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2006年12月12日 (火)

利根川水系河川整備計画策定に係る有識者会議の委員の皆様へ

利根川流域市民委員会は、利根川水系河川整備計画策定に関する有識者会議あてに、以下の意見書を発送しました。

2006年12月13日
利根川水系河川整備計画策定に係る
有識者会議の委員の皆様へ 

利根川流域市民委員会
共同代表  佐野郷美(利根川江戸川流域ネットワーク)
嶋津暉之(水源開発問題全国連絡会)
吉田正人(江戸川大学教授)
連絡先   深澤洋子/高橋盛男 略
          
利根川水系河川整備計画の策定において
住民の参加と科学的な検証を求めます

 第2回有識者会議が開かれるにあたり、私たちの意見を申し上げます。
 第1回有識者会議に対し、私たちは「河川法改正の趣旨に基づいて住民と議論を重ねながら、河川整備計画の策定を進めること」を求める意見書を提出しました。このことに関し、利根川・江戸川有識者会議では、4~5人の委員が、「小委員会など何らかの形で市民団体を議論に加えるべきだ」「時代にそぐわない。住民を交えた議論の場を」、「30年間の計画を決めるのに、この会議は簡単に進む。公聴会を開くというが、今の時代はそんなに甘くない」などと述べ、住民の参加を強く求める意見が続出しました。(別紙1の新聞記事「b1.pdf」をダウンロードを参照) ところが、関東地方整備局はそれらの意見に一切耳を傾けることなく、オウム返しに既定の方針を述べるだけでした。
私たちはこのような関東地整の硬直化した姿勢に対して強い憤りを覚えます。そして、委員の方々には、関東地整に対して住民参加の道を開くよう、その姿勢の転換を求めてくださることと、次の4点をあらためて要望します。
①有識者会議は、大規模河川事業の現地調査を行い、河川整備計画について議論を尽くすこと
②有識者会議の途中で、流域住民の意見を聴く機会を設けること
③有識者会議の中で傍聴者に発言の機会を与えること
④有識者会議は、住民からの意見書・要望書を取り上げて検討すること

 
さらに、今回は河川整備計画案の内容について下記の意見を申し上げます。
1 河川整備計画の目標流量が科学的に見て妥当であるかどうかを検証すること
利根川の河川整備計画は目標治水安全度を本川1/50、支川1/30として策定することになっていますが、その安全度に対応する目標流量が科学的に見て妥当な値であるかどうかが非常に重要です。それは、この目標流量が過大に設定されているために本来は不要な河川施設が河川整備計画に盛り込まれる可能性が高いからです。
整備計画案では、八斗島地点の洪水調節後の目標流量は13,000m3/秒となっていますが、洪水調節前の目標流量は明らかにされていません。その数字と算出根拠を求めた上で、それが1/50の値として科学的に妥当か否かを十分に検証することを要望します。
なお、利根川河川整備基本方針では基本高水流量(八斗島地点)が22,000m3/秒となっていますが、これは基本方針の目標安全度1/200の流量としてはきわめて過大な値であって、実際には16,000m3/秒程度であることを申し添えておきます。

2 河川整備計画に盛り込む河川施設は優先順位の高いものに絞り込むこと
河川整備計画は、河川整備基本方針で(表示はされていないが)想定されている河川施設のうち、今後30年間に実施すべき優先順位の高いものを選ぶことになっています。それは河川整備の段階的な進め方を考えれば、当然のことです。ところが、実際には長期目標としては仮に必要な施設であっても、河川整備計画の段階では必要性・緊急性のないものまでが、事業の実施が自己目的化されて、整備計画に盛り込まれることがしばしばあります。その端的な例が3で取り上げる渡良瀬遊水池や稲戸井調節地の大規模掘削事業です。国交省の計算でもそれが意味を持つのは1/200より大きな洪水のときだけであって、1/50の洪水ではまったく必要性のないものであるにもかかわらず、整備計画に盛り込まれようとしています。
整備計画案で示される新たな河川施設のそれぞれが今後30年間に実施すべき優先順位の高いものであるかどうかを十分に検証することを要望します。

3 大規模河川事業については必要性の有無等を十分に検討して、必要性が希薄な事業、環境等に多大な影響を与える事業を河川整備計画から排除すること
利根川水系では①~⑨の大規模河川事業が強権的に推進され、または推進されようとしています。これらの多くは真の必要性がなく、環境等に多大な影響を与えるものであり、災害を誘発する危険性を持つものもあります。これらのうち、①、②、③、④、⑤、⑧、⑨の問題点は別紙2「b2.doc」をダウンロードに示すとおりです。⑥と⑦は事業計画の詳細が示されてから、あらためて問題点を指摘します。これらの大規模河川事業については必要性の有無等を十分に検討して、必要性が希薄な事業、環境等に多大な影響を与える事業を河川整備計画から排除することを要望します。
①八ッ場ダム、②思川開発(南摩ダム)、③湯西川ダム、④渡良瀬遊水池の大規模掘削事業、⑤稲戸井調節池の大規模掘削事業、⑥烏川の河道内遊水池、⑦利根川中流部右岸の堤防拡幅事業(深谷市から五霞町まで、移転家屋870戸以上)、⑧印旛沼を使う利根川放水路計画、⑨霞ヶ浦導水事業 

4 利根川水系の自然を取り戻す河川整備計画を策定すること
利根川水系では過去の大規模河川事業によってかつての豊かな自然が大きく損なわれています。利根川の自然に多大な影響を与えた例は利根川河口堰と霞ヶ浦開発です。これらは当初計画の目的よりも必要性が大きく後退していますので、自然の回復に向けてその運用を抜本的に改善することが求められています。これらの事業の問題点と運用改善の方向は別紙3「b3.doc」をダウンロードのとおりですので、それを踏まえて利根川水系の自然を取り戻す河川整備計画を策定することを要望します。

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