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2006年11月30日 (木)

有識者会議に意見書を提出

利根川流域市民委員会は、11月29日、利根川水系河川整備計画策定に関する有識者会議あてに、以下の意見書を提出および郵送しました。11月29日に開催された渡良瀬川、霞ヶ浦の有識者会議では、席上で配布されました。

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2006年11月29日
利根川水系河川整備計画策定に係る
利根川・江戸川有識者会議 委員の皆様へ

利根川流域市民委員会
共同代表 佐野郷美(利根川江戸川流域ネットワーク)
嶋津暉之(水源開発問題全国連絡会)
吉田正人(江戸川大学教授)
連絡先  深澤洋子 TEL&FAX略
          高橋盛男 TEL&FAX 略

利根川水系河川整備計画の策定に関して
住民軽視の時代錯誤の方針を示す
国土交通省に姿勢の転換を求めてください

利根川水系河川整備計画の策定に係る有識者会議の委員の皆様に私たちの意見を申し上げます。

関東地方整備局が利根川水系河川整備計画の策定に関して示した方針は、私たちが求めてきた住民参加型の流域委員会〔注〕とはまったく異なり、整備局のみの判断で選んだ学識者の会議(有識者会議)を設置し、住民の意見は公聴会での聴取だけとするものでした。計画の是非に関する議論の場に参加させず、住民を軽視したやり方に私たちは強い憤りを覚えます。

1997年の河川法改正の趣旨における重要な柱の一つは、よりよい河川整備のあり方を住民ともに考え、その意見を反映していくことにありました。しかし、今年10月、国交省は、住民参加型の流域委員会のモデルというべき淀川水系流域委員会を休止することを発表しました。今回の利根川水系のやり方はその発表と軌を一にするものであり、国交省が河川法改正前の旧態依然たる姿勢に舞い戻ってしまったことを表しています。

利根川水系では別記のように、多くの大規模河川事業があり、それらを何が何でも推進するために、国交省は住民を軽視する時代錯誤の方針を示したのです。

有識者会議の委員の皆様におかれましては、関東地方整備局に対し、河川法改正の趣旨に基づいて住民と議論を重ねながら、河川整備計画の策定を進めるよう、姿勢の転換を求めてくださることをお願いいたします。
また、会議の進め方について下記のことを要望します。

1.有識者会議は、大規模河川事業の現地調査を行い、河川整備計画について議論を尽くすこと
2.有識者会議の途中で、流域住民の意見を聴く機会を設けること
3.有識者会議の中で傍聴者に発言の機会を与えること
4.有識者会議は、住民からの意見書・要望書を取り上げて検討すること

〔注〕私たちは9月22日に国交省に別紙の要望書を提出しました。

第2回利根川ツアーレポート(2日目)その2

第2回利根川ツアーレポート(2日目)のその2です
こちらと合わせてご覧ください。

DAY2 11月5日(土)

8:45
鹿島南部農業用水取水口
1
 
 
 
 
流れていない鹿島南部農業用水取水口について飯島さんから説明がありました。2
 
 
 
 
3
 
 

 
ここでは飯島さんからNPO法人アサザ基金の逆水門柔軟運用の提案について説明を受けました。逆水門を開けて、鹿島南部用水機場からの取水をやめて、南部用水は鰐川からの鹿島第3期工水を転用することで塩害を解消するとともに、外浪逆浦や北浦でヤマトシジミ・ウナギ・スズキ・マハゼ等の捕る漁業が復活し、水質が改善し、地域経済が活性化できるということでした。

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10:00
鹿島浄水場
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12:00
アサザ復元地区

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百年後にはトキの舞う霞ヶ浦を夢見て、21世紀は「人格を持った技術」が社会を変えると、地元の200校を越える小学校をはじめ、市民・行政・企業を連携して展開している飯島さんの熱のこもった説明を頂いた。コンクリート護岸ではない、粗朶とアサザを活用した自然に優しい護岸を造っている。地元の方々の地道な活動で、鉄やコンクリートではない、土と木と草を中心とした、人格を持った土木工事が展開していることが注目される。自然に優しい土木工事は植物や動物も復活しつつあるとのこと。

13:00
谷津田
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NPOアサザ基金はNECと共同して、霞ヶ浦周辺の谷津田の復活を目指して活動し、お酒まで醸造している。兎に角、地域の活性化が目標で、グローバルスタンダード化で苦戦している地方の活性化ビジネスを模索している。衰退し苦しんでいる鹿島鉄道の活性化にも鋭意取組んでいるとのこと。

那珂導水路機場への道中のバスで、元茨城県水産試験場浜田氏から霞ヶ浦の水産業について貴重なお話を頂いた。河口堰建設当初から浜田さんは水産業への影響を指摘してきたが無視されたとのこと。
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15:00
那珂導水路機場
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水戸の北の那珂道水路機場は、建設途中にあるが、水需要の減少のためか建設は大幅に遅れているようであった。当初の大規模な揚水ポンプは計画が縮小し、あたかも室内ポンプ場は「機場の空論」のように、ポンプが大部屋にチョコンと据えつけられた感じであった。
 

2006年11月24日 (金)

整備計画策定のあり方について

11月22日に国土交通省が発表した「利根川水系河川整備計画の策定に係わる学識者等からの意見聴取」について、本日、以下を提出します。

2006年11月24日

国土交通省河川局長 門松  武 様
関東地方整備局長  中島 威夫 様 

利根川流域市民委員会
共同代表 佐野郷美(利根川江戸川流域ネットワーク)
嶋津暉之(水源開発問題全国連絡会)
吉田正人(江戸川大学教授)

連絡先  深澤洋子 (TEL略)
      高橋盛男 (TEL略)

利根川水系河川整備計画の策定に関して
住民を軽視する時代錯誤の方針を示した
国土交通省に対して強く抗議する

関東地方整備局は11月22日に「利根川水系河川整備計画の策定に係る学識者等からの意見聴取について」を発表しました。その内容は私たちが設置を求めていた住民参加型の流域委員会とはまったく異なる、国交省のみの判断で選んだ学識者の会議(有識者会議)を利根川・江戸川等に設置するものであって、しかも、住民の意見聴取は公聴会のみであるとするものでした。住民は意見を聴くだけであって、計画の是非に関する議論の場には一切参加させないとする、住民を軽視した時代錯誤の方針を国土交通省が示したことに対して強く抗議します。

今年10月には国土交通省は、住民参加型の流域委員会のモデルというべき淀川水系流域委員会を休止すると発表し、今までの流れを180度変える方向を示しました。今回の利根川水系に関する国土交通省の方針はこの淀川水系についての発表と軌を一にするものであり、国土交通省が河川法改正前の旧態依然たる姿勢に舞い戻ってしまったことを表しています。
1997年の河川法改正の趣旨における重要な柱の一つは、住民と十分な意見交換をしながら、よりよい河川整備のあり方を住民とともに考えていくことにありましたが、現在の国土交通省は住民の意見を意図的に無視しようとしています。その理由は、国土交通省が10年前までと同様に大規模河川事業の推進を自己目的化し、その推進に異論を唱える意見を排除しようとしているからに他なりません。利根川水系では別紙のとおり、多くの大規模河川事業があり、それらを何が何でも推進するために、国土交通省は住民を軽視する時代錯誤の方針を示したのです。
私たちは今回の国土交通省の発表に対して強く抗議するとともに、利根川水系流域委員会を設置し、河川管理者が学識経験者だけでなく流域住民を交えて、河川整備の内容および大規模河川事業の是非を議論する機会を作ることを改めて要求します。

別紙 利根川水系における大規模河川事業 
 
①八ッ場ダム      
吾妻川に建設予定の多目的ダム(総貯水容量 10,750万m3)現在、付替道路、付替鉄道、代替地造成などの関連工事が行われている。(建設事業費 4,600億円、水特法事業と基金事業を除く。)
                        
②思川開発(南摩ダム)   
思川の支川・南摩川に建設予定の多目的ダム(総貯水容量 5,100万m3) (黒川と大芦川から導水)現在、水没予定地の取得が進められ、付替県道の工事が始められようとしている。 (建設事業費 1,850億円、水特法事業と基金事業を除く。)

③湯西川ダム        
鬼怒川の支川・湯西川に建設予定の多目的ダム(総貯水容量 7,500万m3)現在、付替道路、代替地造成などの関連工事が行われている。(建設事業費 1,840億円、水特法事業と基金事業を除く。)
                                  
④渡良瀬遊水池の大規模掘削事業  
渡良瀬遊水池は17,180万m3の洪水調節容量を持つ洪水調節池であるが、この洪水調節容量を500万m3以上増やすための大規模掘削事業が計画されている。
                                
⑤稲戸井調節池の大規模掘削事業 
稲戸井調節池の洪水調節容量を増やすための大規模掘削事業が計画されている。(1,890万m3→3,080万m3)

⑥烏川の河道内遊水池 
2006年2月策定の利根川水系河川整備基本方針によって、烏川の河道内に遊水池を建設することになったため、現在、国の直轄区間で遊水池建設計画が検討されている。

⑦利根川中流部右岸の堤防強化対策事業(深谷市から五霞町まで) 
利根川中流部右岸の堤防を強化堤防(川裏の勾配1:7)にするための堤防強化対策事業が計画されている。(首都圏氾濫区域堤防強化対策事業)(移転戸数 約860戸、栗橋町だけで270戸、総事業費1,300億円)  
                      
⑧印旛沼を使う利根川放水路計画 
2006年2月に策定された利根川水系河川整備基本方針では、戦前からあった旧利根川放水路計画はなくなり、代わりに新しい利根川放水路計画が入った。これは、利根川下流部の洪水10,500m3/秒のうちの1,000m3/秒を、印旛沼を経由して、東京湾に落とすものである。(この計画を実現するためには、印旛沼の大規模掘削、大水路の開削などが必要である。)

⑨ 霞ヶ浦導水事業 
那珂川と霞ヶ浦を結ぶ導水路(那珂導水路)、霞ヶ浦と利根川を結ぶ導水路(利根導水路)を建設する事業で、目的は都市用水の開発、霞ヶ浦の水質浄化などである。(建設事業費 1,900億円)(利根導水路は1989年に完成したが、霞ヶ浦から利根川への試験通水によって、漁業被害が起きたため、未だに使われていない。)

2006年11月21日 (火)

国交省・関東地方整備局との話合い

11月16日(木)11時から12時40分頃まで、衆議院第二議員会館第一面談室で、長妻昭衆議院議員の主宰による、国交省・関東地方整備局との話合いがありました。

●参加者
国交省河川局河川計画課(矢崎剛吉 課長補佐、治水課 近藤修 課長補佐、治水課 豊口佳之 課長補佐)、関東地方整備局(渡邊泰也 河川調査官、河川計画課 竹本隆之 建設専門官)、利根川流域市民委員会(嶋津、新保、村越、遠藤、田中清子、佐々木(千葉)、河登、猿山、神原、懸樋、深澤、他数名) 

●議論
1 前回(7月19日)の利根川水系河川整備基本方針についての議論の積み残し前回のヒアリング後に出された資料について、肝心な物が出ていないことを指摘しました。

(1)新規ダム群の建設をカモフラージュする基本方針の矛盾について
問:ダム嵩上げと用途振替えで下久保ダムの治水容量を増強し、烏川の河道内に調節池を設置して利根川の新規ダム群の建設を抑制することになっているにもかかわらず、烏川の利根川への合流量が従来と同じ8800m3/秒のままになっていることの理由は?
答:烏川上流で計画されていた未公表のダムを下久保ダムと河道内調節池に振り替えたので、結果として合流量は変わらない。
問:それでは、河川整備基本方針検討小委員会での国交省の説明と違うのではないか。下久保ダムの治水容量増強と烏川の河道内調節池で利根川全体の新規ダムの建設をほとんど抑制できるような説明をしていた。八ッ場ダムが最後のダムだという説明もあったほどだ。
答:奥利根のダム群については嵩上げや相互の用途振替で治水効果を上げることを検討している。
問:委員会での説明と大きく違っている。八斗島での流量を22000トンから16500トンに変えた計算の根拠は?
答:降雨パターンごとにどこでカットするかいろいろ考えて、結果として16500トンになるという計算結果が出ている。既設ダムのかさ上げ等を検討し、それでも足りない分を新規ダムで補う。新規ダムはまだ決定していないことなので、公表できない。
問:その計算資料を出してほしい。既設ダムでどのようにカットすると考えたのかは公表できるはず。
答:11月30日までに資料を出す。

(2) 印旛沼を使った新利根川放水路計画の非現実性について
問:現在、印旗沼周辺の洪水を利根川、東京湾に排出するだけで手いっぱいなのに、 どのようにして、1000トンも印旗沼に受け入れるのか?
答:印旗沼のハイウォーターは4、25メートルのまま変えず、利根川の水位が8メートルと高くなっている時に流し込み、大和田機場を使ってどんどん東京湾方面へ排出する。印旗沼の浚渫はしない。
問:それでは印旗沼も一杯になっている時には使えないが?
答:上流で降った雨が印旗沼まで届くには2、3日かかり、その時には印旗沼辺りは晴れていて、水位が下がっているので、利根川の洪水を受け入れることが可能。現場ではわかっていること。
問:雨が長期間降り続いた場合にそのように都合よくはならない。そういう気象条件を検討した資料を出してほしい。
答:そういう検討資料があるか不明。作らなければならないかもしれないので少し待ってほしい。
問:11月30日までに資料を出すように。環境への影響は? 周辺自治体への説明は?
答:今、資料を作っている。環境を良くする方向で考えたい。自治体への説明はしている。

2 利根川水系河川整備計画の策定と住民参加の流域委員会の設置について
(1)9月22日に利根川流域市民委員会が国交省に提出した要望書「住民参加型流域委員会の設置」について
(2)利根川水系河川整備計画の策定作業の進捗状況
(3)利根川水系河川整備計画の策定の今後のスケジュール
(4)利根川水系河川整備計画の策定における流域委員会の設置方法と、委員人選の進め方について

上記全てについて、「まだ決まっていないので、何も言えない、きまれば公表する」の一点張りでした。前回、具体的なスケジュールが決まってきたら、1か月前には連絡するようにという、長妻議員の指示があったにも関わらず、それは無視して、とにかく正式に決まってからでないと教えられないという図々しい態度でした。実際には、学識者の意見を聴く会議の日程がすでに具体化しているようでした。

問:委員の学識者の選び方は?
答:「河川、環境、経済、農業水利、水産、文化財等に詳しい人を選ぶ」といった通達がある。
問:その通達を出してほしい。
答:通達だから、出せる。
長妻議員:国民の税金を使って仕事をしているのに、何にも教えないというのはどうか。
いわゆる御用学者ばかり選んで、ちゃんと数字をチェックしてくれる専門家を入れないと、後で予測が外れることになる。批判的な人とそうでない人を半々で選ぶという哲学はないのか?市民委員会の側から、ふさわしい人を推薦したらどうか?
答:(問いつめられて)受理はします。
問:会議は公開か?
答:オープンの方向で考えている。
意見:現実の川をよく知っている住民、実績を上げているNPOの代表こそ入れるべきだ。公聴会では壁に向かって意見を言うようなもの。住民も議論に参加する場がなくては、ちゃんと意見を反映することはできない。今のやり方は、「開かれた河川行政」という国の方針に違反している。

3その他
●淀川水系流域委員会の今後について

説明:淀川の場合は、河川整備基本方針が決まらない状態で、河川整備計画を検討していた。方針を決めなくてはならないので、その時期のずれもあって、休止することになっただけ。

●数名の記者が参加していたので、長妻議員は「国交省の方に事前にお知らせしておくべきだった」と、冒頭に苦言(配慮)を呈しました。質問に答えたのは、主に渡邊氏でした。今回は長妻議員の梶秘書が録音してくれました。

2006年11月 7日 (火)

第2回利根川ツアーレポート(2日目)

2006年11月4日~5日利根川流域市民委員会の2回目のツアー、1日目に続き2日目の報告です。

DAY2 11月5日(日)

411鹿島浄水場で所員から浄水場のしくみについて説明を受けました。
 
  
 
 
 
 
416鹿島浄水場で浄水場の各施設をめぐりました。
 
  
 
 
 
 
427_1霞ヶ浦北部の石川地区での湖岸植生再生事業を見学。アサザ基金は、かつてのオニバス自生地の復元を目指しています。
  
 
 
 
 
436_1同じ場所で、記念写真。
 
  
 
 
 
 
457_1霞ヶ浦に注ぐ山王川流域の谷津田の再生現場です。昼飯はここで食べました。湧き水の流れ、メダカの群れ、心地よい空間と時間を共有しました。

Photo_13那珂導水路機場に到着。まだ使われてない立派な施設が神殿のようにそびえていた。5階建て相当の高さのだだっ広い空間にポンプが2つ、寂しげに鎮座している。「なんでこんなに空間があいてるんですか?」の質問の答えは、当初想定した総水量35トンが15トンに減ったので、必要なポンプも4から2に減った、とのことだった。「機場の空論」とはこのことであった。

Photo_14那珂導水路機場から彼方に那珂川が見える(ゴルフ練習場の向こう)。
 
 
  
 
Photo_15ぽっかりと開いた空間は、那珂川からの導水路予定地、その向こうに那珂川を望む。  
(いずれも写真をクリックすると少し大きくご覧になれます)

2006年11月 6日 (月)

利根川河口の環境の変化

第2回利根川ツアー1日目(11月4日)の夜、鈴木久仁直さん(日本自然保護協会の河川問題調査特別委員会委員をされた方)から利根川河口の最近のお話を聞きました。

●鈴木久仁直さんのお話
「近年、外来種のアメリカナマズが増えている問題がある。

佐原・笹川・北総漁業組合が、香取市の市長宛に陳情書を提出した。国などの関係機関に1)アメリカナマズの発生原因などの生態調査、2)駆除対策、駆除助成策、漁業者の救済策、3)利根川の自然環境回復対策の検討と実施を訴えた。回答は「国などに働きかけていきたい」というものだった。

利根川は上流のダム、中流の利根大堰に影響を受け、下流の利根河口堰は大きな転換期となった。最近では北千葉導水事業開始後に大規模な赤潮が発生した。日本自然保護協会の調査でも明らかとなった。平成16年の夏にハクレンが大量死した。ウナギをつろうと思うと6割、7割の針にかかってくるのはアメリカナマズ。肉はまずい。大発生は漁業者だけでなく釣り客や景観にも悪影響。自然環境の衰退は、天然のウナギ、食文化を支えてきたシジミの消滅につながる。ここ2、3年の悪化はひどい。

昭和46年に利根川河口堰ができて以来、放流などの努力をしてきたが 、昭和50年代にはもう放流事業もできなくなった。漁業者が各自年20、30万円投資してもその効果が得られなくなったからだ。今は北千葉導水事業後はほとんどゼロではないか。質問書や抗議書を繰り返してきたが、回答らしい回答がない。赤潮の発生も最初は認めなかったくらいだ。

ハクレンの大量死は、毒性のあるプランクトンが手賀沼で発生し、北千葉導水を通って利根川に流れ込んだことが原因ではないだろうか。」

●吉田正人さんの解説
「利根川の自然環境の変化は3期ぐらいに分かれる。

第一に1971年の利根川河口堰完成直後に一挙にヤマトシジミが減った。おそらく汽水域を残そうという操作をしたために、河口堰の湛水域の下層に比重の重い塩水が溜り、底層の酸素をうばってしまったためだと思う。1975年に再びとれるようになった。しかしそれは淡水性のマシジミだった。

第二に、シジミ漁業権の消滅補償が行われたため、河口堰を閉める日数が増え、1980年代になると、ヤマトシジミもマシジミもとれなくなった。

今回は北千葉導水事業の開始による赤潮の発生。国交省は「泥で濁っているんだろう」といい加減なことをいうが、調査すると、ケイソウ類が冬でも発生していることが分かった。利根川は冬季に水がすくないので2004年の1月2月に植物プランクトンが大量に発生し、その後、一番ハクレンが死に、アメリカナマズが大量に発生した。」

*北千葉導水事業とは?
30トンの水を利根川から江戸川に送るのが一つの役目。最大10トンを手賀沼に入れて浄化する。しかし手賀沼は浄化されてもそれによって利根川下流部の水質悪化が一層進み、手賀沼の汚れが利根川に来ただけという話になった。手賀沼が流れ出てくるところが一番プランンクトが多いという調査結果も出た。

●質疑応答
Q:手賀沼の汚れが北千葉導水によって最初はドンと出てくるとしても、それだけが原因だろうか。
A:河口堰がもっとも悪者であることは間違いないが、北千葉導水ができてから利根川下流部の水質がさらに悪化したため、漁民は北千葉導水の影響を疑っている。
A:霞ケ浦でも同じ平成16年にアメリカナマズの大量発生、ハクレンの大量死が起きた。生物の移動が妨げられることによってもおきているのではないか、同じことが起きているなと思って聞いていた。堰の操作の仕方について、国交省などに提案しているか?知事は?具体的に操作のタイミングなどを提案してはどうか。

2006年11月 5日 (日)

第2回利根川ツアーレポート

2006年11月4日~5日、利根川流域市民委員会は第1回利根川ツアーに続き、2回目のツアーを開催しました。

DAY1 11月4日(土)
10:52
京成佐倉駅(千葉県)出発
深沢洋子さん「今日の参加は40人です」

11:30
Photo印旛沼公園から印旛沼を見下ろす(写真)。嶋津暉之さん「昭和44年に印旛沼開発が、1)洪水対策、2)内水排除 、3)利水の3つの目的で行われた。今年2月に策定された利根川水系河川整備基本方針で、幻の利根川放水路にかわり、印旛沼で1000トンを洪水調整することになった。印旛沼の大掘削が必要となり、自然環境に打撃を与えることになる」

12:15
Photo_5印旛排水機場の前に立つ(写真)。現在、印旛沼周辺から印旛沼に流れ込む92トンの水を利根川「に」排水するための機場。新基本方針では、約10倍規模の洪水を利根川「から」印旛沼に引き込み、東京湾に流す。国交省は上流の洪水が印旛沼に来る頃には印旛沼は晴れているから大丈夫と言う。

水門側から利根川を見る。Photo_6

2:00
Photo_7国土交通省利根機場の水門に到着(写真)。飯島博さん「開かずの水門です。1989年に完成し、1995年に試験通水を行ったが、水門を開けた途端にシジミが死んで漁協の反対で使えない。霞ヶ浦導水事業全体の事業費は1900億円。水道料金に転嫁されてきている。」(写真)Photo_8

予定された機能は、1)東京都の霞ヶ浦開発の水利権(霞ケ浦から利根川へ)-まったく使われてない、2)霞ケ浦の浄化(利根川から霞ケ浦へ)-行われていない、3)利根川の水が少ないときに(霞ヶ浦を経由して那珂川から利根川へ)。嶋津さん「この霞ヶ浦導水事業は工事中で、事業費ベースで進捗率75%になっている。2010年完成予定だがどうなるか」

2:30
Photo_9(後学のため。利根川水系事業とは関係なし)横利根閘(こう)門(写真)

Photo_10吉田正人さん「重要文化財です。大正時代から舟運に利用された」(写真)

3:25
Photo_11利根川河口堰。
河口から18.5キロメートル。水資源機構(当時水資源開発公団)によって建設された。1971年に完成。もともとの地元からの要望は潮止め。渇水(昭和33年など)によって塩害(田畑や飲料水)が起きたが、これに加えて水資源開発計画に基づき、東京都が50%以上出資して建設された。塩害は止まったので喜んだが、シジミの大量変死が起きた。

吉田さん「東京都等は20トン取水する権利が生じたが、こんなところから導水菅をひっぱっていくわけにはいかないので、上流の利根大堰で取ることにした。しかし、その分、下流で不足するので帳尻を合わせるために北千葉導水を作って金町浄水場で水をとった。その帳尻を合わすために霞ケ浦で取水することに(取水していないが)なり、その帳尻を合わすために那珂川から水を取ることになった。帳尻合わせのすべての発端が利根川河口堰だと思う。シジミの最大産地だった八郎潟の干拓以降は、ここがシジミの最大の産地となったがダメになった」

(写真)手前から、黒部川、利根川、常陸川と並んでいる。

管理所担当者とのQ&A 
「魚道の調査でどんな魚種が?」→「ボラなど」
「建設当初シジミが大量死した原因は?」→「手元に資料がなく記憶にない」「機構としては堰前後数百メートルの状況の把握はしているが、シジミの調査は水産関係者がもっと下流で行っている」

16:30
Photo_12常陸川水門。
水門の管理事務所担当者さん「霞ケ浦の唯一の出口が常陸川水門です。下流から水をいれないことが原則の操作。完全にしめきった操作。魚道がついていないが現在検討中。利根川は川の管理で雨が降れば開ければいいという考え方だが、こちらはダムの考え方で操作する。年間の操作回数は70から80回。昨年は62回で少ない。」

霞ケ浦は琵琶湖につぐ全国二番目の広さ、流域面積は茨城県の35%。利根川河口堰の8年前の昭和38年に完成。目的は、1)常陸川が細いから排水できず霞ケ浦が洪水となるので、拡幅して流下能力を高めた。2)利根川の逆流により湖水域で洪水が起きることを防ぐ、3)逆流による塩害防止。「船の通行は年間は3000艘、昔は4000艘。漁船が減った。プレジャーボートが増え、土日の通行量が平日よりも多い傾向」

写真:常陸川水門管理事務所の窓から。

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