10月コイ・ヘルペスウィルス病が霞ヶ浦北浦で発生、養殖ゴイや天然ゴイが大量に斃死し生態系に大きな影響を与えると同時に、以後、コイの移動が法律によって禁止され水産業に甚大な打撃を与え大きな社会問題となった。霞ヶ浦導水事業が実施されていれば、その被害は那珂川および涸沼にも及んでいたことになる。また、比較的大型の外来種であるブラックバス、ブルーギル、アメリカナマズ、カワヒバリガイ等についても、仔稚魚・幼生が容易に導水とともに他水系に添加され生物多様性を劣化させることになる。既に事業が実施されている霞ヶ浦開発事業、霞ヶ浦用水事業ではその影響が広範囲に及んでいることが確認されている。もし、霞ヶ浦導水事業が実施されれば、那珂川や涸沼で上記の外来種が在来種の生物群集に影響を与え、霞ヶ浦と同じような生態系池破壊を引き起こす危険性がある。特に、シジミ、サケ、アユは漁業対象種であり、それらに係る産業、生活、伝統文化等の継承が困難となるおそれがある。

(3)本当に恐ろしいのは未知の影響:外来種が在来水生生物に与えるさまざまな影響は、①生態的影響、②遺伝的影響、③病疫的影響、④未知の影響等とされ、特に、未知の影響こそが外来種が内在する最大の脅威とされている(細谷和海2001)。コイ・ヘルペスウィルスによる全国規模でのコイの斃死と産業・文化等への影響は、それまでわが国では未知であり、その影響の深刻さは計り知れないものがあった。この事件は、この未知の影響・被害の恐ろしさを示す事例であった。

2 水資源開発の必然性はない
しかしながら、上記のような場合であっても、独立した水系間の水資源補完が許される場合もあるかもしれない。例えば、水資源開発が行なわれなければ地域の人々の生命が脅かされるといった場合である。しかしながら、当該水資源開発事業の上記の3目的は、すべてその必然性を欠くものである。

(1)水は余っている:まず、水需要であるが、市民サイドから度々水余りが指摘されてきたが、最近の調査では約100万m3/日の水余りが指摘されている(谷萩他2006)。茨城県も平成2002年、3.5m3/sの開発水量を削減し、さらに最近、なお不十分ではあるが、45万m3/日(5.2m3/s)の削減を発表し、水余りは一層明らかとなってきている。

(2)水資源の相互補完は望めない:既得用水の相互補完についても、利根川および那珂川水系において同傾向の降水量時系列変化や渇水被害を示すことが過去の観測資料(水戸気象台月報)で明らかにされている(舟木2001)。したがって、二水系間で相互に河川水を補完し合うことは困難である。

(3)導水事業で霞ヶ浦湖水のCODが上昇する:霞ヶ浦導水工事事務所は、導水による水質浄化効果をシミュレーションによって約0.9mg/l削減できるとしている(霞ヶ浦導水工事事務所1995)。しかし、その効果は、植物プラントン出現種に大きく影響をうけることが指摘されており導水によって逆にCODが上昇する場合のあることが明らかにされている(浜田他2004)。こうした場合には、巨費を投じて導水事業を行なった結果、予測に反してCODが上昇し、上昇したCODを削減するために新たな浄化を必要とするという最悪の事態が発生する。

3 河川法改正の理念にたちかえる
以上のように霞ヶ浦導水事業は不必要であるばかりでなく地域に災いをもたらす危険性をかかえている。私たちは、過去3回にわたって国土交通大臣当ての公開質問書で、こうした問題点を指摘するなどして霞ヶ浦導水事業の見直しを、また、霞ヶ浦河川事務所の意見交換会では、水資源開発事業を再検討するための「円卓会議」設置を求めたが、いずれも実現されていない。霞ヶ浦導水事業が完成すれば、その技術は、先進的な水資源開発事業として各国に技術移転され、地球規模での生物多様性の劣化を引き起こし、持続可能性を脅かすことになる。地球環境問題で先進的な活動が評価されつつある中で生物多様性条約に抵触する事業を実施することで国際的信用を失うことは避けなければならない。こうした事業は中止すべきであるが、まずは、事業を一時中断し公開の討議の場を設定、住民の合意を得た持続可能性を確保できる河川整備計画が立案されることをお願いする。

霞ヶ浦導水事業を考える県民会議共同代表 浜田篤信

引用文献
浜田篤信他2003.霞ヶ浦水資源開発事業の環境影響評価に関する研究Ⅱ霞ヶ浦研究14、細谷和海2001.日本産淡水魚の保護と外来魚,水環境誌5, 273. 舟木賢徳2001.利根川と霞ヶ浦・那珂川の渇水時期はほとんど同じ, 霞ヶ浦導水事業考パンフレット. 谷萩陽一他2006.八ツ場ダム費用支出差止等請求住民訴訟事件第5準備書面.

後世に禍根を残さない河川整備計画の策定を求める 

○3/1 15:30 利根川・江戸川(佐倉市中央公民館大ホール)に参加したメンバーの公述内容です。
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後世に禍根を残さない河川整備計画の策定を求める 
パワーポイント資料「nakamura0315.ppt」をダウンロード
 
佐倉市 中村春子

 まず八ッ場ダムについて申し上げます。
 半世紀以上も前に計画された八ッ場ダムは、利根川水系の治水、水需要の増加に対応するとする利水あるいは渇水に備えるためと何が何でも必要だと国も県も主張し、現在の社会情勢を反省することもなく、しゃにむに進められています。しかし、あらゆるデータは八ッ場ダムが必要ないことを示しています。
 
 実際の水道給水量は人口が集中している首都圏、利根川流域一都五県では、1990年代になってからほぼ横ばいになり、1995年以降は減少傾向にあります。2015年をピークに人口減少は明らかであり、水の需要はますます縮小し、水余りの時代に入っていくことは確実です。また、渇水対策でいえば、八ッ場ダムはいちばん利用量の多い夏期の利水容量は、八ッ場ダムの総貯水容量1億750万トンの1/4の2,500万トンしかなく、渇水対策にはほとんど役立ちません。

 治水面で言えば、来るはずのない過大な洪水流量を設定し、基準点の八斗島地点での基本高水流量を22,000トン/秒としたことで、大規模河川事業と八ッ場ダム等のダム建設を正当化している根拠になっています。

 現在、国も地方自治体も財政は危機的状況です。八ッ場ダムの事業費は、従来の2110億円から2.2倍の4,600億円に膨れ上がり、ダム事業費としては全国一です。しかし、これだけでは済まないのです。関連事業費(水源地域対策特別設置法、水源地域対策基金、地域振興事業費)を含めると、総事業費は5,850億円になり、起債の利息も含めると、8800億円となります。これら巨額の費用は、国税として一般国民に、また県民税、水道料金として孫子の代にまで住民の肩に重くのしかかってきます。

 八ッ場ダム建設のみならず、今回示されている利根川水系河川整備方針にある河川事業は、巨額の費用を要するにもかかわらず、その事業費は主権者である流域住民に何も示されていません。一つを例にとれば、私たちの目の前にある印旛沼を「調節池」として活用する新しい利根川放水路計画は、毎秒1,000トンの洪水を印旛沼を経由して、東京湾に流下させるものです。これらを実行するには、今の約10倍の水量流下のための水路の大幅拡幅掘削、堤防のかさ上げ、何千戸ともいえる家屋の移転が必要な大事業です。自然環境は改変します。佐倉市内では度々の内水被害もあります。

 国交省はほかにも大規模開発事業を、今、策定を進めている河川整備計画で位置付けようとしています。私たちは、昨年、利根川上流群馬県沼田市を始め、渡良瀬遊水池、利根川河口堰、印旛沼、霞ヶ浦開発等の現地見学をして、その必要性に疑問を感じざるを得ませんでした。今まで行なわれた大規模開発事業、ダム建設、河口堰建設などで環境は大きく変化し、地元住民、漁民は多大な被害を受けてきたことがわかりました。1971年にできた利根川河口堰では建設直後からシジミの大量死が続き、現在では全く漁獲できない状況になっていました。また、霞ヶ浦と利根川を結ぶ霞ヶ浦導水事業は目的の一つである渇水時に霞ヶ浦を経由して利根川や那珂川に導水するものですが、霞ヶ浦の水質が劣悪であるため、現実にはできないでいます。また、利根道水路は完成してから17年も経過しているのに試験通水時に利根川でシジミの大量死が起きたため、漁協の反対で再試験通水もできず、利根導水路は「開かずの門」となっていました。このように実際の意味がなく、必要性のない事業に巨額の費用が投じられています。限られた予算の中で、最大の治水効果のあるもの、確実に氾濫の防止に寄与するものを選択しなければ、利根川の自然は大きく損なわれ、次の世代に莫大なツケを残すことになります。私はこのことを強く発言したく、この場に参りました。

 また、この整備計画の策定手法は、今多くの人々から1997年の河川法改正の趣旨から大きく逸脱した策定議論に住民を入れない、住民の意見は公聴会等で「聞き置く」のみとする非民主的手法であると非難されています。私は、利根川流域の市民として、流域住民の意見が反映される場を設け、国交省と住民の双方向での議論ができるよう、公開討論会の開催を強く求めます。このままではまた机上のプランで事業が進み、被害を受け、負担を強いられるのは、私たち市民なのですから。これで、公述を終わります。                

住民の生の声を

○3/1 15:30 利根川・江戸川(佐倉市中央公民館大ホール)に参加したメンバーの公述内容です。

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国土省・公聴会 公述要旨 (於ける 佐倉市)2007年3月1日 
パワーポイント資料「murakoshi0315.ppt」をダウンロード

公述します。千葉市に住んでいる、村越啓雄ともうします。

私は、河川整備計画が自治体にどのように評価されているか、住民にどのように広報されて今日があるのか、住民の生の声を、国土省や、国民皆さんにきいていただきたい、この視点で公述いたします。

これは河川整備計画をあらわした、国土省作成の図面です。中央を左右に伸びている青い線が利根川で、右下の赤丸に表している箇所が新利根川放水路の計画です。

この、新利根川放水路計画は、昨年、突然に計画が公表されました。利根川の洪水を印旛沼を遊水地として、千葉の花見川を経由して東京湾に放流するというものですが、現在は印旛沼から利根川に放流しているものを、逆に利根川に流そうという計画です。
 
これに対して、自治体はどのように評価しているのか。千葉県は全国知事会のHPに印旛沼の整備についてこのようの広報しました。先進政策バンクとして、印旛沼::

事業の進め方として、印旛沼方式を提案しています。それは、①みためし計画―必要に応じて計画を点検、見直します。次に、住民とともに進める計画・・・
次に、行政間の相互連携による計画・・・を決めています。

次に印旛沼の周辺市である佐倉市は、観光協会のHPに印旛沼の、また治水は20年かけてやっと完成し、自然と協調することができ、自然を観光資源としてとらえてその安定を願っています。

周辺市のひとつ、成田市は、印旛沼総合開発事業びついて、平成20年までに利根川方向へ排水できる施設が完成し、安心した治水が期待できる、と評価し、利根川の洪水を受け入れる計画をまったく評価していません。

東京湾に放流する花見川を抱える千葉市は、川の都市と自然の調和を計りながら、川と緑の魅力が活きる町の実現を目指す、として、現状の倍の水量がながれる計画についてまったく、評価していません。

このように、沿線の自治体は、新放水路をまったく望んでいません。
千葉県の姿勢にあるように、住民とともに進める計画を。みためし計画で、行政間の相互連携による計画を。であらわされています。
放水路計画にかかる経費―2000億円といわれている経費は、どこが負担するのでしょうか?

次に、やんばダムについての自治体での問題を公聴します。
公共事業は、政策評価法に基づき、再評価を実施します。計画策定から、5年を経過した時点で、継続する必要性について精査しなければなりません。千葉県に対しては、水道施設整備事業として、やんばダム建設事業へ千葉県が参加することの再評価について指示されました。

再評価の主要なチェックポイントとして、第三者による評価を行い、行政はその結果を尊重することが求められています。

第三者評価とはどのように行われて、行政評価法の基準を全うしたのかについて、見てみます。これは、第三者委員会の議事録です。千葉県は、水道工学専門家、ライフライン事業者、公認会計士、消費者団体代表の4名に委嘱し、各専門分野からの意見を聴取できるから、と委嘱の理由を説明しています。

平成16年12月22日、14時00分から、15時10分まで行われ行われ、事業の継続に賛成、の結論が得られた、と結んでいます。

このページは、再評価委員に提出された資料の目次です。6ページの資料であることがみてとれます。また、南摩ダムについての再評価も、同時に行われたことがわかります。

なんと、会議の挨拶も含めた70分の間に、2つのダム事業、場所も内容も異なる2つのダム事業について、わずか6ページの資料によって、費用対効果については、551億円余の建設事業費。ダムの維持管理費が年額5500万円かかり、便益は水道水の減断水の被害が890億円が救済される。したがって、費用対便益比は1.67である。ということを、各分野の専門家の皆さんが、6ページの資料で1事業あたり30分の時間で精査し、結論した、ということであります。

このような、まやかしの手段によって得た結論を、千葉県は国に報告した、ということです。この事実をみたとき、再評価が正常に実施されたとはいえません。国土省は、千葉県の報告書1枚での結論を評価せず、自治体での検討経緯を把握して、国土省自らの再評価に反映させなければなりません。

このような現状である整備事業について、①みためし計画―必要に応じて計画を点検、見直す。②住民とともに進める計画 ③行政間の相互連携による計画 が、必要であることを主張して終わります。

2007年3月10日 (土)

「河川整備協議会(仮称)」の設置を(公述)

○2/28 17:30 利根川・江戸川(野田市中央公民館講堂)に参加したメンバーの公述内容です。

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高橋盛男

 私たち、流域住民の目から見ると、河川の整備事業は、ある日、突然に始まります。それまでなじんでいた川の風景が大きく変わり、そこに棲む生き物の様相が変わり、私たちの河川利用の形質もそれにともなって変化を強いられます。

 多くの場合、それら整備事業は治水・利水にかかわるものですが、何を目的にどのような手順で、それらの事業が行われるのかを知る流域住民は決して多くはありません。そのことが、河川事業に対する懐疑と不満を流域住民の間に植えつけ、一方では誤解も生んでいます。

 私は地元の松戸市で毎年、江戸川流域に関するシンポジウムや意見交換会などの催しに関与していますが、そこで会場から出される意見は「知らないこと、知らされないこと」に由来する、まさしく懐疑の声が多数を占めます。

 今後の河川事業では、まず住民への広報と情報の公開に力を入れる必要があると思います。いかに高い理想と目標を掲げる事業でも、それが受益者の理解が得られなくては、その価値が社会的に認められているとはいえません。今後、日本が人口減社会を迎え、公的資金の適正な配分と利用が求められるようになると、この「事業の社会的な価値」が大きな問題として取り沙汰されるだろうと思われます。

 しかし、利根川水系河川整備方針、同整備計画策定にかかわる資料等を見る限り、事業の社会的価値を流域住民と共有するための方策が希薄であるという印象を拭えません。この点に配慮していただきたいと思います。

 先に「広報と情報公開」に力を入れる必要があると言いましたが、流域住民と行政間の事業価値の共有となると、一方的な情報の提供だけでは不十分です。やはり、意見を交わし、協議に基づいて住民の意見が施策、事業に反映されていく明確な仕組みが必要とされます。

 河川法では、河川整備計画の策定において住民意見を反映させることとしていますが、計画の策定のみならず、整備事業の実施においても「住民意見の反映」は重視されなければならないと考えます。それも、今回の整備計画策定のように「意見を聞くだけ」ではなく、「協議をもって合意づくりを進める」ことが大切です。

 その意味では、淀川流域市民委員会、いわゆる淀川方式に習う点は非常に多いと思います。一般の市民の含む多様な立場の関係者による協議の場を設け、河川のあり方、事業のあり方についての議論を深めることは、とくに治水事業に対する流域住民の理解を深めるうえでも有であると考えます。

 こうしたことから河川整備計画に、学識者、漁業関係者、河川関係のNPO、地域団体関係者、自治体職員などで構成される協議の場として「河川整備協議会(仮称)の設置」を盛り込むよう求めます。

 私は、現在の基本高水の設定は過大であり、それに基づく治水事業計画も過剰であると考えています。たとえば、江戸川全線をスーパー堤防化するなどというのは、絵空事のような話しです。また、洪水が河道の中だけで処理され、それを前提として周辺の都市整備や土地利用が、洪水対策への配慮がほとんどなしに進められている現状には問題があると思っています。

 しかし、そうしたことの是非よりも重要なのは、流域住民が納得しうる事業であるかどうか、すなわち住民自らが選択的に認めた事業であるかどうか、あるいはそのための「意見反映」の手順を踏んでいるかという点にあります。治水レベルを向上させるにしても、環境にどのような配慮をするかについても、この協議に基づく意見反映のプロセスが仕組みとして位置づけられなければならないと思います。

 また、ときに流域住民は、こうした協議を通して魅力的なアイデアを提供することもあります。たとえば、松戸市域の江戸川左岸の高水敷に「ふれあい松戸川」という人工河川があります。これは当初、導管を埋設して浄化水を流す計画だったのが、住民の発案で現在のような開放型、多自然型の人工河川になったのだと聞きました。こうしたことも協議の場があってこそのものです。

 今回、利根川水系の河川整備計画策定にあたっての「意見反映」の機会が有識者会議と公聴会に分離され、公募の住民を含む協議の場が設けられなかったことを非常に残念に思います。

 関東地方整備局は「多くの市民団体から特定の人を選ぶのは無理」との理由で、公募住民を入れなかったそうですが、これに対して「河川法の趣旨に反する」という意見が有識者会議であったと聞きます。私もこの意見に同感で、流域住民を含む委員会が設けられなかったことを甚だ遺憾に思います。

 ぜひとも計画されている河川整備事業について、流域規模で継続的に話し合える場として「河川整備協議会(仮称)の設置」を検討してください。

一般論と問題点(公述)

○ 3/6 13:30 利根川・江戸川(春日部市市民文化会館)に参加したメンバーの公述内容です。

利根川水系河川整備計画公聴会公述書:     
2007年3月6日 
所沢市 河登一郎

はじめに:前半で公共事業に関する一般論、後半では主に八ッ場ダムを念頭において問題点を指摘したい。

1. 利根川水系は、上流・中流・下流・周辺を含め公共事業の塊である。

公共事業は、正しく企画・実行されれば、利水・治水・交通の便など国民生活に多大な恩恵をもたらす反面、その多くは巨費を伴う=税金を使う。また、事業の性格上国土を切り刻むことも多く、当然、深刻な環境負荷や生態系の破壊をもたらす。地域の伝統や生活・人間関係の破壊を伴うことも少なくない。

2. 一方、日本の財政が危機的状況にあることは説明不要。夕張市はまさに日本の縮図である。

長年、行財政改革に問題意識を持ってきた一人として、財政危機の主因を一言で表現すれば、税金の壮大な浪費である。国・地方自治体・特殊法人(独法)・特別会計など、公共事業を含めてすさまじい浪費の実態がある。先月、静岡県庁前で一人の男が、ガソリンをかぶって焼身自殺した。その遺書に「正気の人間が、狂気の選択をせざるを得なかった(それほどの無法が横行している)」。もちろん、これは静岡空港の問題であり、利根川水系問題と直接の関係はないが、公共事業に共通の問題を孕んでいる。情報公開を実現し談合をなくした浅野史郎氏に対する東京都民の熱い期待に国民は強く共感している。

3. どうすれば良いか:従来手法の延長線上の改善の小さな積み重ねは大切だが、それだけでは全く不充分。既に公共事業の一律カットやODA削減などいくつかの対策が実行に移されており、H19年度は<景気好転?>とも重なり財政も大幅に改善すると政府は自賛しているが、正確には国の借金の<増え方が減った>だけで、現実には更に5兆円も借金は増える。この深刻な事態への対策は、ゼロベースで根本から見直す;単なる改善を超えた・スローガンでない本物の改革が不可欠である。

利根川水系河川整備計画策定に即し、八ッ場ダムを念頭におき、より具体的に問題点を整理したい。

1.必要性に関する科学的な評価が不可欠である。水需要の減少傾向と供給力の乖離・治水上の効果・基本高水の妥当性など、事業の根本に関する科学的根拠が不充分である。必要ないという科学的に説得力ある根拠は公聴会でも多数示された。有効な反論があるなら、公開の場で双方向の議論をすべきである。

2.費用対効果を見直すこと:限度ある税金を有効に使うためには、ゼロを含む複数の選択肢の比較が不可欠である。ダム以外の選択肢として、河道整備・森林の保水力増強・地下水の活用・堤防の増強・氾濫の許容・伝統的工法・その組み合わせなど、多様な価値観に基づく幅広い選択肢を比較して判断することが必要で、「いわゆる有識者」の専門分野の知識だけでは限界がある。情報公開を徹底した上で、多くの流域住民のチエを結集すべきである。その結果、総コストの大幅削減と効果増大が可能になる。

3.コスト軽減を阻むもう一つの要因に談合がある。異常に高い落札率・現場責任者の逮捕・その他最近のきなくさい諸情報などを総合して、公正で開かれた競争によるコスト削減の余地は大きい。

4.経済面以外の価値も極めて重要である。

①環境負荷の軽減や生態系の保護は改正河川法の目的の一つ。生物多様性条約や環境アセス法に基づく科学的に説得力ある本物の環境評価が欠けている。

②地滑りや岩盤崩落の危険性も多くの専門家に指摘されている:万一危惧した事態が発生した場合の責任はどこにあるのか。奈良県大滝ダムの悪しき前例が想起される。「想定外」の地盤崩壊により住民の強制移転が余儀なくされた際、建設時の現場責任者がTVインタビューに答えた「昔のことだ。忘れてしまった」回答は象徴的である。いざと言う時に責任を取れない人たちに重要な政策決定を委ねることは正しいか。

③住民参画の重要性も指摘するまでもない。多様な価値観を反映して、都市住民の植林・農林業体験などを通じた現地住民との心の触れ合いや生き甲斐あるまちづくりは、金銭に換算できない貴重な価値である。

④多くの公述人が、直接の見返りを求めず、熱心に主張を続ける動機は明快である。
「正しいことは正しい。悪いことは悪い。」一般公述人こそ、知識と見識を兼ね備えた「有識者」である。

<今からでも遅くない>: 上記は、今から実施しても充分効果を発揮できる。多くは現行法制度の中でも実行可能である。<今からでも遅くない。> 官民協力して<美しい国>を作りましょう。   
 以上

利根川下流域の汽水環境の回復について(公述)

○3/6 13:30 利根川・江戸川(春日部市市民文化会館)に参加したメンバーの公述内容です。

2007年3月6日
利根川下流域の汽水環境の回復について
~利根川水系河川整備計画に対する意見

利根川流域市民委員会共同代表
江戸川大学教授 吉田正人

 利根川下流域や霞ヶ浦は、かつて香取の海と呼ばれた入り江であり、周辺には大湿地帯が広がっていた。江戸時代に利根川の東遷が行われた後も、利根川下流域および霞ヶ浦は、八郎潟、中海・宍道湖と並ぶ豊かな汽水域であった。

 しかし1963年に常陸川水門が、1971年に利根川河口堰が建設され、利根川下流域および霞ヶ浦の環境は一変した。湛水域の淡水化によって、汽水域を代表するヤマトシジミは姿を消し、ウナギなどの回遊魚も激減し、ブラックバスやアメリカナマズなどの外来魚が優占する環境になった。また利根川河口堰の湛水域の水質は悪化の一途をたどり、1997年前後にはクロロフィルa量に換算して200μg/リットル以上という多量の植物プランクトンが発生するようになった。
 
 2000年には北千葉道水路が建設され、利根川から江戸川に都市用水(最大40m3/秒)を供給するとともに、手賀沼に浄化用水(最大10m3/秒)を注水している。その結果、手賀沼は水質ワースト1を脱したが、手賀沼を浄化した水は利根川下流域に流れ込んだ。

 2004年の冬には漁民から河口堰湛水域において赤潮発生が指摘され、 日本自然保護協会の調査でクロロフィルa 量200μg/リットル以上の多量の植物プランクトンが発生していることがわかった。同年6月に開催された北千葉導水事業モニタリング委員会において、国土交通省は「利根川の水質変化について」を発表し、①利根川本川下流域には北千葉導水完成前から冬季に高い値のクロロフィルa 量が観測されていること、②クロロフィルa

 量は、手賀沼・印旛沼の出口の須賀地点から利根川河口堰に近づくに従って増えることから、北千葉導水による利根川下流域の水質への影響はないと反論している。しかし、このデータはむしろ、冬季の河口堰湛水域の植物プランクトン発生は、利根川河口堰の運用に起因することを裏付けるものとなっている。

 新河川法では、治水、利水に加え、水質・景観・生態系等を含む河川環境の整備と保全が法目的に加わった。河川整備計画の策定を機会に、常陸川水門、利根川河口堰の運用を改善し、利根川下流域と霞ヶ浦に、かつての豊かな汽水環境を取り戻すべきである。

 具体的には、利根川河口堰のゲート操作の運用を見直し、とくに冬季に、湛水域の水が停滞して水質の悪化を招かないようにすべきである。

 また、現在は堰操作を行う流量を、大潮時150トン/秒、小潮時90トン/秒と一律に決めているが、シラスウナギの遡上、シジミの幼生の定着時期などには、ゲートを開けて、塩水楔の先端が河口堰上流に入るようにすべきである。

大規模開発の時代から自然を取り戻す時代への転換を(公述)

○3/6 13:30 利根川・江戸川(春日部市市民文化会館)に参加したメンバーの公述内容です。
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大規模開発の時代から自然を取り戻す時代への転換を求める

嶋津暉之(利根川流域市民委員会)
パワーポイント資料「shimazu2.26.pdf」をダウンロード

① 利根川水系では過去に大規模開発事業が数多く行われてきた。ダムに関しては、直轄・水資源機構ダムだけ取り上げても、矢木沢、藤原、奈良俣、薗原、相俣、下久保、草木ダム、渡良瀬貯水池と鬼怒川系の五十里、川俣、川治ダムがある。さらに、利根川河口堰、利根大堰といった大型堰の建設、霞ヶ浦を人工貯水池に変える霞ヶ浦開発事業なども行われてきた。そして、今なお利根川水系では大規模開発事業が進められ、新たに計画されようとしている。ざっとみても、八ッ場ダム、南摩ダム、湯西川ダム、渡良瀬遊水池や稲戸井調節池の大規模掘削事業、霞ヶ浦導水事業、印旛沼を使った新利根川放水路計画などがある。

② 過去の大規模開発事業によって利根川水系の自然、漁民、地元住民の生活は多大な打撃を受けてきた。大型ダムの建設によって水没地住民の生活が根底から覆され、自然も大きく損なわれてきた。そして、霞ヶ浦や利根川河口部でも開発の影響は深刻である。霞ヶ浦では湖岸堤の建設で水生植物群落が破壊され、完全水ガメ化によって水質が悪化して汽水域が失われ、さらに、湖水位の人為的な変動によってアサザ等の水生植物が衰退した(ただし、水位操作は2000年11月から中断)。また、河口堰では建設直後から汽水域の喪失とヘドロの堆積でシジミが大量死し、現在は漁獲不能になっているし、湛水域の水の滞留で植物プランクトンが異常発生している。過去の大規模開発事業によって利根川の自然がどのように失われてきたのか、その現実を直視することが必要である。

③ 過去の大規模開発事業は二つの理由から進められてきた。一つは利水、首都圏の都市用水の増加に対応すること、もう一つは治水、カスリーン台風の再来に備えることであった。しかし、1990年代になってから、その状況と認識が大きく変わってきた。過去においては首都圏の都市用水は増加し続けてきたが、1990年代になってから、増加が止まり、最近はほぼ減少の一途を辿るようになった。減少の主な要因は節水機器の普及と漏水防止対策の推進である。この二つの要因はこれからも当分の間、働き続けるし、今まで増加してきた首都圏の人口も近い将来にはピークを迎えて減少傾向に転じるので、都市用水は今後も確実に減少していく。したがって、利水の面ではダム等の大規模開発事業を進める理由はなくなっている。

④ もう一つの治水はカスリーン台風の再来に備えるという理由であったが、それが再来した場合の洪水ピーク流量の想定値(基本高水流量)毎秒22,000㎥(八斗島地点)は実際の洪水流量(最近50年間の最大が9,220㎥)に比べて並外れて大きく、それに対応するためには利根川上流部に新たに十数基以上のダムをつくらなければならず、達成不可能な流量であることが知られるようになった。そして2000年以降、利根川上流では、治水目的も持つ多目的ダムが利水上の必要性がなくなったことにより、4基も次々と中止になっており、そのことから、国交省が示す22,000㎥の達成は緊急性を要しないものであることも知られるようになった。実際に今回の河川整備計画でも22,000㎥を大幅に切り下げた洪水目標流量が設定されようとしており(恐らく15,000㎥以下)、それならば、大規模開発事業などなくても、治水効果が確実な河道整備(堤防の嵩上げ・補強と河床掘削)によって十分に対応することができる。

⑤ このように、利水面の状況と治水面の認識が変わってきたことにより、大規模開発事業を進める必要性は希薄なものになってきている。

⑥ 以上のことを踏まえれば、大規模開発事業の中止は無論のこととして、これからはむしろ、過去の大規模開発事業によって失われた自然の回復に努めるべきである。幸いなことに、都市用水の需要の増加が止まり、最近は減少傾向になってきたことにより、大規模開発施設の必要性が計画策定時よりも小さくなったものがあり、その事業の見直しを進めることができる。その例として、霞ヶ浦開発や利根川河口堰がある。霞ヶ浦開発に関しては、計画水量の1/3程度しか利用されていないから、水位変動操作を行う必要はなくなっているし、さらに、霞ヶ浦の出口にある常陸川水門を部分的に開放することも可能となっている(水門の直上流にある鹿島農業用水の取水地点の変更は必要)。常陸川水門を部分的に開放すれば、完全水ガメ化の中止で水質の改善に大きく寄与するだけでなく、汽水性の魚介類が遡上して漁獲資源が大幅に増加することになる。利根川河口堰も同様である。

⑦ 以上のように、今なお数多くの大規模開発事業が実施され、進められつつあるが、利水、治水の両面でその必要性は薄れ、むしろ、過去の大規模開発事業で失われた自然の回復に努めることが可能となっている。利根川水系河川整備計画は、時代錯誤の大規模開発事業に終わりをつげ、失われた自然をできるだけ取り戻すことに主眼をおくべきである。

渡良瀬遊水池の大規模掘削工事計画に反対(公述)

○2/26 13:00 利根川・江戸川(江戸川区総合文化センター研修室)に参加したメンバーの公述内容です。

江戸川会場(2/26)公述 
   金町浄水場の水をおいしくする会  松本淑江

 渡良瀬遊水池の大規模掘削計画に反対の意見を述べます。

 皆様は渡良瀬遊水池をご存知でしょうか。東武鉄道日光線の沿線にあって、浅草駅から藤岡駅、又は板倉東洋大駅で下車し、東洋大駅前の自転車を利用して行けるサイクリングコースもあります。渡良瀬遊水池は面積の多い順に栃木、群馬、茨城、埼玉の四県にまたがる、日本で最大の遊水池で、広さは三千三百ヘクタール。山手線の内側の面積をイメージできますか。そのうちの半分近くの一千五百ヘクタールがヨシ原で、このヨシ原は本州で最大の面積を誇ります。東京からわずか六十キロメートル圏内にある、これほど広大なヨシ原は日本ばかりではなく、世界的にも湿地が減少する中で、大変貴重な存在です。

 ヨシ原には、さまざまな植物や動物、昆虫や鳥類が生息し、豊かな湿地の生態系が成り立っています。植物では、ワタラセツリフネソウ、昆虫では、ワタラセハンミョウモドキやイタクラキノメイガなどのように地元の名がついた種を始め、植物や昆虫は大変種類が多く、未発見の種が多数あると考えられています。ワタラセツリフネソウも最近になって発見されたものです。また、全国的には絶滅に瀕していると言われるミズアオイやヒメシロアサザ、トネハナヤスリなどの湿地特有の植物が数多く見られるのも渡良瀬遊水池ならではの特徴です。

 初夏になると、見渡す限りのヨシ原がいくつもの緑の波を次々にうねらせます。オオヨシキリ、コヨシキリのにぎやかなさえずり、カッコウの透き通って響く声。何もかも忘れてこの風景の中に身を置いていると、何にも替えがたい幸せな気分になり、時を忘れさせます。この宝物がいっぱい詰まっているヨシ原、この土地は、今から百年前までは、四百年も続いた谷中村があったところです。渡良瀬川の最下流に位置する谷中村は、時折襲う洪水が山間の肥沃な土を運んでくるので、無肥料で農作物が実り、養蚕も盛んで、渡良瀬川からの豊富な魚類と共に村民三千人の豊かな暮らしがあったといいます。

 ところが、明治十年代から上流の足尾銅山からの鉱毒の流出で、沿岸地域に鉱毒被害が拡大したため、被害を受けた農民は、明治政府への請願運動を繰り返しましたが、その被害はやがて利根川を経て江戸川にまで及び、社会問題に発展します。田中正造の明治天皇への直訴を機に鉱毒世論が盛り上がりましたが、明治政府によって谷中村は廃村となり、鉱毒溜めのための遊水池となりました。それから一世紀。村民の犠牲の上に遊水池は広大なヨシ原となって、動植物の宝庫として再生しました。

 こうした重い歴史をもつ渡良瀬遊水池の、わけても第二調節池は、広々と見渡す限りのヨシ原が続く、最も自然の豊かな場所です。この第二調節池に、五百万立方メートルの治水目的の掘削が行われるといいます。それは、第二調節池の2/3の面積を1,5メートルも掘削するというものですから、この一番自然度の高いところが大きく破壊されることになります。当然、ヨシをはじめとする貴重な植物、昆虫、哺乳類、その頂点に立つワシ・タカ類の生息の場が失われます。ワシ・タカ類にとって、この第二調節池は東日本最大の越冬地になっており、しかも残された最後の生息地と言われる、彼等にとって、なくしてはならない生活の場であります。渡良瀬遊水池のシンボル。それは猛禽類のチョウヒです。チョウヒは豊かな生態系が存在する渡良瀬遊水池を象徴する鳥です。

 大規模掘削が治水を目的とするというのであれば、谷中村が明治政府によって鉱毒溜めのための遊水池とされた、そもそもの始めからこの渡良瀬遊水池全体が治水目的で存在しているのでないでしょうか。遊水池全体の広さは三千三百ヘクタール。治水容量は一億七千万立方メートルといいます。ちなみに、これまでの最大規模の洪水は、平成十年九月の六千万立方メートルでした。このことから見ても、十二分にゆとりのある規模の治水容量が既に確保されているといえます。貴重な第二遊水池の自然を破壊して得る五百万立方メートルの治水容量はほんのわずかなものであり、必要とされるものではありません。

 昨年の冬は寒波の影響のためか、コハクチョウの群が一か月に亘る異例の滞在をしました。通常であれば渡りの途中で半日から二日程の飛来の例はあるものの、一か月もの滞在は珍しく、このヨシ原の中の池はコハクチョウにとってよほど心地よい場所であるようです。このような場所を含めた豊かな湿地である第二遊水池は、湿地であるがために生物多様性が維持されています。今、日本各地で貴重な湿地が減少している時、あえて必要のない工事でこの貴重な環境を破壊することは好ましいことではありません。私たちは、かけがえのないこの渡良瀬遊水池の自然を未来の世代に手渡すために守ってゆきたいのです。

 以上のことから、渡良瀬遊水池の大規模掘削工事計画に反対します。

総合治水対策と地下水利用を(公述)

○2/26 13:00 利根川・江戸川(江戸川区総合文化センター研修室)に参加したメンバーの公述内容です
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総合治水対策と地下水利用についての公述 (江戸川会場、2月26日)
    利根川流域市民委員会 田中清子

 今日は、東京都民としてこれ以上新規水源開発はいらないという立場から、国土交通省が建設省時代に打ち出した総合治水対策について、及び地下水利用について意見を述べさせて頂きます。

 都市に降る雨は、コンクリートやアスファルトに覆われた道路から下水道に流され、大地を潤すことも、地下水を涵養することもなく、ほとんど捨てられています。東京ではそうして捨てられる雨水は、年間の水使用量約20億トンを上回る25億トンにものぼります。足下に降る雨水を貴重な水資源として顧みることなく捨てながら、これから約8800億円もの巨費を投じて自然破壊し、上流の八ッ場ダムに水源を求めるとは、なんともったいない、不合理な話でしょうか。

 都市化によって樹木や農地を失った東京は、近年川の水の流量が減少したり、あちこちで湧水が枯渇しています。私の住む多摩地区でも、野川の流量が減り、半年くらい水の流れない川になってしまい、井の頭公園の湧水が枯渇し、井戸水を汲み上げて池に流している状況です。

 ところが他方、ひとたび集中豪雨に見舞われれば、川水が一気に増水して、都市洪水が発生します。不幸にも亡くなられた方まであって、都市洪水に対する危機管理のあり方が問われたのは記憶に新しいところです。鋪装面積の増大と緑の喪失によって、流域の保水機能が低下しているのですから、今後も都市洪水の発生は避けられない都市構造になっているのではないでしょうか。とすれば、流域の市街地と河川を一体にした、雨水の流出を抑制する施策が早急に必要となります。流域に降った雨を貯留し、せせらぎや水辺をつくり、大地に浸透させ、大気に蒸発散させ、健全な雨水循環を取り戻す施策に取り組んで解決する他はないでしょう。

 1977年に建設省は、総合治水という視点を打ち出し、雨水の浸透や貯留のための流出抑制施設を設置して都市洪水を防ごうとしてきた経緯があります。それまでの「河道主義」の治水対策の転換がはかられたのではなかったでしょうか。両国国技館や東京ドームの雨水利用はあまりにも有名ですが、歩道や駐車場の鋪装の浸透性の確保や、校庭や駐車場の遊水池化が提案されたはずです。その後もサッカー競技場や病院、学校などで雨水利用の建築が進められ、個人住宅でも取り組まれるようになっています。小型の雨水タンクを設置しようという市民運動も活発に展開されています。

 ところが健全な雨水循環を実現するための具体的施策や法律が、未だに整備されていません。一般家庭で雨水タンクを設置し、トイレの流し水として使用すれば、水道の使用量は確実に削減され、雨水の下水道に流出する時間を遅らせることが可能です。都市洪水を防止し、ヒートアイランド現象の緩和に確実に貢献するはずです。雨水を水資源として活用することの効用にもっと着目すべきです。

 大規模ダムに依存するのではなく、雨水タンクを家庭で設置するなどの身近で小規模な分散型システムを積極的に導入することこそ、省エネルギーやCO2の排出削減の目標を達成する近道でもあります。総合治水対策を推進するために雨水貯留・浸透のための法律整備や誘導策こそ、早急に取り組むべき課題ではないでしょうか。
 さて、私の住む東京の多摩地区は、水道水源として約3割を地下水に依存しています。地下水は降る雨によって涵養されているのです。河川水に比べるとトリハロメタン濃度も低く、水質としては非常に良好といわれます。それは地下水100%の昭島の水道水が、都内で最も美味しい水だといわれていることと、トリハロメタン濃度が限りなくゼロに近い値である事実が如実に証明しているでしょう。

 ところが八ッ場ダムができると、この地下水はすべて河川水に切り替えられる計画になっているのです。現在、1日約40万トンの地下水を東京都は水道水源として給水しながら、保有水源としては正式には認めていません。東京都はこの地下水約40万トンを計算に入れなくても、一日623万トンの既設のダムなどで給水できる水源を保有していますが、最近は1日最大給水量が500万トンそこそこにしか達していません。節水機器の普及や節水意識の高まりで、水需要は年々予測をはるかに下回る傾向を示しています。水余りだという実態は誰の目にも明らかです。

このように利水上も新規水源開発は全くムダであり、八ッ場ダムは無用なのです。ましてやそのために、私たち多摩地区の住民にとって貴重な自己水源である地下水を河川水に切り換える計画などは、時代錯誤の選択と云わざるを得ません。美味しい地下水に恵まれていることに感謝しながら、その保全についても、地域の住民が積極的に取り組んでいるのです。八ッ場ダム計画に参加するためにもうけられた河川水への転換計画は、住民の願いとは全く逆行するものです。この地下水をずっと飲み続けたいのです。遠い利根川上流から、これ以上水を収奪するのではなく、身近な優れた水源である地下水を守って、水源自立都市を目指すことこそ、私たちが目指すべき途ではないでしょうか。

議論できる場を(公述)

○2/28 17:30 利根川・江戸川(野田市中央公民館講堂)に参加したメンバーの公述内容です
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利根川水系における河川整備計画の策定にかかわる公述
 松戸市 武笠 紀子

 私は22日に行なわれた「利根川水系有識者会議」とその後の利根川流域全体の公聴会を傍聴いたしました。有識者会議では読めば分かるまとめの説明で時間を費やし、委員の方の発言時間がほとんどなく60人もの委員を集めて無駄な事をだと思いましたし、公聴会も、今日の場合も同じやり方でしたが、最初に延々と国土交通省からの説明があって、公述の時間を潰しました。一般の人に、公述を理解しやすくするためとの弁明でしたが、説明会が必要だと思われるのでしたら、ぜひ別に日を設けて、充分時間を掛けて丁寧に説明し、質疑応答の時間もたっぷりとって下さい。本来公聴会の前の実施が正しいと思いますが、やむ終えないのでこれからでも結構ですので、しかるべき場所としかるべき日時をとって説明会を開いてください。

 大切な事は、利根川流域河川整備について議論できる場が設けられることです。今回の公述人には、私も所属している「利根川流域市民委員会」のメンバーが多く参加していますが、上流域の群馬から私の住んでいる下流域の千葉そして神奈川も入れて1都6県の市民が集まってそれぞれの立場から意見を交わしています。すでに、淀川水系においては、公式の「流域委員会」がつくられ、成果を上げました。利根川流域にも公式な流域委員会をぜひ作ってください。 都合のよい意見を言う学者や、都合の良い報道をしてくれるメディア関係者を集めて有識者会議を作って、流域住民の声は意見募集し、公聴会で聞くだけなどという方式は時代錯誤であり、流域委員会を作らない正当な理由はどこにもありません。

 国土交通省は、3年前に景観三法を定め、美しい国土作りに方針を変えたではありませんか。この100年ほどの近代化の時代につくられた人工的構造物が、自然環境を悪化させ、日本の国土の美しい自然と景観をいかに破壊してきたかは誰もが愁うることです。四方を海に囲まれた日本の美しい海岸線は埋め立てやコンクリートで台無しになり、美しい山野は宅地開発・リゾート開発で壊され、山間には多くの産業廃棄物や焼却灰が埋められていきます。中小河川は汚水の廃水路と化しコンクリートで固められて瀕死の状況にあり、大きな河川はダムや堰で分断され散々です。

 自然を征服すべきものと考えてきた欧米においても「自然との共生」持続可能な社会という考え方が広まってきました。ましてや長い歴史の中で、伝統的に自然との調和を大切にしてきた日本です。先祖から受け継いだ美しい日本の国土を、なんとか回復させて子孫に伝えるために、力を合わせる時がきたと思います。

 私は、先に「利根川水系における河川整備計画策定にかかわる意見書」を提出いたしました。主旨は八ツ場ダムに反対であるということです。私は「遠くのダムより近くのミニダム」を合言葉とする「まつど雨水の会」で活動しています。雨水利用の先進地、墨田区では行政も区民も一緒に雨水を貯留して利用し、洪水を防ごうと計画を進めています。それに習って松戸でも河川清流課や消費生活課と連携して活動を進めています。松戸の年間降水量は多い年で1700ミリ少ない年で1200ミリです。松戸市の面積が61平方キロですので、単純に掛け算をすると、7320万立方メートルの雨水が降ります。松戸市の水道は市営と県営の二つありますが、市営水道で約776万立法メートル、県営水道で約3883万立法メートルあわせて、約4659万立法メートルが使われています。雨水を貯めて使う事で充分、遠くのダムにたよらない生活が可能です。近年松戸でも水害が起こっていますが、開発により浸透しなくなった雨水が一気に廃水路に流れ込む事でおこる都市型の内水洪水です。自分のところに降った雨を浸透・貯留する事でしか防げない洪水です。市営水道の半分は地下水ですが雨水を浸透させる事で地下水を増やすことが出来ます。

 遠くのダムが美しい国土と景観を壊し、その地域や人々の暮らしを破壊することに、無神経にすごしてきたと反省し、自分たちで出来る事から始めなければならないと思います。
 持続可能な社会をめざし、地産地消という考えが広まっていますが、食べ物だけではなく、エネルギーや水、そして廃棄物や排水についても自分のところで責任を持つ時代が来たと思います。ダムも原子力発電所も最終処分場も下水処理場も、よその遠くの地域に押し付けてはいけないものです。ましてや美しい国土やその地に住む人々に被害を与える事は許されません。
 産業界が政治を動かし、政治を背景に行政主導で公共事業を繰り広げてきた今までのやり方では、美しい国土を未来に残す事も、地球規模に拡大してきた環境破壊にも対処できなくなっています。
 河川整備として、ダムやスーパー堤防,河口堰のような大型公共事業計画を立てて、それを正当化するために、賛成してくれる研究者や大学教授を集めた有識者会議を作り、マスメディアを操り、都合の良い数字を並べて国民を誤魔化すやり方はもう無理です。
 新しい河川法が、流域住民の要望・意見を取り入れて整備計画を策定していくと決めたのですから、淀川水系で行なわれたように、この利根川水系にも、上流から下流まで幅の広い住民の代表が参加する「利根川流域委員会」を作ってください。官・民・産・学全ての力を合わせて、利根川流域の美しい国土とそこに暮らす私たち流域住民の生活を守っていきましょう。

納税者からの注文(公述)

○2/26 13:00 利根川・江戸川(江戸川区総合文化センター研修室)に参加したメンバーの公述内容です
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利根川水系河川整備計画に係る公聴会での公述    
07年2月26日

一納税者からの注文
 岡田 幹治

0 東京都杉並区に住む岡田幹治です。配布されたレジュメに沿ってお話いたします。私は、ある新聞社で論説委員を務めていた際、旧建設省を担当し、ダム問題を取材しました。定年後はフリーランスのライターとして記事を書いていますが、その際もテーマの一つにダム問題を選びました。こうして10数年にわたって河川行政を取
材してきました。同時に私は、50年以上にわたって国税と地方税を支払ってきました。その二つの立場、取材者および納税者として、河川整備計画策定に注文をつけたいと思います。

1 まず、国土交通省はどういう組織か。私から見ると、国交省は堂々とウソをつく組織です。ウソの例は数限りなくありますが、ここでは整備計画の対象でもある八ッ場ダムの建設予定地(群馬県長野原町)の住民についたウソを取り上げましょう。八ッ場ダムの計画が発表された後、予定地の住人たちは反対運動を続けたのですが、それを賛成に転じさせるために建設省がついたウソが、「現地ズリ上がり方式」という生活再建案です。ふつうダムが建設される場合、予定地の住人は遠く離れたところへ移住させられることが多い。それに対して八ッ場の場合は、現住所のすぐ上に代替地を造成し、地区ごとそっくり移転するというのです。予定地の人たちはこれを信じ、1992年に賛成に転じて用地補償調査に関する協定に調印しました。しかし、それから15年にもなるのに、現地ズリ上がり方式による生活再建は実現していません。代替地がいまだに完成していないし、代替地の価格が高すぎるという難点もあります。それで、住民の離脱が止まらないのです。

 とくに大変なのは、長野原町の川原湯温泉の人たちです。私が05年に現地を取材したとき、八ッ場工事事務所の工事課長は「06年3月末には川原湯地区の代替地の分譲を始める」と明言していました。それでさえ、当初の計画からすれば大幅な遅れなのですが、その予定さえ守られず、最近の情報では07年の秋ごろに分譲を開始するとされています。でも、温泉をどうするかが決まっておらず、移転はいつになるか全くわかっていないのが実情です。

 国交省の大ウソに騙されてきた現地の方々がお気の毒でなりません。

2 国交省の第二の特徴は、審議会を便利につかう組織だということです。審議会は、官庁から独立した人たちが官僚とは別の角度から政策を厳密に点検し、意見を述べてこそ意味があるものです。ところが、日本の多くの官庁と同様、国交省は審議会を自らの政策を追認する機関だと考えているようです。ですから、委員には自分たち
に都合のよい人しか選びません。審議はお座なりです。
 それは、整備計画の上位計画である利根川水系の河川整備基本方針を審議した検討小委員会をみれば、よくわかります。審議の議事録を読む限り、国交省の説明に対する感想の発表会で終わっています。中には「資料が膨大で理解できていない面が多いが」と弁明しながら意見を述べている委員もいる始末です。
 利根川水系の河川整備計画づくりのための有識者会議も審議会の一種です。まだ審議中なので、評価は避けますが、一つの事実だけ指摘しておきます。それは、64人の委員の中には地方新聞の出身の方が何人かいること、そしてそれらの新聞の多くに関東地方整備局が大きな広告を出していることです。いま新聞社は広告の落ち込みに悩んでいる。そこへ全面広告を何回も出す。その一方で、整備計画についての意見をうかがう。そういうことで、本当の意見を聴くことができるのでしょうか。

3 整備計画策定についての関東地方整備局の姿勢については、多くの公述人が取り上げていますので、詳しくは述べません。一言で言えば、改正河川法に定められた手順を形だけ整えようとしているだけで、住民意見を反映する気はさらさらないように見えることです。このようなことでよいのでしょうか。

4 そのようなことまでして、国交省は今度の整備計画策定で何をしたいのでしょうか。これまでに明らかにされた資料からうかがえるのは、計画中や工事中の巨大事業に法的な根拠、いわばお墨付きを与えることだと考えられます。いま公共事業には逆風が吹いてます。このような環境では、新規の事業を始めるのは難しい。せめて、す
でに計画されたり、事業を始めたりした事業だけは何が何でもやり遂げる。そのために、それらの事業を整備計画に盛り込んでお墨付きを与える。それが国交省の狙いだと思います。

 しかし、それらの大型事業は本当に必要なものでしょうか。時間の関係で詳しい説明は省きますが、八ッ場ダム、湯西川ダムはじめ、ほとんどの事業に必要性がないことは他の公述人が述べた通りです。

5 そうまでして国交省が大型事業にこだわるのはなぜか。そこで思い出されるのは、公正取引委員会が先日、国など発注の水門工事の入札に「官製談合防止法」を適用すると決めたことです。この入札をめぐっては大手メーカーなどが談合を繰り返していたのですが、その仕切り役が何と、国交省の元課長補佐ら二人だったのす。ま
た、ダム用水門の新設工事では、技監(旧建設省の技術系トップのポスト)などを歴任した幹部らが退官後、関与したことも認定されるそうです。
 本来なら、税金を正しく使うために談合を厳しく監視すべき国交省の官僚が、談合を仕切っていたというのですから、あきれます。そこにあるのは、同省の技術系職員が民間企業に天下る見返りに工事を配分する、というシステムです。ここに、国交省が大型河川事業に執拗にこだわる一つの理由が見て取れます。

6 このような事情からみて、このまま国交省に利根川水系の河川整備計画策定を任せてしまえば、後世に「多額の借金」と「環境破壊」というツケを残す内容のものになってしまうに違いありませんし。そのような整備計画にしないためには、どうしたらよいか。二つ提案します。

 一つは、費用を明示させることです。整備計画に盛り込む大型事業について、それぞれどれくらいの建設事業費が見込まれるのか、また、整備計画全体として今後30年間にどれくらいの事業費を見込んでいるのか、何兆円になるのか、それとも何十兆円にもなるのか、明示してもらうことが必要です。
 
 もう一つは、市民によるチェックです。流域に住む市民は、現場の事情に詳しいうえ、官僚たちと違って天下りなどの利害関係を持ちません。純粋に事業のメリット・デメリットを考えることができます。市民がチェックする方法は、いろいろあるでしょう。「公開討論会」を開くのもよいし、有識者会議で提案されたように「小委員会」を設けるのもよい。あるいは公聴会を「双方向の議論」ができる形に改める方法もあります。官僚たちの暴走を防ぐには、何らかの形での市民によるチェックが必要だと思います。

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以下は26日の公述時のレジュメ
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     一納税者からの注文
                  岡田 幹治

 0 私の経歴と立場
 1 国土交通省はしばしば誤った情報を流す
 2 国土交通省は審議会を便宜的に使う
 3 河川整備計画の策定に現れた関東地方整備局の姿勢
 4 「河川整備計画検討の基本的考え方」に見る問題点
 5 国土交通省の真の狙いは何か?
 6 では、どうすればよいか?

 詳しくは、以下に掲げる私の記事を参照してください。
A 「『川の整備計画作り』、狙いはダム建設の促進」 (『エコノミスト』06年3月7日号)
B 「懲りない国交省、ダム建設『原則中止』提言を潰す理由」 (『エコノミスト』06年12月5日号)
C 「反動化する国交省の河川行政」 (『週刊金曜日』06年12月22日号)
D 「6地裁で始まった納税者の闘い~八ッ場ダム広域訴訟を追う1」 (『世界週報』05年5月31日号)
E 「住民の流出がやまぬダム建設予定地~八ッ場ダム広域訴訟を追う2」 (『世界週報』05年8月30日号)
F 「『入り口』論争にケリ付き『実体審理』へ~八ッ場ダム広域訴訟を追う3」 (『世界週報』06年1月17日号)
G 「100年でも達成できない『河川整備基本方針』~八ッ場ダム広域訴訟を追う4」(『世界週報』06年5月2日号)
H 「無駄なダムが水道料金値上げの元凶だ~八ッ場ダム広域訴訟を追う5」 (『世界週報』06年8月1日号)
I 「利根川流域は無駄な事業が目白押し~八ッ場ダム広域訴訟を追う・完) (『世界週報』07年1月23日号)

実現不可能な洪水調整量ではないか(公述)

○2/23 17:00 利根川・江戸川(高崎市中央公民館集会ホール)に参加したメンバーの公述内容です
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利根川水系河川整備計画の策定に係る公聴会  公述資料    
沼田市 真下淑恵 2007,2,23

群馬県の鮎の漁獲量の推移 669t(s55)→32t(h15)
原因についての検討は?失われた環境の価値は? ダムができることによるマイナスの効果をきちんと把握してもらいたい。

利根川水系河川整備基本方針での、基本高水流量・・・22,000m3/秒
 八斗島地点での洪水調節量・・・5,500m3/秒

既設6ダム(八木沢,奈良俣,藤原,相俣,薗原,下久保)と八ツ場ダムで対応できるのは、1,600m3/秒で、残りの3,900m3/秒は、今後建設するダムと遊水池で調節しなければならない。単純にダムの基数を比例計算で求めると、ダム17基分になる。

一方で4つのダム(戸倉,川古,栗原,倉渕)が中止になっており、今後新たなダムを計画することは極めて難しい。2月6日の上毛新聞に、洪水調節機能を高めるため下久保ダムの水位を25m下げる案について地元自治体から反対の声が上がっているという記事が出ており、3,900m3/秒の洪水調節量は実現不可能ではないか?

☆ 河川整備基本方針検討小委員会の委員長は元河川局長で、委員会の人選も国土交通省であり、河川整備基本方針で基本高水流量が決められているが、住民を含めた議論をしたうえで多くの人が納得がいく、現実的な数字を決めるべきであると思う。

☆八ツ場ダムについては、下流の水需要も減り、建設地の脆弱な地盤の問題や環境の問題など多くの問題を抱えており、本体ダム工事については中止してもらいたい。

☆欧米のほか中国、韓国でも既に導入されている、計画段階から環境影響評価を行う「戦略的環境アセスメント(SEA)」を導入していただきたい。

図は添付を参照
「mashimo2.23.doc」をダウンロード

2007年3月 5日 (月)

◆利根川水系河川整備計画の策定に関する公開質問書(その2)

本日提出しました。

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2007年3月5日
国土交通省河川局長 門松  武 様
関東地方整備局長  中島 威夫 様 

利根川流域市民委員会
共同代表 佐野郷美(利根川江戸川流域ネットワーク)
嶋津暉之(水源開発問題全国連絡会)
吉田正人(江戸川大学教授)

連絡先  深澤洋子 高橋盛男
          
利根川水系河川整備計画の策定に関する公開質問書(その2)の提出について

 去る1月9日に提出した公開質問書に対して1月16日に貴局から書面で回答をいただきました。書面で回答を出されたことは評価しますが、こちらが項目を上げて具体的に質問したことに対する回答はなく、内容が乏しいものでした。その回答を要約すれば、次のようなものでした。
1 住民の意見を反映させる方法の改善について
公平性を確保する観点から誰でも参加でき、かつ、意見を言うことが出来る方法として、今回の公聴会及び意見募集を行うこととした。
2 有識者会議の傍聴者の処遇の改善について
指摘の点等を踏まえ、今後の有識者会議に向け改善を検討していく。
3 意見を述べるにあたって必要な基本的な事柄について
有識者会議資料にある主要メニュー等は検討途上のもので、今後の検討によって変わりうるものである。(だから、現段階ではその元データを公表することはできない。)
私たちの質問に対して一応の答えになっているのは2だけです。1も3も具体性のないものでした。また、2月22日の全体有識者会議と全体公聴会、23日以降のブロック別公聴会を傍聴して、これらの運営のあり方にもいくつかの疑問がでてきました。そこで、前回の質問書に対して答えていないことと新たに出てきた疑問点をまとめて再度、公開質問書を提出することにしました。
公開質問書(その2)の内容は下記のとおりです。今回は具体的にお答えくださるよう、お願いします。
回答は連絡先の深澤の方へ、3月19日(月)までにお送りくだされば幸いです。

なお、前回の質問項目2「有識者会議の傍聴者の処遇」については貴局の回答「改善を検討していく」を信じて再度質問しないことにしますが、傍聴者の処遇を環境省並みまで改善することを強く要望しておきます。

利根川水系河川整備計画の策定に関する公開質問書(その2)

1 今回の公聴会及び有識者会議を傍聴して生じた疑問点について

2月22日の全体有識者会議と全体公聴会、23日以降のブロック別公聴会を傍聴したところ、これらの運営のあり方にもいくつか疑問がでてきましたので、下記5点の質問にお答えください。

(1)公聴会を聴く行政の責任者は誰なのか。
2月22日の全体公聴会では、公述を聞く行政の責任者が誰なのか、責任者が顔を見せるようにという意見が会場から出ました。それに対して、司会役の渡邉泰也河川専門官が、行政の総体として聞いていると答えるだけで、誰が責任者なのか、また、その責任者が出席しているのかどうかもわかりませんでした。しかし、このような公聴会を開く場合、行政の責任者が最初に挨拶をし、最後まで公述を聞くのが常識的な運営方法だと思います。そうでなければ、公述人は誰に向かって公述しているのか分からなくなります。そのようなものは、公聴会ではなく、弁論大会に過ぎません。全体公聴会及び各ブロック別公聴会における行政の責任者がそれぞれ誰なのかを明らかにしてください。

(2)公聴会における利根川の概要説明について
 全体公聴会でもブロック別公聴会でも関東地方整備局がビデオを使って利根川の概要説明をしました。休憩時間を入れると、これに45分の時間が使われました。しかし、その内容はその後の公述には不要なものであって、そこで大事な時間を消費することの意味が理解できませんでした。その時間を公述に当てれば、全体公聴会ではあと3人の人が公述することができました。全体公聴会では公募したけれども、人数枠で公述できない人が17人もいました。このような事前説明をやめて、公述人の枠を広げる考えがないかどうかを明らかにしてください。

(3)公聴会で町長と前町長が公述したことについて

 2月22日の全体公聴会では板倉町長と前長野原町長が公述しました。しかし、今回の公聴会は広く住民の意見を聴く場であって、自治体の首長等が意見を述べる場ではありません。関東地方整備局が自治体の首長等の意見を聞く場は別に設けることができるのであって、住民を対象とした公聴会で首長等が公述するのは理解できません。首長等の公述のために、公募した住民2人が公述の機会を奪われました。まず、板倉町長と前長野原町長がどのような経緯で全体公聴会において公述することになったのか(本人の応募なのか、あるいは関東地方整備局からの依頼なのか、あるいは他の経緯なのか)を明らかにしてください。そして、首長等(少なくとも現職の首長)が、住民を対象とした公聴会で公述することが妥当なのかどうか、貴局の見解を明らかにしてください。

(4)有識者会議の運営方法について
2月22日の全体有識者会議では、1時間にわたり、貴局の各事務所が住民から寄せられた意見の要約を説明しました。しかし、その内容は配布資料を見ればすぐにわかることであって、あえて説明を要しないものばかりでした。その結果、42人の委員が出席したにもかかわらず、委員の発言時間は延べ15分程度、意見を述べたのはわずか5人だけで、それもそれぞれひどく短い時間でした。委員が意見を出し合って議論することに有識者会議の意味があるはずなのに、意見を述べる時間を極端に短くして議論の時間も設けないのは、会議の運営の仕方として異様な感じがしました。貴局はこのような会議の運営方法をどのように考えているのか、その考えを明らかにしてください。

(5)公述人・意見募集の周知について
今回の公聴会の公述人および意見の募集が行われることを流域住民のほとんどが知ることができませんでした。関東地方整備局と各事務所のホームページに募集案内が掲載されているとはいっても、そのホームページを見る人はきわめて限られています。ブロック別の公聴会への応募は大幅に定員割れですし、傍聴者も多くはありません。
① 貴局は今回の公聴会の公述人および意見の募集を周知するために、ホームページへの掲載および記者発表以外にとった手段があれば、具体的にどこでどのような手段をとったのかを明らかにしてください。
② 貴局は、地方紙を使って自ら推進しようとしている事業を宣伝する全面広告をたびたび行っています。そのような予算があるのなら、今回の公聴会開催、公述人募集、意見募集を新聞で周知宣伝するためにこそ、税金を使うべきです。このような重要な問題について意見を言える機会があることを、ほとんどの流域住民は知ることができませんでした。国民の知る権利の侵害とも言えます。事業を宣伝するときと同様に新聞広告の手段を用いて公述人募集・意見募集を周知する考えがないかどうか、お答え下さい。それができないということならば、その理由をお聞かせ下さい。


2 住民の意見を反映させる方法の改善について

前回の質問書では、①有識者会議に住民が委員として参加すること、②有識者会議において住民やNGOと意見交換を行う場を設けること、③公聴会を一方通行の意見表明の場ではなく、双方向に意見交換のできる公聴会に改善すること、④住民と国交省が議論をする場を設けること という4種類の方式のいずれかで住民の意見を反映させることを求めました。それに対する貴局の回答は「公平性を確保する観点から誰でも参加でき、かつ、意見を言うことが出来る方法として、今回の公聴会及び意見募集を行うこととした。」というもので、要するに一部の住民だけを選んで意見を聴くのは公平ではないというものでした。

しかし、公平性に関してむしろ問題とすべきことは、貴局が有識者会議の委員を何ら第三者の意見を聞くことなく、貴局の判断だけで選定したことです。貴局のやり方は、第三者が公募も行った上で委員を選定した淀川水系流域委員会方式と比べると、雲泥の差があります。公平性に関してはむしろ、それをないがしろにしている貴局に反省を求めたいと思いますが、そのことはさておき、貴局の回答が関係するのは①だけです。②は有識者会議において淀川水系流域委員会のように傍聴席から発言できるようにすれば、傍聴に参加した住民の全員が対象になるので、一部の住民を選ぶということになりません。また、③の公聴会を双方向性の公聴会にすることも同様です。④も意見交換を求める住民の要望に貴局が真摯に応じればよいのであって、公平性を欠くという話とは無縁ものです。
そこで、上記の②、③、④について再度質問しますので、「公平性を欠く」という回答ではなく、住民の意見を反映させるそれぞれの方式を実現できないかどうかを具体的にお答えください。

(1) 有識者会議において傍聴者が発言する場および傍聴者との意見交換を行う場を設けることについて
他省庁の会議、たとえば、環境省の「生物多様性国家戦略の見直しに関する懇談会」では、毎回、傍聴者の発言の機会が設けられ、また何回かの会議のうち1回はNGOと委員が意見交換を行う機会としています。
利根川水系河川整備計画の策定に係る有識者会議において、傍聴者の発言の機会を設ける考えがないかどうか、さらに意見交換も行えるようにする考えがないかどうかを明らかにしてください(もしその考えがなければ、その理由を示してください)。

(2)公聴会を一方通行の意見表明の場ではなく、双方向に意見交換のできる公聴会に改善することについて
日本では公聴会といえば、住民が一方的に意見を述べる場であって、行政側とディスカッションを行うことはまったくできません。しかし、欧米では公聴会といえば、通常は双方向性の公聴会であって、住民は意見を述べるとともに行政側と十分にディスカッションをすることができます。今後開かれる公聴会を双方向性の公聴会に改善し、住民と国交省が議論できる方式に変える考えがないかどうかを明らかにしてください(もしその考えがなければ、その理由を示してください)。

(3)住民と国交省が議論をする場について 
住民の申し入れに応じて、住民と国交省が議論する場を設ける考えがないかどうかを明らかにしてください。もしその考えがないならば、住民と国交省との議論の場を設けることを避ける理由、すなわち、議論の場を設けることによってどのような問題が生じると考えているのかを明らかにしてください。


3 河川整備計画の内容を考える上で必要な基本的な事柄について

 前回の質問書では、下記の6項目について質問しましたが、貴局の回答は、「検討途上のもので、今後の検討によって変わりうるものであるから、現段階では公表することはできない。」というものでした。しかし、下記の項目は河川整備計画の内容を考える上で、必須のデータであって、公表できないという話で済ませられるものではありません。そこで、再度質問しますので、今回は真摯にお答えくださるよう、お願いします。もし現段階では答えることができないというならば、いつ公表できるのか、公表時期を明らかにしてください。

(1)30年間の利根川水系の想定予算
利根川水系河川整備基本方針の目標治水安全度は本川1/200、支川1/100ですが、河川整備計画では本川1/50、支川1/30となっています。30年間で実施する予定の整備計画で目標治水安全度を1/50などに下げるのは時間と予算の制約があるからですが、国交省は利根川水系に30年間で投じられる予算を何兆円と考えているのか、およその30年間の想定予算を明らかにしてください。

(2)本川1/200、支川1/100を達成するまでの年数と予算規模
利根川水系河川整備基本方針の目標治水安全度、本川1/200、支川1/100を達成するまでにおよそ何年かかり、どれくらいの予算が必要だと考えているのか、この目標治水安全度を達成するまでのおよその年数とそれに要するおよその予算規模を明らかにしてください。

(3)河道目標流量と目標治水安全度との関係
河川の治水計画を立てる場合はまず、目標治水安全度に対応する洪水ピーク流量を設定し、次にその設定流量をダム等の洪水調節施設で対応する分と河道で対応する分に振り分けます。ところが、利根川整備計画の上記の案では不可解なことに、先に河道で対応する目標流量がきまっています。河道の配分目標流量、八斗島13,000m3/秒、栗橋14,000m3/秒、取手8,500m3/秒は本川の目標治水安全度1/50からどのように導き出されたのか、これらの目標流量と目標治水安全度との関係を明らかにしてください。そして、八斗島、栗橋、取手の河道配分目標流量の計算根拠を明らかにしてください。

洪水調節前の目標流量
河川の治水計画を策定する上で最も重要なことは目標治水安全度に見合う洪水目標流量、すなわち、ダム等による洪水調節前の目標流量を何m3/秒に設定するかです。過大ではない必要十分な治水計画を策定するためには、この洪水調節前の目標流量が科学的に求められていなければなりません。整備計画の案では本川1/50に見合う八斗島地点の洪水調節前の目標流量を何m3/秒としているのかを明らかにしてください。そして、その計算根拠を明らかにしてください。

現況河道能力との関係
 2005年11月9日に開催された国交省社会資本整備審議会河川分科会河川整備基本方針検討小委員会の参考資料8の3ページ右上に利根川の「現況流下能力」が記されていますが、それによれば、八斗島から栗橋までの区間は14,000m3/秒程度以上の流下能力となっています。上記の整備計画案の概要では河道の配分目標流量は八斗島13,000m3/秒、栗橋14,000m3/秒ですので、八斗島から栗橋までは整備計画案の目標流量を上回る流下能力がすでに確保されていることになりますが、そのように考えてよいかどうかを明らかにしてください。

(6)目標治水安全度本川1/50と個別事業との関係
上記の整備計画案の概要では八ッ場ダム、南摩ダム、湯西川ダム、渡良瀬遊水池の掘削、稲戸井調節池の掘削、印旛沼経由の新利根川放水路といった事業が記されています。しかし、これらのうち、前の五つの事業は目標治水安全度1/200の工事実施基本計画の時代に計画されたものであり、新利根川放水路はやはり目標治水安全度1/200の河川整備基本方針の中で浮上したものであって、本川1/50の目標治水安全度の計画で本当に必要なものかどうかはまったく明らかにされていません。本川1/50の目標治水安全度の治水計画でこれらの六つの事業がなぜ必要となるのか、その計算根拠を明らかにしてください。

以上


2007年3月 4日 (日)

「利根川流域委員会」の設置を/「新生物多様性国家戦略」に則るべき(公述)

○2/28 利根川・江戸川(野田市中央公民館講堂)に参加したメンバーの公述内容です
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利根川水系河川整備計画(利根川・江戸川ブロック)公聴会 公述原稿

  2007.2.28 佐野郷美

 私は千葉県が設置した三番瀬再生計画検討会議の委員を2年間務め、その後三番瀬再生会議の委員をさらに2年務めました。また、現在は「生物多様性ちば県戦略」策定のための専門家会議に市民委員として出席しています。その他、市川市が設置した行徳臨海部まちづくり懇談会、市川市自然環境保全再生指針策定市民懇談会、大柏川調節池ワークショップなど、行政が計画する様々な事業の策定について計画段階から市民参加してまいりました。

 現在市民参加で公共事業がいかに計画されているかを具体的にお話ししましょう。例えば、埋立計画が白紙撤回された三番瀬では、その環境を再生させるために「三番瀬再生計画検討会議」が設置され、市民参加、完全情報公開を前提に、もともと埋立計画に賛成の立場であった人、また反対であった人を含め、学識者、臨海部の企業家、地元住民、漁業者、環境NGO、さらには公募による県民などが委員として選ばれ2年間にわたって延べ160回、6000名が参加して、最終的に「三番瀬再生計画案」をまとめ上げました。この会議を設置するときに、「どのような組織、委員構成、事務局にすべきか」を検討するために、傍聴者の意見も取り入れてくれる会議が事前に2度持たれたことは特筆に値します。

 これは一例ですが、多くの行政は現在公共事業について市民参加でじっくりと議論を積み重ね、計画を作り上げていくという方向で動いています。

 そういった流れの中で、国交省が設置した「淀川水系流域委員会」も同様の原則で97年の改正河川法の趣旨である「流域住民の意見を聞く」ということを生かした組織、委員構成であり、まとめあげた提言は日本の河川行政に大きな一歩を記したものと考えます。

 しかし、この淀川流域市民委員会の提言を反故にするような国交省の姿勢、また急遽「休止」を宣言するなど、現在の国交省は改正河川法の趣旨を無視して旧態依然とした河川行政を進めようとしており、変わらねばならない公共事業のあり方そのものも「従来通り」を是認しています。これはまさに時代に逆行しているとしか言いようがありません。

 さらに、河川整備基本方針を見る限り2000年の河川審議会答申である「氾濫を許容した治水理念」もどこかへかき消されたように見えます。ところが一方で、国交省の河川局海岸室が高潮高波対策として一枚の胸壁による防護から、越波を前提としてその背後に、陸域に入り込んだ海水を一時的に貯める潮遊池、越波した波の力を弱めるための樹林地を設けて住民や住宅を何重ものバリアーで「多重防護」するという考えを一昨年打ち出し、18年度から予算化もされていますが、これこそ氾濫を許容する治水理念に通ずるもので、この理念が大河川では全く生かされていないのに、海岸に生かされようとしているのは皮肉
に見えます。

 したがって、この公聴会で「市民の意見を聞き置く」というような古い考え方を改めて、流域住民を含めた淀川流域委員会のような組織で利根川水系河川整備計画を検討して下さい。お願いします。

 次に環境に関する事柄について述べたいと思います。

 千葉県にとって大切な自然環境である三番瀬、江戸川、印旛沼等の環境を保全再生し、さらに生物多様性を守っていくためには、「利根川水系河川整備計画」が97年の改正河川法に示された環境重視の姿勢に沿いながら、しかも環境省の定めた「新生物多様性国家戦略」に則ったものでなければなりません。特に「新生物多様性国家戦略」は、日本も批准している国際的な条約である「生物多様性条約」を国内で具体的に推し進めるために各国がその策定を義務づけられているもので、国際的な約束事なのです。しかし、河川整備基本方針や河川整備計画の目標には「生物多様性国家戦略に則り…」というような文言は全
く見られません。

 ところが、新生物多様性国家戦略の具体的な実施状況を調べた平成17年度の報告書を読むと「数値から見る具体的施策の展開」という部分に、国交省は河川の湿地・湿原等の再生、清流回復の延長、河川の水質環境基準値の満足率等、いくつも項目をあげて国家戦略に則って多くの具体的施策が実施されているように報告しています。

 しかし、国交省が全国各地で進めるダム建設、河川改修等の事業が、国家戦略に「第一の危機」として取り上げられている「開発による自然環境の破壊」を進めているということについては全く触れられていません。そういったことを考えると、基本方針や整備計画には、できるだけ「生物多様性国家戦略に則る」というような記述を避けたいという国交省の思惑が見て取れるのです。

 現在、環境省は公共事業を基本計画段階で環境影響評価しようとする「戦略的環境アセスメント(SEA)」の策定を準備中ですが、ここでも国交省はダム等の建設にこの戦略的アセスを適用させたくないようです。これもきっと先ほど述べたことと同様の理由からであると思えてなりません。

 国交省に対して失礼な言い方になってしまったかもしれませんが、そこで、お願いがあります。環境省と国交省、同じ国家レベルの組織なのですから、河川整備基本方針、そして河川整備計画に、「『新生物多様性国家戦略』に則る」ということをしっかりと明記して下さい。そして、先に述べたように、国交省が拒んでいるように見える流域住民や専門家を入れた公平な流域委員会を設置して、その中で「自然環境を破壊し、生物多様性を低下させてもこの事業は必要である」と正々堂々と流域住民を説得する姿勢を持っていただきたいと思うのです。そういう事業も実はあるのだろうと私は感じています。そういった
姿勢があってこそ流域住民に意見を求めるということが意味を持つのだと思います。それこそ国家としての国民に対する誠意ある対応ではないでしょうか。

 次に、河川整備計画が河川環境を破壊し生物たちを絶滅に追い込む可能性があること、つまり「生物多様性国家戦略に則らない」可能性を、利根川・江戸川ブロックを例に具体的に示したいと思います。

 まず、印旛沼経由の新利根川放水路計画です。今千葉県と印旛沼流域住民は印旛沼の再生を計ろうと「印旛沼流域水循環健全化会議」-以後、単に健全化会議という-を6年前の平成13年から開催し、水質改善や都市化の進行による流域の洪水防止をはかり、流域の健全な水循環を再生させようとしています。利根川水系河川整備計画の支流の治水安全度は1/30、つまり「30年に一度の大雨にも安全」ということであり、健全化会議でも2030
年までの長期構想では流域の治水安全度を同じ確率にしており、その点は一見整合性があるように見えます。しかし、これは印旛沼流域を考えた安全度であって、利根川水系全体を含めた安全度ではなく、印旛沼流域に大雨が降ったときには利根川の洪水は流せなくなるのではないでしょうか。しかも、現状の長門川、印旛沼、印旛捷水路、花見川等を考えると、河川整備計画では500m3/秒(基本方針では1,000m3/秒)を流すためには、現在の流下能力が長門川92m3/秒、印旛捷水路120m3/秒等ですから、河道の拡幅・掘削、印旛沼自身の掘削が必要となり、健全化会議が目標としている生態系の回復、浮葉性及
び沈水性の水生植物の再生、かつていた生物種の復活は不可能となります。そして、さらに昨年7月28日に行われた第8回健全化会議の中で国交省は、この放水路計画を受け入れることによって「沼内の水を滞留させないことにより植物プランクトンの増殖が抑制される」とか「平常時の導水を検討」と説明していますが、健全化会議が目指しているのは「流域の水循環の再生」であり、利根川から水を引き込んで流量を確保したり、水質を浄化しようということではないのです。これは根本的に間違った解決法で、健全化会議の目標と整合性がありません。
 これは、北千葉導水路により手賀沼が、根本的な水質汚濁の原因を解決せずに利根川の水を引き込むことによって一見きれいにしたやり方と同じです。健全化会議が目標としているのは、流域の汚濁負荷を軽減し、湧水を保全涵養しながら水循環を再生することです。そのために産、官、民が協働で取り組んでいるのです。
 今利根川下流部で赤潮発生、シジミの激減、アメリカナマズの大発生などの生態異変が起こっており、この最大の原因が手賀沼から流れ込んだ汚濁水であると考える研究者がいること、つまり汚れは元から絶たなければ別の場所で悪さをするということを、国交省の皆さんには是非知っておいていただきたいと思います。

 次に、行徳可動堰改修について述べます。江戸川放水路が負担する流量は基本方針によれば6,000m3/秒、河川整備計画では4,000m3/秒ですが、老朽化している行徳可動堰の改修を考えたとき、4,000m3/秒ではなく最初から6,000m3/秒流せるものとするでしょう。そうすると新可動堰直上の左岸側にある絶滅危惧種ヒヌマイトトンボの生息地は潰されてしまいます。また、直下流に広がる放水路の左右の干潟は拡幅により失われるか、人為的に取り除かなくても6,000m3/秒流すことにより干潟そのものが失われる可能性が高いと思われます。その干潟にはトビハゼという、魚なのに水を嫌う、どちらかと言えばカエルのような変わった魚が生息していて、ここは日本のトビハゼ分布の最北端になっています。そしてこのトビハゼたちは環境省のRDBで「絶滅のおそれのある地域個体群」として記載されているのです。つまり、計画通りに改修が行われると北限のトビハゼが絶滅の危機にさらされることになるのです。

最後にもう一度繰り返しますが、97年の改正河川法の趣旨を活かし、国交省、専門家、流域住民が膝を交え意見を戦わせて、真に安全で自然豊かな利根川水系を創出していくために「利根川流域委員会」を設置して下さい。今からでも遅くはありません。そして、環境についての配慮を記している「河川環境の整備と保全」の部分に、少なくとも「環境省が定める生物多様性国家戦略に則り…」という文言を入れて下さい。そうでなければ、利根川水系の生物多様性は国交省の事業により今後も減少の一途をたどるに違いありません。それは、国交省にとっても不名誉なことではないでしょうか。

渡良瀬遊水池について(公述)

○2/26 13:00 利根川・江戸川(江戸川区総合文化センター研修室)に参加したメンバーの公述内容です

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渡良瀬遊水池について
                                  高橋薫子

東京都葛飾区に住む高橋薫子です。私は長年、飲み水の安全性について市民の視点から活動をしてまいりました。今日は、渡良瀬遊水池について考えを述べようと思います。

最近、金町浄水場を見学する機会がありました。ここ何年かにわたって冬場に谷中湖の干し上げを行っていますが、金町浄水場に入ってくる原水にどう変化があったのか聞きましたところ、「わかりません」という回答でした。谷中湖の水は水質が悪いために、ごく少量ずつしか使用できないので、混入による変化を見ることができないということです。では干し上げという作業を何のために行うのかが疑問ですし、冬場の水不足の解消に役立っていません。そして谷中湖に生息する魚たちにとってはとんだ災難というだけでは済まされない気がします。

渡良瀬遊水池は、首都圏にある本州最大のヨシ原です。そこに下流住民の水ガメの1つとして谷中湖が作られました。しかしその水質が悪いために、今までいくつもの大規模土木事業が行われてきました。そして遊水池のすばらしい自然が、そのたびに損なわれてきました。思えば最大の土木事業は谷中湖の建設でした。この谷中湖の作られた場所には、昔からオバケ沼といわれる大きな水面があり、その周囲も含めてすばらしい自然の宝庫でした。しかし今は、殺風景なコンクリート護岸で囲まれた人工的な水面に変わってしまいました。谷中湖は渡良瀬川の最下流にあり、足利市、桐生市などの市街地から出る生活雑排水を溜めこんだため、藻類の異常増殖による水質悪化がひどい貯水池です。その改善対策として、ヨシ原浄化池など大きな土木工事が行われてきましたが、その効果はあまりみられていません。そこにまた今、治水容量の増強ということで大規模掘削事業が浮上してきました。しかしすでに、1億7千万㎥を超える大きな治水容量が確保されている遊水池にその必要があるのでしょうか。これ以上の自然破壊は進めるべきではありません。

振り返れば、平成8年1月、野水エースホールの公聴会でも私は谷中湖の水質問題を取り上げ、下流住民の飲み水として適当ではないと意見を述べました。あれから11年経過し、いくら税金を投入しても水質の改善がみられない谷中湖は、国土交通省の「負の遺産」になると思いつつ見てきました。金町浄水場の高度浄水処理という設備でも、トリハロメタンを60%しか除くことができないそうです。飲み水の安全は、今なお守られておりません。私たちの世代でこの谷中湖の問題を解決し、次の世代に残してはいけないと思います。「水余り」といわれる今、谷中湖の利水目的を放棄したらどうでしょう。今のコンクリート護岸を壊し、自然工法による水辺に変えれば水質は改善され、治水容量も大きく増加します。

渡良瀬遊水池に立つと、広々とした空の美しさに感動します。360度視界をさえぎるものがなく、ぐるっと地平線が見渡せます。都会で生活していると、自分の頭の上だけが空だったりします。この広々とした空間のすばらしさをみんなに知ってもらいたいと思います。遊水池で毎年行われているヨシ焼き、そこにまた新しい命が芽生え、つながれていく自然の営み、初夏を迎える頃すっかり生長したヨシが風にそよぎ、鳥たちがさえずり、このとき自然のすばらしさを満喫できます。首都圏にあるこの地を「オアシス」として残し、環境や歴史を見つめなおす場としてはどうでしょう。水路に船着場を作って船を通し、子供たちが水に親しめる場所を作り、トンボもホタルも生息できる場所にしたいと願っています。自動車は入れないようにして、それからちょっと唐突ですが、馬車など交通手段に使って拠点々々をつなぎ、楽しむというのはどうでしょう。緑がいっぱいの憩いの場としての夢は広がります。市民の知恵も集めつつ、多様な人々が気軽にかかわれる余地を持つ場所に育ててもらいたいと思います。

私たち渡良瀬遊水池を守る市民運動の仲間は今、渡良瀬遊水池をラムサール条約湿地に登録してほしいと運動を進めています。渡良瀬遊水池は、鳥に限らず、昆虫、植物、魚類の絶滅危惧種が数多く生息して生物多様性に富み、国際的に重要な湿地としての要件を満たしている場所です。次の世代に向けて、渡良瀬遊水池のラムサール条約湿地への登録を実現し、私たち国民の財産として管理し保存して頂きたいと思います。ぜひご協力をお願いして終わりにします。ありがとうございました。

2007年3月 1日 (木)

計画策定のやり方に怒り(公述)

○2/26 13:00 利根川・江戸川(江戸川区総合文化センター研修室)に参加したメンバーの公述内容です

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2・26公述人   田巻誠

私は2月22日の有識者会議と全体公聴会を傍聴し、どうしてこんなひどいやり方をするのだろうと、国交省への怒りを改めて感じました。

まず、公聴会の前座に60分もの利根川ビデオが流されたことです。見ていてうんざりしました。このビデオが無ければ、少なくとも4人の公述人が意見発表できたはずです。当日の資料集によると、私を含め17人もの方が発言の機会を奪われていました。
その全体公聴会の直前には有識者会議が開かれていたので、その多くの方が公聴会にも参加していたはずです。貴重で唯一の全体公聴会に、無駄なビデオを流し、発言希望者を締め出すなんて。国交省、あなたたちのやり方は間違っています。

次に人選の問題です。10人の公述人の中に、前長野原町長と板倉町長が入っている点です。前長野原町長は「八ッ場ダム推進」、板倉町長は「渡良瀬遊水地掘削推進」を主張しました。公聴会というものは一般市民が参加するものと思っていたので、これには驚きました。「地方公共団体からの意見聴取」という形で、自治体は発言の機会を保障されています。資料集の長野原町を見ると、前長野原町長と同意見でした。これでは、「やらせのタウンミーティング」と同じではないでしょうか。国交省、おまえもか!

更に、公述人の意見を聞く姿勢の問題です。公聴会は当然、国交省と有識者が公述人の意見を聞く場である。「国交省の誰が意見を聞いているのですか」と傍聴者から声が上がった。公述人、傍聴者の前にいたのは事務局の2名だけたったからである。しかし、その会場の声に「発言はしないでください。さもないと退場させます」と、当事者を威圧した。本来は計画作成の責任者たちが前に並び、経過と趣旨説明を行い、意見を聞くべきなのである。ビデオで代行したつもりなのだろう。公述人、傍聴者への愚弄も甚だしい。

何よりも私は言いたい。利根川水系河川整備計画作成の議論に一般市民を排除する今回のやり方は間違っている。もし、あなたたちのポケットマネーで工事をするのならそれも許されるかもしれない。しかし、費用を出すのは国民であり、流域住民である。新河川法の精神など持ち出さずとも、流域住民が一緒に議論に参加することは当然の権利である。一般公募もせず、国交省指名の有識者だけで議論する方式は即刻改めるべきである。

さて、今回の整備計画の中身に触れたい。概要では、批判の強い「八ッ場ダム、湯西川ダム、南摩ダム」の問題点には全く触れていない。利根川・江戸川ブロックなので八ッ場ダムを取り上げたい。このダム事業は、2003年の事業費の改定で約2.2倍、関連工事費と起債利息を含めると8,800億円にも膨れ上がった。日本一の金食いダムである。その費用に対する効果があるかどうか、検討と見直しがされるのは当然である。古い河川法で計画されたこれらのダム計画を、新しい河川法に基づいて再検討するのが、今回の河川整備計画の大きなテーマではないだろうか。さらに、概要には様々なメニューがあるが、費用に関しての説明がないのは由々しき問題点である。「小さく生んで大きく育てる」という公共事業を揶揄するフレーズがあるが、費用対効果の説明のない計画など無責任極まりないものである。根本から考え直すべきである。

最後に、八ッ場ダムの地元、川原湯温泉旅館の女将さんの詩を紹介します。
これを聞いて、国交省は地元住民の悲痛な状況に想像力をめぐらして欲しい。地元では前途を絶望した住民が、代替地にいくことなく、次から次へと町を出ていっている。地元住民を半世紀間も苦しめてきた八ッ場ダム計画を中止すべきである。そして、これまでの反省から、現在の地で町を復活、発展させることに国交省は力を尽くすべきである。(裏へ続く)(詩は添付参照のこと)

「tamaki2.26.doc」をダウンロード

危険で有害な八ッ場ダム建設事業(公述)

○2/26 13:00 利根川・江戸川(江戸川区総合文化センター研修室)に参加したメンバーの公述内容です

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利根川流域市民委員会 深澤洋子

 私は利根川流域市民委員会の深澤洋子と申します。私は22日に開催された全体公聴会で、八ッ場ダムが利水上、治水上全く不要であることを話しました。今回は、八ッ場ダムが、取り返しのつかない環境破壊と、大きな災害を招く危険性が高いことを指摘したいと思います。

 私が八ッ場ダム計画を知り、初めて現地、吾妻渓谷を訪れたのは、2003年、ほんの4年前のことです。錦の紅葉に彩られ、奇岩そそり立つ渓谷に目を見張りました。そして、このような美しい場所に、コンクリートの巨大な壁を打ち立てようという考えが、この時代にまだ存在するということに呆然としました。さらに、このダムのことを知れば知るほど、不要であるばかりか、きわめて危険で、様々な害さえもたらすということがわかってきました。

 まず、地質の問題です。吾妻渓谷の一帯は、浅間山の噴火で流れ出した岩せつなだれという土砂が数十メートルの厚さでたい積しています。この地層は水を含むと崩れやすく、渓谷周辺には、伝説の巨人、ダイダラボッチの足跡と呼ばれる地滑りの跡がいくつも残っています。地滑り地の一つである林地区では、大きな水抜き井戸を多数掘り、かろうじて地盤を安定させていますが、ダムができると、この井戸はダム湖の水位より下になり、機能しなくなります。今までは水抜きで地滑りを防いでいたのに、ダム完成後は逆にダム湖の水が浸透していくのですから、地滑りが起きるのは必至です。また、当初の計画では、地滑りの危険性の高い場所(ダム湖の中に入る部分)に、鉄の杭を打ち込んで固定する計画でしたが、経費節減のため、地滑り面の先端に大量
の土を盛って押さえる計画に変わってしまいました。土だけで本当に押さえることができるのでしょうか? しかも、地滑り危険箇所22箇所のうち、対策を講じるのは3ヵ所だけで、残りは人家への影響が少ないとかの理由で何の対策もしません。いわば、滑るに任せるということです。一旦地滑りが起これば、他の地域にどんな影響が及ぶかわかりませんし、流れ込む土砂でダムの寿命は縮まります。水没地住民の移転先となる代替地でさえ、崖の真下の、土石流の危険が高い場所なのです。

 さらに、ダムの堤体が造られる場所、ダムサイトの岩盤にも大きな不安があります。当初、ダムサイトは吾妻渓谷の中心部に造られる予定でしたが、名勝、吾妻渓谷の保全のため、上流の現在の位置に移されました。しかし、それより前、1970年の国会で文化庁のお役人は、まさに現在のダムサイトのことを、「周辺に断層があり、亀裂が多いので、建設場所としてきわめて不安定だ」と答えています。岩盤がダムの堤体を支えきれない、つまりダムが決壊するということもありえるわけです。

 ダムが完成してから、地滑りや堤体の破損が生じたら、一体誰が責任を取るのでしょうか? 奈良県の大滝ダムでは、実際に湖岸の集落で地割れが起き、移転を余儀なくされました。そのドキュメントを見ましたが、地質の問題を指摘されながら建設を押し進めた建設省の官僚は、記者の電話取材に対し「昔のことでよく覚えていない」などと答えています。今、八ッ場ダムの建設を進めている国交省の担当者の方々、本当にこのダムが安全だと責任を持って言い切れるのか、もう一度問い直して頂きたいと思います。

 八ッ場ダムにはもう一つ、水質の悪化と急速な堆砂の進行という弱点があります。八ッ場ダムの上流には、北軽井沢の別荘地、草津などの温泉、嬬恋のキャベツ畑、多くの牧場などがあり、そこから流れ込む生活排水、農薬、肥料、畜産排水には、人口数十万の都市の排出量に匹敵する栄養塩類が含まれるそうです。その水がたまり水になると、そう類が異常繁殖し、水質がひどく悪化します。

 また、もともと吾妻川の水は、草津白根山に発する川や硫黄鉱山の廃水により、魚も棲めない、コンクリートも溶かす、強い酸性の水でした。それを、現在、年に10億円もの巨費をかけ、中和しているのです。ダムを造ることがその重要な目的の一つであることは間違いありません。草津の中和工場で石灰を流し込み、その中和生成物を品木ダムで沈澱させていますが、その品木ダムも8割がた埋まってしまい、もはや浚渫が追い付かない状態です。しかも、浚渫された土砂を埋めた処分場からは、高濃度のヒ素が検出されたと聞きます。八ッ場ダムができれば、今度はこちらに中和生成物がどんどんたまることになるでしょう。想定される堆砂率、つまり、土砂で埋まるスピードよりも、ずっと早く、ダムは埋まり、使い物にならなくなるでしょう。品木ダムのように不気味な緑色によどみ、悪臭を放つダム湖・・とても観光資源にはならないのではないでしょうか? 

 一方、残されるダムの下流部、鹿飛橋周辺の一番の名勝地も、決して無傷ではありません。独特の岸壁の美しさは、時折訪れる洪水によって岩肌を洗われることで保たれているそうです。ダムによって流れをせき止められるとどうなるのか、同じ群馬の下久保ダムの現実が、八ッ場ダムの未来の姿を表しています。下久保ダムの直下にある、名勝、三波石峡は、今や見る影もなく、岩肌は苔むし、草木におおわれているのです。

 そして、ダム建設は、当然ながら、イヌワシ、クマタカなどの絶滅危惧種を始めとする動植物の生存を脅かし、当地の豊かな生態系を破壊します。生物多様性条約が1993年に批准されたことにより、日本政府は国際的義務として、ダム周辺地域の生物多様性を保全する義務を負い、条約にもとづいた環境影響評価、つまり環境アセスメントを実施しなくてはならないはずです。しかし、八ッ場ダム事業における自然環境調査は、このところ毎年行われているものの、数年単位の継続的な調査はなされず、植物分布調査やコウモリ調査も明かに不十分です。地球環境の破壊、生物多様性の危機が叫ばれる今、新しい時代に即した適切な環境アセスを行わずに、貴重な動植物の生存を脅かす行為は、犯罪的であるとさえ言えます。

 以上のように、災害誘発の危険性があり、水質、景観、生態系に取り返しのつかないダメージを与える八ッ場ダム建設は、経済的にも大きな損失を招く負の遺産です。本体工事が始まっていない今なら、まだ間に合います。すぐに八ッ場ダム建設を中止し、利根川水系河川整備計画から消し去って下さい。

高崎の公聴会(傍聴録)

2/23 17:00 利根川・江戸川(高崎市中央公民館集会ホール)を傍聴したメンバーからの傍聴録を掲載します。

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群馬で唯一開かれた高崎の公聴会の模様をお伝えします。
(太田、桐生は参加者ゼロでナシ)
昨日の浦和の全体公聴会も聴きごたえがありましたが、
高崎の公述内容も、別の意味で素晴らしいものでした。

市民委員会の真下淑恵さんは、公述人最後の4番目。

利根川上流での鮎漁の実態から、
河川整備基本方針で定められた基本高水の過大さ、
八ッ場ダム上流の中和事業による問題、
新聞各紙に掲載される一方的なダム情報などを取り上げ、
最後は、住民との対話のない河川行政に対する意見と、
たった10分とは思えない充実した内容でした。

折りしも、昨日の県議会で八ッ場ダム問題が取り上げられ、
計画遅延は必至と、今朝の新聞各紙が報じています。
   
「八ッ場ダム10年度完成『厳しい』」(東京新聞)

その他の公述人↓

○一番 藤岡市鬼石総合支所保健福祉課長 
○二番 日本一のアユを取りもどす会副会長
○三番 NPO神流川理事長


1、3番は、利根川水系の下久保ダムを抱える藤岡市
鬼石地区からの参加でした。
絶対反対の理由は、今回の整備計画で、藤岡市の下久保ダムの水位が
25メートルも低下させられるためです。

「上毛新聞」

休憩時間のお話によれば、地元は河川整備計画に対して
ムシロ旗の雰囲気で、もちろん藤岡市長も反対。
下流の人にとって、この整備計画は既設のダムで洪水調節を
するということだから、お金もかからず、環境にもよいと賛成だろうが、
私達にとっては死活問題なので訴えに来た、とのことでした。

公述内容の概要

「今も健在な当時の鬼石町町長によれば、下久保ダムは昭和22年に
計画が発表され、当初、地元は”絶対反対”だったという。
この国の発展のためにと国に強要され、ダム湖が地域振興の核になる
という話に将来を託さざるをえず、364世帯が水没を余儀なくされた。

水源対策特別措置法施行以前のダム事業のため、水特法の適用を
受けられず、観光バス一台の駐車場も設けられないような状態で、
ダム完成後の38年間の現実は厳しかった。
地元民は過疎に苦しみながら、神流湖と呼ばれるようになった
下久保ダムを観光地とすべく努力をしてきた。
今回の整備計画が実現すれば、わずかな雨でも湖底の
ヘドロが巻き上げられ、ワカサギ、サクラマスも死に絶えるだろう。
嵩上げにより、新たな水没世帯が発生することも危惧される。
ダム湖周辺は下流の渓谷とともに荒れ果て、地域は今度こそ
完璧に死ぬだろう。
上流に人が住まなくなれば、森を手入れする人はいなくなり、
治水効果はかえって低下する。

河川整備計画の策定にあたっては、事前に住民意見を聴取することと
なっているが、そもそも本計画案についての情報の公開はホームページ
などでしかなされず、今日の傍聴も会場の三分の一ほどしかない。
要するに国交省は、一般の人々にこのことを知らせたくないのだろう。
国交省は有効な情報公開に努めるべき。
河川整備計画には絶対に反対である。」

ここまでお読みいただいた方、ありがとうございました。

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渡辺洋子

●公聴会の予定一覧

利根川河川整備計画の策定に向けた公聴会の
その後の日程は下記の通りです(傍聴自由)。

○2/23 17:00 利根川・江戸川(高崎市中央公民館集会ホール)
○2/23 13:30 鬼怒川・小貝川(常総市民会館ホール)
○2/26 13:00 利根川・江戸川(江戸川区総合文化センター研修室)
○2/26 13:30 鬼怒川・小貝川(栃木県教育会館小ホール)
○2/27 17:30 中川・綾瀬川(足立区千住区民ホール)
○2/28 17:30 利根川・江戸川(野田市中央公民館講堂)
○2/28 17:30 渡良瀬川(館林市文化会館小ホール)
○3/1 15:30 利根川・江戸川(佐倉市中央公民館大ホール)
○3/2 13:30 鬼怒川・小貝川(筑西市しもだて地域交流センターアルテリオ)
○3/5 18:00 利根川・江戸川(栗橋町総合文化会館イリスホール)
○3/6 13:30 利根川・江戸川(春日部市市民文化会館)
○3/6 13:00 霞ヶ浦(潮来公民館大ホール)
○3/7 16:30 利根川・江戸川(取手福祉会館講座室A,B)
○3/7 17:30渡良瀬川(足利市市民会館小ホール)
○3/8 14:00利根川・江戸川(野木町文化会館野木エニスホール 小ホール)
○3/8 13:00 霞ヶ浦(霞ヶ浦環境科学センター多目的ホール)
○3/9 13:30 利根川・江戸川(佐原中央公民館大会議室)

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