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2006年9月28日 (木)

11月4~5日は利根川ツアー

利根川流域市民委員会では11月4、5(土日)に利根川ツアーを開催します。
どなた様も奮ってご参加ください。

利根川流域市民委員会主催  第2回利根川ツアーのご案内
★行程は多少変更することがあります   

2006年11月4日(土)~5日(日) 

11月4日 
午前10時30分 京成佐倉駅(北口)集合
午前 印旛沼を見学(疎水路入口、西印旛沼、北印旛沼、長門川)
   (新利根川放水路計画の問題点を検討)
=昼食=
午後  利根川右岸に沿って下流へ
利根導水路(霞ヶ浦導水事業でつくられた霞ヶ浦と利根川を結ぶ水路)(東京は利根導水路と北千葉導水路を経由して霞ヶ浦の水を使っていることになっているが、利根導水路の水門は完成以来閉鎖したまま)
利根川河口堰(河口堰で東京、埼玉、千葉が毎秒20m3の水利権を得ている。)
漁協の話を聞く(予定) (河口堰によって利根川下流の漁業がどのような影響を受けてきたか)
夜は市民委員会の第5回会議

宿泊 鯉屋(http://homepage2nifty.com/koiya/)
千葉県香取郡東庄町笹川5214-7 (JR笹川駅より800m)

11月5日
午前 
常陸川水門(霞ヶ浦の出口)とその周辺
(常陸川水門を開放するためのアサザ基金の提案を考える)
鹿島工業用水道の取水口
(霞ヶ浦開発によって霞ヶ浦がどのように利用されているのか)
霞ヶ浦をみながら土浦方面へ
霞ヶ浦の湖岸の状態(霞ヶ浦開発が霞ヶ浦に与えた影響)
=昼食=
午後
アサザ基金の自然再生の取り組み
霞ヶ浦導水事業の那珂導水路の工事現場
(霞ヶ浦導水事業の問題点を考える)
午後3時頃 JR常磐線の土浦駅で解散

第2回利根川ツアー参加申込書
主催:利根川流域市民委員会
参加申込み・問合せ:深澤宛 tonegawashimin@yahoo.co.jp(共通)

申込み方法:下記事項を全て記入して、10月20日(金)までに、上記の深澤までメールでお申し込み下さい。直前のキャンセルの場合、キャンセル料を頂く可能性があります。

費用:下記の参加行程をご覧下さい。参加人数によって、バス代は多少変更の可能性があります。

支払い方法:参加当日に釣り銭のないようにご持参下さい。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お名前:
ご住所:
連絡先:
参加行程:該当箇所にチェックをお願いします。
  ・( )全部(約1万6千円)
  ・部分参加
      ( )4日バス見学(約3500円、昼食別) 
      ( )4日夜の会議(会議参加費&資料代で500円)
      ( )4日宿泊(夕・朝食つきで8000円)
      ( )5日バス見学(約3500円、昼食別) 
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
以上

利根川流域市民委員会参加申込書

 利根川流域市民委員会への参加呼びかけをご覧の上、ご参加くださる方は、下記申し込み書の各項目を記載し、下記連絡先にメールでお送りください。Email:tonegawashimin@yahoo.co.jp(共通)

利根川流域市民委員会に参加します 
*団体参加の場合は1)、3)、4)を、個人参加の場合は2)、3)をご記入下さい

1)団体参加
団体名:
代表者名:
事務局所在地:〒
事務局連絡先:T: F:
 担当者氏名:
 E-mail:              

2)個人参加
氏名:
住所:〒
連絡先:T: F:
E-mail

3)流域市民委員会MLへの登録希望:
 
4)本市民委員会のブログに掲載しますので、貴団体の自己紹介文をお書き下さい。団体名とURLをのぞき、300字程度(最大400字)でお願いします。
・ ホームページのURL
・貴団体のミッション(活動目的)やその内容
・そのミッションに照らして、利根川水系河川基本方針に上げられた事業で問題だと思う点
・ 河川整備計画策定において関与したい分野や地域など

以上

2006年9月24日 (日)

利根川流域市民委員会に加わってください!

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 利根川流域市民委員会では発足宣言以来、広く参加を呼びかけ続けています。ぜひ、ご連絡ください!E-mail:tonegawashimin@yahoo.co.jp(共通)
写真:06年9月22日、「地域住民参加の流域委員会の設置について(要望)」を国交省へ提出後の記者会見風景、右から共同代表の嶋津、吉田、高橋(佐野代理))


利根川流域市民委員会に加わってください!

 利根川流域市民委員会

利根川に豊かな河川環境を取り戻したい 
 上越の山々に源を発し、関東平野を潤し、東京湾・太平洋へと注ぐ坂東太郎・利根川は、流域面積・流域人口ともに、日本最大の河川です。利根川は、アユ、サケ、ウナギ、シジミなどの水産資源を育むとともに、農業用水としてまた舟運の航路として、流域にすむ私たちの生活と文化を支えてきました。
 しかし、利根川は、ときには自然の猛威を見せつける場面もありました。そのため明治以来、浚渫・堤防・遊水池など治水工事が行われてきました。また、東京オリンピック渇水を契機に、首都圏の都市用水が利根川に求められ、上流のダム群、中流の取水堰、下流の河口堰などの利水工事が行われるようになりました。その結果、日本一のアユの漁場であった上流域や、シジミの最大の産地であった下流域の河川環境は一変してしまいました。
 かつての豊かな河川環境を、利根川に取り戻したい。いまこそ、上流から下流までの流域住民がいっしょになって、そのことを考えなければならない時期に来ています。

河川整備計画づくりを市民参加で
 その最大の機会が、「利根川水系河川整備計画」づくりへの参加です。
 平成9年、河川法が改正され、これまでの「治水」・「利水」に加え、水質・景観・生態系等を含む「河川環境の整備と保全」が目的に加わりました。また、国土交通省が河川整備計画を策定するにあたって、地域住民の意見を反映させることが義務づけられています。
 関西の淀川流域では、近畿地方整備局が「淀川水系流域委員会」を設置して、淀川や琵琶湖などの部会ごとに河川整備の課題を整理し、治水、利水、環境・利用などの各分野に対する提言をとりまとめています。学識者のみならず、公募市民等もまじえたこの流域委員会の取り組みは、新河川法の住民意見の反映方法のモデルとして高く評価されています。
 しかし一方で、徳島県の吉野川では、四国地方整備局が学識者会議とは別に、上流・中流・下流ごとに地域住民、市町村長を対象に「流域意見を聴く会」を開催し、住民意見を反映させるという吉野川方式をすすめています。これは国が住民の意見を一方的に聴くだけで、新河川法が求める住民意見反映には程遠いものです。

淀川方式の流域委員会設置を求めて
 利根川水系においては、平成18年2月14日に国土交通省が「利根川水系河川整備基本方針」を策定、平成18年度中にも「利根川水系河川整備計画」の検討に入る予定です。私たちが利根川の河川環境の整備に意見を言う最大のチャンスが、河川整備計画が策定されようとしている「いま」なのです。
 私たち利根川流域市民委員会は、利根川水系河川整備計画に流域住民の意見を反映させるために集まった、流域団体や市民のネットワークです。河川環境の回復と、治水・利水との調和を願い、地域住民の参加による河川整備計画づくりを求め、その第一歩として利根川水系においても淀川方式をモデルとした流域委員会を設置するよう働きかけています。
 淀川でできたことが、坂東太郎・利根川でできないはずはありません。流域団体や市民の総意で「流域委員会の設置」を国土交通省に求めていきましょう。

2006年9月22日 (金)

地域住民参加の流域委員会の設置について(要望)

 利根川流域市民委員会は、9月22日、利根川河川整備計画策定にあたり、地域住民参加の流域委員会を設置するよう、国交省および関東地方整備局に要望を行いました。以下、その要望書です。

******************

2006年9月22日

国土交通省河川局長 門松  武 様
関東地方整備局長  中島 威夫 様 

利根川流域市民委員会
共同代表 
 佐野郷美(利根川江戸川流域ネットワーク)
 嶋津暉之(水源開発問題全国連絡会)
 吉田正人(江戸川大学教授)

連絡先  
 深澤洋子 (電話・住所略)
 高橋盛男 (電話・住所略)
 E-mail:tonegawashimin@yahoo.co.jp(共通)

地域住民参加の流域委員会の設置について(要望)         

 私たち利根川流域市民委員会は、利根川水系河川整備計画に対して、流域住民の意見を反映させるために集まった、流域団体や市民のネットワークです。

 平成9年、河川法が改正され、これまでの治水、利水に加え、水質・景観・生態系等を含む河川環境の整備と保全が目的に加わりました。また、河川整備計画策定にあたって、地域住民の意見反映が義務づけられました。平成12年、近畿地方整備局は「淀川水系流域委員会」を設置して、河川整備の課題を整理し、治水・利水・環境・利用などの各分野に対する提言をとりまとめています。この流域委員会の取り組みは、新河川法の住民意見の反映方法のモデルとして高く評価されます。一方、四国地方整備局は、学識者会議と同時に、上流・中流・下流ごとに地域住民、市町村長を対象に「流域意見を聴く会」を開催し、住民意見を反映させるという吉野川方式を進めていますが、これは国が住民の意見を一方的に聴くだけで、新河川法の求める地域住民の意見反映とは程遠いものです。

 利根川水系河川整備計画の策定にあたっては、ぜひ淀川水系流域委員会をモデルに、地域住民参加の流域委員会による検討を実現していただきたく、下記の通り要望いたします。

                記

1,利根川水系河川整備計画の策定にあたっては、学識経験者だけでなく地域住民を含んだ利根川水系流域委員会を設置して、利根川の河川整備のあり方を検討して下さい。

2,利根川水系流域委員会には、流域団体からの委員、公募の市民委員を含めることとし、流域団体からの委員選出方法については本市民委員会との協議の場を設けて下さい。

3, 利根川水系流域委員会は、諮問された河川整備計画原案を審議するだけではなく、流域毎に治水、利水、環境・利用などの課題(別紙参照)を整理し、提言し、計画の実施をフォローアップするなど、自主性をもった運営を確保して下さい。

4,利根川水系流域委員会は公開で開催し、傍聴者にも発言を認めるともに、流域委員会として地域住民の意見を広く聴く場を設けてください。

以上

利根川流域市民委員会第4回会議

9月3日、「利根川流域市民委員会学習会」に続き、埼玉会館(浦和市)で「利根川流域市民委員会第4回会議」を開きました。以下が、そのレジュメです。
 
1 今までの経過
4月16日 第1回会議(流山市森の図書館)
6月3~4日 利根川ツアー
6月3日  第2回会議(古河市ホテル山水)
7月10日 関東地方整備局に発足宣言文を提出
7月19日 国土交通省のヒアリング
7月30日 第3回会議(浦和市埼玉会館)
9月3日 今本博健先生学習会

2 流域市民委員会への参加よびかけ
現在の参加団体・個人
新たなよびかけ先

3 利根川流域委員会の提案
利根川流域委員会提案の内容
この提案のアピールの仕方、国土交通省への提案の方法

4 第2回利根川ツアー(予定)
別紙参照(印旛沼、利根川河口堰、霞ヶ浦、北浦)

5 その他

2006年9月 4日 (月)

利根川流域市民委員会学習会

本日9月3日の利根川流域市民委員会学習会の講師レジメです

 利根川流域市民会議に期待する

 今本博健

           利根川流域市民委員会学習会(埼玉会館 2006-9-3)

                 利根川流域市民会議に期待する

                         今本博健

1 河川整備基本方針および河川整備計画の策定状況

1-1 河川整備基本方針の策定状況

 河川整備基本方針は今後の河川整備の方向を示すもので、きわめて重要な地位を占める。しかし、その内容は工事実施基本計画とほとんど同じであり、実質審議時間は延にしてわずか数時間程度である。これだけの重大事を策定するには余りにもお手軽ではないか。

 審議の実態を国交省河川局のホープページに公開された資料をもとに見てみよう。

①基本方針を実質審議するのは河川整備基本方針検討賞委員会である。

 ・委員の数は2530名で、うち7名は河川分科会委員を兼任している。委員の内訳は、常任の学識経験者と、臨時に水系ごとに指名される学識経験者ならびに関係都道府県知事で構成されている。知事は代理出席が多いが、本人が出席することもある。

 ・審議のプロセスは、河川局による現状と課題の説明⇒委員による意見あるいは質問⇒河川局による基本方針素案の説明⇒審議⇒基本方針案の決定、という手順で進められている。

 ・委員会は水系ごとに数か月おきに開かれ、数回程度の審議で終了している。

 ・1回当りの委員会は2時間程度であり、実質の審議時間がきわめて短い。

 ・現状と課題の説明は河川局が担当しているが、膨大な資料を短時間で説明している。

 ・資料は当日配布であり、河川局の説明は要を得ているものの、委員がどれだけ理解したかは疑問である。

 ・委員が個人的な意見を述べるだけで、委員会としての意見にとりまとめることはない。

 ・委員の意見を基本方針に反映させるかどうかは河川局が決める。

 ・委員の質問には河川局がその場あるいは次回委員会で答えているが、反論はほとんどない。

 ・関係知事の意見は謝辞あるいは要望が多い。

 ・結局は、最終修正を委員長に一任し、河川局が作成した基本方針素案が字句程度の修正がなされて基本方針案となっている。

②基本方針を実質策定するのは河川分科会である。

 ・委員の数は15名で、うち7名は社会資本整備審議会委員を兼任している。

 ・審議会運営規則に「分科会の議決は会長が適当と認めるときは審議会の議決とすることができる」とされており、基本方針の策定日も分科会の開催日になっている。

 ・開催は年に数回程度であり、複数の水系(多いときは8水系)の基本方針を1回の審議で決定している。

 ・小委員会の審議結果の説明は分科会委員でもある小委員会委員長が行っており、限られた時間でどこに説明の重点をおくかは小委員長の判断に委ねられている。

 ・委員の質問あるいは意見はほとんどなく、基本方針案がほとんど無修正で基本方針と認定される。

③河川法で意見を聴くとされている社会資本整備審議会は単なるセレモニーである。

 ・開催は年に1~2回程度である。

 ・河川局長が河川分科会の審議状況を報告する。

 ・報告では内容の説明はほとんどなく、それへの質問や意見も皆無に近い。

④基本方針は、平成1112月1日に留萌川など6水系で策定されたのを皮切りに、平成18年8月現在、109の1級水系のうちの50水系で基本方針が策定されている。このうち平成16年度以降の策定が27水系となっており、河川法改正10年を目前にした最近になって慌しく策定されだしている。

1-2 河川整備計画の策定状況

 河川整備計画は当該水系を管理する地方整備局の取扱いとなっている。各地方整備局のホームページからその策定状況を調べてみた。

200511月末までは、基本方針が策定された水系では、もれなく流域委員会(名称は水系によって異なるものもある)が設置され、整備計画について審議している。未策定の水系でも、早々と流域委員会を設置して、審議を開始している水系もある。

②全国の流域委員会の実態調査をした日弁連公害対策環境保全委員会によると、流域委員会の委員の選考・委員会の情報公開・開催回数などは水系ごとに大きく異なっており、「その設置・活動状況を見るに、単に法の要件を満たすために形式的に設置されたとしか評価できないものがその大半であり、この設置を求めた法の趣旨が反映されているとは到底言い得ない状況であった」と酷評している。

③数ある流域委員会のなかで唯一きわめて高い評価を受けたのが淀川水系流域委員会である。そこでは、委員の選出や委員会の運営などで独特の方式を採用し、河川管理者・委員会委員・一般傍聴者・事務局が一体となって、新たな川づくりを目指している。

④最近になって、吉野川水系のように、流域委員会方式以外の方式をする採用水系がでてきた。

⑤吉野川水系ではつぎの方式を併用して意見を聴こうとしている。

 ・吉野川学識者会議

 ・吉野川流域住民の意見を聴く会

 ・吉野川流域市町村長の意見を聴く会

 ・パブリックコメント

 ・公聴会

⑥この方式が流域委員会方式を超えることができるのか、今後の推移を見守りたい。

200012月の九州地整大野川水系での策定を筆頭に、現在、22水系の24河川の整備計画が策定されているが、なかには渡川水系の中筋川のように、水系の基本方針がまだ策定されていないものもある。

2 淀川水系流域委員会の成果と課題

 いまや、いろんな意味で有名になった淀川水系流域委員会であるが、その素顔を見てみよう。

2-1 淀川水系流域委員会の経緯

 淀川水系流域委員会は、設立が構想された段階から他の委員会と基本的に異なる道を選択しようとしている。設立された委員会も、「今後の公共事業の計画づくりのモデル」を目指して、自主的に方向を探り続けた。

①河川管理者の決断:河川法改正の趣旨を生かす意欲をもって流域委員会の設置に取り組んだ。

 ・淀川水系河川整備基本方針の日程すら未定の早い段階で委員会の設置準備を開始した。

 ・準備会議の委員を、必ずしも公共事業に好意的とはいえない者を含めて、多分野の学識経

  験者に委嘱した。

②準備会議:流域委員会のあり方についてつぎのような答申をした。

 ・委員会の組織構成(委員会・地域部会)

 ・公募方式による委員の選出(学識経験者の範囲の拡大)

 ・会議および会議内容の公開

 ・一般意見の聴取と反映

 ・運営の民間会社への委託

③流域委員会:「河川整備計画原案についての意見」および「関係住民の意見の反映方法についての意見」の答申を目的として設置され、のち「河川事業・ダム事業にかかる再評価及び事後評価についての審議と意見」の答申が目的に追加された。

 ・キャッチボール方式による議論の積み上げ

 ・河川整備計画原案作成についての新たな審議のプロセスの採用:河川整備の現状と課題についての説明⇒河川整備のあり方についての提言⇒基礎原案の作成⇒基礎原案への意見⇒基礎案の作成⇒基礎案への意見

 ・丁寧な審議(委員会・地域部会・テーマ別部会・作業部会など)

 ・積極的な一般意見の聴取

 ・委員の分担執筆による提言・意見のとりまとめ

 ・委員の無記名投票による委員長・部会長の選出

 ・適度な緊張感のもとでの河川管理者と流域委員会との協働

2-2 淀川水系流域委員会の成果

 淀川水系流域委員会は、まれに見る多くの審議日程をこなした。同時に莫大な経費が費やされている。審議の成果は委員が分担執筆した「提言」「意見書」として公表されているが、これらが河川整備計画の策定に有効であったかどうかは、整備計画案が示されていない現時点では判断できず、また評価は他者に任せたい。

2003年1月に発表した「新たな川づくりを目指して」は、これまでの河川整備のあり方を抜本的に変えようという斬新な答申であった。

 ・河川や湖沼の環境の保全・再生を重視する。

 ・いかなる大洪水に対しても被害を回避・軽減することを目指す。

 ・水需給を管理し、一定の枠内でバランスをとる。

 ・河川生態系と共生する利用を図る。

 ・多様な意見を聴取し、計画づくりに参加してもらう。

 ・ダムは、自然環境に及ぼす影響が大きいため、原則として建設しないとし、他に有効な代 替案がなく、社会的合意が得られた場合に限り建設する。

②河川管理者はこの提言を参考に河川整備計画基礎原案を作成したが、流域委員会は提言の反映が不十分であるとする意見書を答申した。主な論点を示す。

 ・河川環境については調査検討が不十分である。

 ・越水を考慮した堤防補強が必要である。

 ・水需要予測の精査確認が不十分である。

 ・高水敷の都市公園的利用の見直しが不十分である。

 ・住民意見の聴取が不十分である。

 ・ダムの効果に疑問があり、代替案についての検討も不十分である。

③河川管理者は流域委員会の提言・意見書をかなりよく反映させた河川整備計画基礎案を作成するとともに、直ちに一部を実施した。主な反映点を示すが、他の各種委員会の意見が総合的に反映されたもので、流域委員会のみの成果ではないものも含んでいる。

 ・とくに琵琶湖の環境についての調査が充実され、河川の縦断方向の連続性を確保するために魚道の新築・改築が行われ、流水の撹乱機能を確保するための高水敷の切り下げや堰操

  作の試行が実施された。

 ・浸透および侵食に対する堤防補強が実施されるとともに、越水対策についても実験的検討

  が開始された。

 ・水需要の実態を公表するとともに、節水キャンペーンを実施した。

 ・高水敷における運動施設の縮小方針を打ち出した。

 ・ファシリテータ方式による対話集会・パブリックコメント・公聴会を実施した。

 ・事業中の5ダムの本体にかかわる工事を凍結するとともに、のちに2ダムを「当面実施し

  ない」という方針を打ち出した。

2-3 淀川水系流域委員会の問題点

 これまでに明らかになったいくつかの問題点を示そう。

①河川管理者・委員会委員・一般住民・事務局がそれぞれの役割を継続的に果たすことが重要である。

 ・流域委員会は河川管理者・委員会委員・一般住民(傍聴者を含む)・事務局の4者が協働してはじめて機能する。いずれかが怠慢であれば機能は低下する。

 ・とくに重要なのは河川管理者の「意欲」である。この点、淀川水系の河川管理者は改正河川法による河川整備の新しい理念の具体化と充実した住民参加手続きの実施について並々ならない強い改革の意欲をもち、流域委員会に対応した。このことが淀川水系流域委員会を機能させたのであって、人事異動等によって河川管理者の対応が変われば機能しなくなる恐れがある。

 ・委員会委員も真摯に審議した。このことが河川整備の理念を抜本的に変える必要があるとの提言に結びついた。とくに「ダムは原則として建設しない」という提言は社会の注目を

 ・事務局は民間会社が担当したが、交代ごとに慣れるまでに時間を要した。

 ・年間数10回から100回近くの会議が行われたため、本業をもつ委員にとっては出席すること自体が困難であり、NPO関係委員にとってはNPO活動との調整に苦労したようである。委員会経費も莫大であった。

②委員会経費が莫大であった。

 ・委員会経費は、会場費・委員日当・資料印刷費・ニュースレター作成費・ホームページ管理費等の多くの集積であり、詳細については不明であるが、公開した場合の1回当りの経費は約500万円を要したようである。

 ・会場が一定せず、各地で開催された。一般傍聴者も苦労したであろう。

③委員会の審議能力に限界があった。

 ・委員会に過度の期待が集まり、落ち着いた雰囲気が保てないこともあった。

 ・委員はそれぞれに努力したが、専門外のことを正確に理解できたかに問題もあった。

 ・委員会は調査機関をもたないため、独自の調査が困難であった。

 ・委員会としての検討にも能力的な面からの限界があった。

④整備計画に反映されなかった意見もある。

 ・整備計画の策定者は当然のことながら河川管理者である。

 ・整備計画に反映されない意見があるのは当然であるが、なぜ反映しなかったかの説明が不

  十分であった。

3 利根川水系河川整備計画の策定に向けて

3-1 河川整備についての現状認識

 河川の現状をどう評価するか。それがすべての出発点である。

①治水や利水の安全度は高くなったものの、河川の環境は明らかに悪くなっている。もちろんまだまだ「いい川」もある。だが、どんどん少なくなっている。

 ・ほんの3040年まえまでは、ほとんどすべての川が清流であった。いま、われわれはあまりにも川を汚してしまった。

 ・かつて、そこには豊かな自然環境があった。いま、ダム・堰・河道の直線化・コンクリート護岸などの河川整備によって、生態系が重大な影響を受けている。

 ・かつては、多くの人々が川に親しんでいた。いまは、都市公園的な利用は増えたものの、川でなければできない川本来の親しみができなくなっている。

②大きな歴史の流れのなかで、河川技術はいま新たな時代を迎えようとしている。「第4の時

 代」である。

 ・第1の時代:中世までは大河川の治水には、手をつける技術がなく、ほとんどなにもできなかった。ただし、小河川では早くから古代灌漑技術が発達し、農業用水としての利用の歴史は長い。また、大河川でも、人や物資の移動に大いに利用が行われている。

 ・第2の時代:戦国時代から江戸時代にかけて、信玄に代表される川の流れの特性を巧みに利用する「受けの技術」と秀吉に代表される川の流れを力づくで押さえ込もうとする「攻めの技術」を駆使して、近世河川技術の華を開いた。

 ・第3の時代:明治以降、欧米の先進技術を導入し、動力・機械・材料の飛躍的な進歩とともに、近代河川技術の華を開いた。結果として、治水や利水では大きく進歩したものの、

  河川環境が破壊されようとしている。

 ・第4の時代:河川環境の悪化が深刻となった。ダムによる土砂移動の遮断は海岸侵食まで引き起こしている。高齢化社会を迎えて人口が減少に転じ、財政的な見通しも変わってきた。いまこそ、河川整備にも次世代に負の遺産を引き継がないよう、河川環境を重視した抜本的な転換をしなければならない。

③短期的に見ても、河川管理者は、自らの考えを河川審議会(現在の社会資本整備審議会河川分科会)の答申という形で発表し、時代に応じた重点施策を打ち出している。

 ・都市化の進展とともに、河川だけで洪水氾濫を防ぐことが不可能とみるや、流域対応を併用した「総合治水」を打ち出した(1977)。だが、実際に行われたのは防災調節池の設置や避難対策の充実などであって、効果はそれほど上がっていない。

 ・中小河川で破堤による壊滅的な被害が頻発することから、大都市周辺を流れる河川で破堤しては大変だと、超過洪水対策を打ち出した(1987)。だが、実際に行われたのは堤防の法面勾配を緩くするスーパー堤防の実施のみで、まちづくりとの調整に時間がかかり、経費も莫大なため、遅々として進んでいない。公共事業ででる残土処理に過ぎないとの批判もある。

 ・河川整備の環境への悪影響や公共事業への批判を受けて、河川法を改正した(1997)。河川環境の整備と保全を法目的に加えるとともに地域の意見を反映した河川整備の計画制度を導入したが、具体的な手続が河川管理者に委ねたので、改正の趣旨が活かされないこと  が多い。

 ・2003年の答申「新しい時代における安全で美しい国土づくりのための治水政策のあり方について」は、冗長・総花的で本意を把握しにくいものの、「各河川の個性を活かした治水政策」「既存治水施設の信頼性の向上」という表現で、「洪水は溢れることもある」「破堤しないように堤防を補強する」ということを暗に示唆している。誤解でなければ、洪水を安全に流下させるという全国画一的な治水政策からの大転換である・

 ・このような重点施策を打ち出しながらも、成果が挙がっていない。本気で取り組もうとしていないからである。

 ・河川法改正により環境が法目的に加えられたが、環境・治水・利水を「総合して」とか「調整をはかり」というだけで、治水と利水とくに治水が中心であることは豪も変わっていない。

 ・これでは、治水や利水の安全度が高くなっても、環境の悪化を止めることができない。

④いまの治水は「基本高水を河道とダムに配分する」ことを基本方針としているが、つぎのような基本的欠陥がある。

 ・計画規模を超える洪水(超過洪水)への配慮がない。高規格堤防は抜本的な解決策になっていない。

 ・治水の一翼を担うダムは、機能が限定的なうえ、自然・社会環境を破壊し、批判も大きく、完成の目途が立たないことが多い。

 ・治水の最前線である堤防は、手近の土砂を盛上げただけのものが多く、越水すればもちろん侵食や浸透などでも容易に破堤する。

 ・計画高水流量が机上の計画通り配分されるとは限らない。

⑤これまでの利水は、高度経済成長時代の右肩上がりの水需要予測に基づいて、ひたすら水資源の開発に努めてきた。いま、水需要は漸減傾向にあり、新たな水資源開発はほとんど不要 となっているが、少雨化傾向や異常渇水を理由に、水資源開発への意欲は衰えていない。

3-2 河川整備計画のあり方

①河川法が改正されて河川環境の整備と保全が河川管理の対象に加えられたが、いまだに治水と利水が中心であって、環境は「配慮」に留められている。これからの河川整備では、環境を中心として考えるべきである。

 ・治水や利水は本質的になんらかの環境破壊をもたらす。

 ・環境は、破壊されても、ある限度内であれば、回復・持続する。

 ・保全すべき環境は河川あるいは地域によって異なるので、それぞれで保全目標を設定すべきである。

 ・治水や利水は環境の保全限度内で行うべきである。

 ・必要とする治水や利水が、河川のみで解決しようとすると環境の保全限度を超える場合、流域での解決など別の方法を併用すべきである。

 ・安易な多自然型川づくりやミティゲーションは本質的な河川環境の整備と保全にはつながらない。

②水害をなくすことは治水の願望である。しかし、これは現実には不可能なので、いかなる大洪水でも壊滅的な被害は免れるようにすることを治水の目標とすべきである。

 ・河川対応による治水安全度の確保は環境保全という制約を受ける。ある程度以上の環境破壊は許されないことをつねに意識しなければならない。治水のためなら環境を破壊してもいいと考えるのは誤りである。

 ・河川対応だけで目標とする治水安全度を確保できない場合は流域対応を併用すべきである。

 ・流域対応とは流域で実施する施策の総称であって、森林保全・防災調節池などによる雨水流出の抑制、土地利用の規制・建物耐水化・連続構造物の2線堤化などによる氾濫原の管理、警戒避難体制の確立・水害保険などの危機管理が含まれる。

 ・かつては常套的に用いられ、いまも密かに採用されている危機管理、すなわち、左右岸の治水安全度に格差を設ける「裏技」、万一の場合の人為的に破堤させる「禁じ手」も検討・ 実施の対象にすべきである。

 ・人的被害を防止することは避難対策を充実させることで容易に実現できるので、避難対策は、他の治水施策とは関係なく、即刻、充実に努めるべきである。

 ・壊滅的被害をもたらす最大の原因は破堤である。したがって、堤防が越水・侵食・浸透・地震などによって破堤しないように補強することが最優先課題である。

 ・高規格堤防は、有効であるが、長い時間と莫大な経費を要するので、新たな堤防補強工法の開発・実施が必要である。

3-3 利根川流域市民委員会への期待

 利根川流域市民委員会がなにを目指しているのか詳しくは知らないが、私的な希望を示す。

①批判から提案へ

 ・河川管理者をいくら批判してもどうしようもない。むなしくなるだけである。

 ・有効で実行可能ないい提案をすれば、取り上げられる可能性があると信じて、いい提案をしよう。

 ・河川管理者は本質的には優秀な頭脳集団であり、良心も持ち合わせている。善意を信じよう。

②適度な緊張感のもとでの協調を

 ・河川管理者・委員会委員・一般住民は、互いに緊張感がありすぎては対話ができない。なさすぎると癒着になる。

         利根川流域市民委員会は、河川管理者が感心するほどの整備計画原案をつくってみてはどうだろう。もちろんゼロからつくるのは大変であるから、河川管理者案を修正すればいい。

③自主的な活動の継続を

 ・市民委員会の意見を広く世間に公表しよう。

 ・決して諦めずに、活動を継続使用。

追記

「第4の次代」の扉を開こう

 ・淀川水系流域委員会は、これまでの河川整備の理念を根底から変える「第4の次代」の扉

  を開く意気込みで、審議に取り組んできた。

 ・利根川からも「新たな川づくり」を目指して、提言をしてほしい。

水害で人を死なせない

 ・水害は数時間から数分まえに確実に予知できる。

 ・いざというときに、死ななくていいように、数分でできることを考えておこう。

 ・これは行政の最低限の義務でもある。

 ・「シビル・ミニマム」ならぬ「ハザード・ミニマム」である。

 ・住民にとっての基本的治水権といってもいい。

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