2016年7月28日 (木)

ウナギが生きる川を取り戻す~ウナギと河川環境の問題を考えるシンポジウム~2016.9.11

 ニホンウナギが2014年6月に国際自然保護連合により、絶滅危惧種に指定されました。
 ウナギ漁獲量の減少はすさまじいものがあります。とりわけ、霞ケ 浦を含む利根川は、かつて日本で最大のウナギ漁獲量がありましたが、今は激減 しています。
 ニホンウナギが激減した要因はシラスウナギの乱獲だけでなく、様々な河川工作物や河川工事により、ウナギの遡上・降下が妨げられ、ウナギの生息場(エサ 場、隠れ場所)が失われてきたことも大きな要因と考えられます。
 そこで、ウナギが生息できる河川環境を取り戻すため、ウナギに関する第一線の研究者にご登壇いただき、今後の河川のあり方を市民とともに考えるシンポジウムを開催します。

 ◆日時 2016年9月11日(日) 
       午後1時30分~4時30分 
(開場 午後1時)
 
 ◆場所 全水道会館4階 大会議室
     東京都文京区本郷1-4-1 電話 03-3816-4196 
     JR水道橋駅東口3分、都営地下鉄水道橋駅A1出口1分 

 ◆主催 利根川流域市民委員会  
  協力 patagonia 日本支社

 資料代 500円

<プログラム>                             
〇 利根川流域市民委員会                   
「利根川の未来を考えるカムバック・ウナギ・プロジェクトへの取り組み」報告

第一部 講演 海部健三氏
  「ウナギ:河川環境の保全と回復へ向けたシンボルとしての可能性」 
(中央大学准教授、IUCN(国際自然保護連合)種の保存委員会ウナギ属魚類専門家グループメンバー)
 
第二部 パネルディスカッション 
「ウナギが生息できる河川環境を取り戻すには?」

 <パネリスト>
○ 海部健三氏

○ 二平 章氏 「ウナギ資源の減少と河口堰建設」
(茨城大学人文学部市民共創教育研究センター客員研究員、北日本漁業経済学会会長)    

〇 浜田篤信氏 「霞ケ浦がウナギを救う」
(NPO霞ケ浦アカデミー、元・茨城県内水面水産試験場長)

〇 コーディネーター 利根川流域市民委員会 和波一夫
(元・東京都環境科学研究所研究員)

《登壇者のプロフィール》

海部健三(かいふ けんぞう)氏  
 1973年生まれ。
 1998年 一橋大学社会学部卒業.。社会人生活を経て、
 2011年 東京大学大学院農学生命科学研究科水圏生物科学専攻博士課程修了。 農学博士。
 2011年 東京大学農学生命科学研究科 特任助教。2016年より現職.。
(「ウナギの保全生態学」 海部建三著 共同出版)

二平 章(にひら あきら)氏  
 1948年生まれ。北海道大学水産学部卒業後、
 茨城県水産試験場で長く研究員生活。 東京水産大学非常勤講師、立教大学兼任講師などを歴任。
 全国沿岸漁民連絡協議会・事務局長。農学博士、技術士(水産)。

浜田篤信(はまだ あつのぶ)氏 
 1936年生まれ。
 1962年 東北大学農学部水産学科修士課程修了、同海洋学研究室助手を経て、1964年から茨城県農林水産部勤務。
 1996年 茨城県内水面水産試験場長を最後に茨城県を退職。
 2007年 NPO法人霞ヶ浦アカデミーを設立、農学博士。

<連絡先> 利根川流域市民委員会事務局(深澤)
 電話&FAX 042-341-7524 bbjaga★jcom.home.ne.jp(★=@)
 
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2015年7月20日 (月)

霞ヶ浦導水事業差止め裁判 原告団/弁護団 声明

7月17日に、水戸地裁で那珂川流域の漁協が霞ケ浦導水事業の工事差し止めを求めた裁判の判決がありました。原告および弁護団が発した声明を許可を得て以下に転載します。


原告団声明

 2009年3月に那珂川水系5漁協が原告となって提起した霞ヶ浦導水差止め裁判は、5年9ヶ月の長きにわたる裁判闘争の末結審し、本日、水戸地方裁判所で原告らの訴えを退ける判決が言い渡された。
 導水事業で那珂川の漁業資源が損なわれるという私たち漁業者の主張を受け入れなかった水戸地裁の不当判決に、私たちは満身の怒りを込めて抗議する。そして、この判決が、事業を推進する国とともに、歴史によって裁かれる日が必ず来ることを私たちは確信する。
 那珂川は、先祖代々にわたり栃木・茨城の流域に恵みをもたらしてくれる母なる川であり、この豊かな川を孫子の代まで変わらない姿で残したいという思いが私たちの原動力である。こうした私たちの思いは、広く市民の共感を得ており、今後もより一層の支援が広がっていくことであろう。
 私たちは、これまでの皆様のご支援に深く感謝しつつ、不当判決に負けることなく、最後の勝利まで戦い抜く決意である。

                  2015年7月17日
霞ヶ浦導水事業差止め裁判原告団一同

弁護団声明

 本日、霞ヶ浦導水差止め裁判で、水戸地方裁判所は原告らの訴えを棄却する不当判決を言い渡した。
 本判決は、漁業者を無視して進められる何の利益もない無駄な公共事業を司法が追認したもので、水戸地裁には無駄な事業から内水面漁業を守ろうという勇気の一片もないことが明らかとなった。行政追随の水戸地裁に厳しく抗議するものである。
 同時に、こうした不当判決を前にしても、長年にわたり団結を維持し、裁判勝利のために奮闘した、原告ら那珂川関係漁協の組合長をはじめとする関係者の努力に対する評価は揺らぐものではなく、弁護団からも心からの賛辞を送りたい。また、原告らの裁判闘争に有形無形のご支援をいただいた評価委員の専門家各位、市民団体・個人のみなさんの多大なご支援にも心より御礼を申し上げる。
 そもそも霞ヶ浦導水事業は、事業の効果も必要性もない無駄な事業である。一審の審理で、国側の専門家証人は「幾ら導水が頑張っても、水質を改善することはできない」と証言するなど、導水事業が霞ヶ浦浄化に役立たないことが明らかになった。また、国土交通省の小島証人の尋問では、国土交通省が関東各都県で水余りの現状にあることを無視していることが明らかとなり、水需要が増加する要因をただの1つもあげることができなかった。
 他方、導水事業では、アユ・シジミを始めとする漁業資源が被害を受ける。国が取水停止しない12月以降にも少なくないアユの仔魚が降下しており、これらが吸い込まれればアユ資源に重大な影響がもたらされると考えられること、導水事業の取水により涸沼が高塩分化・貧酸素化し、涸沼のシジミの生息環境を悪化させると考えられること、こうした懸念は証拠上十分に裏付けられた。
 弁護団は、国が一審での原告らの主張内容を真摯に検討し、ただちに導水事業を中止することを強く求める。また、導水事業を推進する立場に立つ地元自治体が、真に地域住民の利益を守る観点から、推進姿勢を転換するよう求める。
 弁護団としては、このたびの不当判決に屈せず、控訴審で必ずや勝利するために全力を尽くす決意である。

                  2015年7月17日
霞ヶ浦導水事業差止め裁判弁護団


2015年3月20日 (金)

うなぎアンケートに是非ご協力を!

利根川水系にもう一度ウナギを呼び戻そう!

 利根川水系はかつて天然ウナギの全国有数の産地でした。ウナギは少し前まで、身近な水辺にたくさん生息していた生き物です。捕まえて夕飯のおかずに、そんな光景も当たり前でした。しかし今、ウナギは世界的に絶滅が心配されています。利根川水系も例外ではありません。

 そこで、ウナギを流域に呼び戻し、豊かな自然を取り戻すための『カムバックウナギプロジェクト』を企画しました。

 その第一歩がこのアンケート調査です。この調査でウナギ減少の原因が分かれば、たくさんのウナギを呼び戻すこともできるはずです。そして天然ウナギで漁業や地域経済の活性化、水辺文化の再生にも期待できます。

 利根川水系のかつての豊かな自然と文化を取り戻すために、どうぞご協力をお願い致します。

●アンケートにご協力下さる方は、以下からダウンロードして、印刷して下さい。
「tonegawa_unagi.pdf」をダウンロード

第二次締め切り 2015年3月末

※ このアンケー卜は、支流を含む利根川水系に関するアンケートです。
 ご自身やお知り合いの方に書き込んでいただいた、または聞き取っていただいたアンケートは、下記あて、郵送かFAX、メールでご送付下さい。

利根川流域市民委員会 深澤洋子(事務局)
187-0001 東京都小平市大沼町7-5-4  
T/F 042-341-7524
bbjaga★jcom.home.ne.jp(★は@)

2014年7月16日 (水)

沖大幹氏講演会「水危機 本当の話」

沖大幹氏講演会「水危機 本当の話」
2014年7月26日、東京・水道橋

日本の水政策のキーパーソン 沖 大幹氏 講演会のお知らせ

 今後は気候変動が激しくなり、渇水も大洪水も増えてしまう。だからダムやスーパー堤防が必要‥ ほんとうでしょうか? 
 海外では砂漠化が進行し、水不足が深刻化すると言われていますが、日本でもそうなのでしょうか? 
 沖大幹教授は水文学の第一人者であり、国交省の数々の審議会の座長や委員を務めてこられました。まずは日本の水の実態や、水政策の方向性についてじっくりお話を伺います。続けて、市民運動の理論的支柱である嶋津暉之さんから質問をお出しし、さらに問題点を掘り下げます。
 まもなく縮小社会に入り、財政再建が急務とされる日本ですが、一方で、アベノミクスによる公共事業への投資がふくれあがっています。河川行政も例外ではありません。重要な岐路における重要な議論、ぜひお見逃しなく!

◆日時:2014年7月26日(土) 13:30〜16:00

◆会場:全水道会館 4F 大会議室 
(JR水道橋駅東口より徒歩3分、都営地下鉄三田線水道橋駅 A1出口より徒歩1分 1Fがニューヨークカフェになっているビルです。) 地図はこちら↓
 http://www.nijou.jp/page108.html

◎参加費 500円

 沖 大幹 氏(東京大学教授) 講演

 対談 沖大幹氏 × 嶋津暉之氏
          (八ッ場ダムをストップさせる市民連絡会共同代表、水源連共同代表)

 登壇者プロフィール

●沖大幹 氏 1964 年生まれ。2006 年より東京大学生産技術研究所教授。著書に『水危機 ほんとうの話』(2012 年、新潮選書)、『東大教授』(2014 年、新潮新書)など。第16 回生態学琵琶湖賞など受賞多数。国土審議会水資源開発分科会調査企画部会座長、中央環境審議
会専門委員ほかを歴任。

●嶋津暉之 氏 1943 年生まれ。2004 年まで東京都環境科学研究所勤務。著書に『水問題原論(1999 年、北斗出版)、『八ッ場ダム――過去、現在、そして未来』(共著、2011 年、岩波書店)など。水源連共同代表の他、「八ッ場ダムをストップさせる市民連絡会」代表なども務める。八ッ場ダムをはじめ、全国のダム建設問題について技術的解析を行っている。

共催:八ッ場ダムをストップさせる市民連絡会、八ッ場あしたの会、水源開発問題全国連絡会、利根川流域市民委員会

後援:水情報センター

2013年5月17日 (金)

利根川・江戸川河川整備計画(案)の再策定を求める抗議文

利根川流域市民委員会は国土交通省関東地方整備局が4月24日に公表した拙速な利根川・江戸川河川整備計画(案)の再策定を求める抗議文を国土交通大臣に提出しました。

2013年5月13日
国土交通大臣
  太田 昭宏 様
国土交通省関東地方整備局長
  森北 佳昭 様

 利根川流域市民委員会
  共同代表 佐野郷美(利根川江戸川流域ネットワーク)
  嶋津暉之(水源開発問題全国連絡会)
  浜田篤信(霞ヶ浦導水事業を考える県民会議)
連絡先 事務局(深澤洋子)TEL&FAX 042-341-7524
                

利根川・江戸川河川整備計画(案)の拙速な公表に抗議するとともに利根川流域住民の安全を本当に確保できる計画(案)の再作成を求める 

国土交通省関東地方整備局は4月24日に利根川・江戸川河川整備計画(案)を公表しました。原案の変更点、変更の理由、出された意見の扱いについて利根川・江戸川有識者会議で審議することも、流域住民に説明する機会もなく、関東地方整備局は説明責任をまったく果たさないまま、計画(案)を一方的に公表しました。今回の一方的な公表は「行政運営の透明性の向上を図るとともに、政府の諸活動を国民に説明する責務が全うされるものとすること」とする政府の基本方針を規定する中央省庁等改革基本法第4条第7号に違反しています、

公表された計画(案)は文言等の加筆が多少あるものの、利根川・江戸川河川整備計画(原案)と基本的に変わっていません。利根川・江戸川河川整備計画(原案)について利根川・江戸川有識者会議、公聴会、パブリックコメントで提起された数多くの基本的な疑問に答えることなく、公聴会およびパブリックコメントで示された圧倒的多数意見を無視したものです。

2006年12月の利根川・江戸川有識者会議で関東地方整備局が言明した約束「原案を修正して再度意見をきき、それを繰り返して計画案を作成していく」を反故にして、今回、関東地方整備局が問答無用と言わんばかりに計画(案)を公表したことに私たちは強い憤りを覚えます。

計画(原案)への公聴会およびパブリックコメントで示された圧倒的多数意見を関東地方整備局が無視したことは下記の1に、計画(原案)への意見に対する関東地方整備局の回答が基本的な疑問への回答になっていないことは下記の2に示すとおりです。

このようにまさしく強権的に利根川・江戸川河川整備計画の策定を進める国土交通大臣および関東地方整備局長に対して私たちは心底から抗議します。

同時に私たちは、下記の3のとおり、利根川流域住民の安全を本当に確保でき、自然をできるだけ取り戻す利根川河川整備計画(案)の再作成を求めます。

                記
1 パブリックコメントおよび公聴会で示された圧倒的多数意見を無視
計画(原案)について行われた公聴会およびパブリックコメントで出された意見を整理してみました。別紙1、2のとおりです。原案に対して反対、賛成を集計すると、次のようになります。
「besshi12013.5.13).pdf」をダウンロード
「besshi2013.5.13).pdf」をダウンロード
公聴会  公述人 32人
 原案に反対 28人(88%)   原案に賛成 3人(9%)   その他 1人 (3%)

パブリックコメント 157通
 原案に反対 132通(84%)   原案に賛成 21通(13%)  その他 4 通 (3%)

原案に対して反対の意見の割合は公聴会では88%、パブリックコメントでは84%にもなっており、出された意見の圧倒的多数が利根川・江戸川河川整備計画(原案)に対して反対の意思を示しています。

ところが、関東地方整備局はこのように圧倒的多数で示された民意を顧みることなく、その民意を無視して計画(原案)とほぼ同じ内容の計画(案)を発表しました。これでは、何のために公聴会を開き、パブリックコメントを行ったのか、分かりません。公聴会およびパブリックコメントで提出された意見を十分に考慮しないことは、行政手続法第42条に違反します。

1997年の河川法改正に当たり、関係住民の意見反映について当時の尾田栄章河川局長は下記の議事録のとおり、国会の質疑で「河川管理者は河川整備計画に関係住民の意見を反映させる責務がある」と答弁しました。関係住民の意見を河川整備計画に反映させることは河川法改正の本旨であったはずです。関東地方整備局がこの河川性法改正の本旨を無視することは許されません。

「衆議院建設委員会-12号 平成9年5月9日
○尾田政府委員 先生御指摘のとおり、言いっ放し、聞きっ放しというのでは全く意味がないというふうに考えておりまして、具体の河川整備計画の案を策定する段階で、十二分に案を策定するために、案の案、原案の案、そういう意味では原案でございますが、これを御提示をいたしまして、それについて御意見をいただく、その上で必要なものについては修正をするという形で考えておりますので、まさにその河川整備計画に関係住民の皆さん方の意向が反映をしていくというふうに考えております。」

2 計画(原案)に対する疑問に何も答えていない
関東地方整備局は河川整備計画(案)とともに、計画(原案)への意見に対する同局の考え方(回答)を示しましたが、そのほとんどは同局の従前からの説明を繰り返しているだけであり、まともな回答は皆無であると言っても過言ではありません。回答は問題提起をはぐらかすことに終始し、利根川・江戸川河川整備計画(原案)の根本的な欠陥は何も解消されていません。

主な論点について出された意見と関東地方整備局の回答、およびその回答の問題点を別紙3に整理しましたので、真摯に受け止めてほしいと思います。

「besshi32013.5.13).pdf」をダウンロード

その要点を箇条書きすれば、次のとおりです。

① 流域住民にとってきわめて重要な意味を持つ利根川の河川整備計画を全国の一級水系では例がない本川だけという異常な形で拙速に策定しようとしていることについて、関東地方整備局はその理由を何も説明していない。その真の理由は、八ッ場ダム本体工事を早期に着手するために、強引に同ダム事業を河川整備計画に位置づけようとしているとしか考えられない。

② 関東地方整備局は整備計画(原案)の治水目標流量(八斗島)を従前の案15,000㎥/秒程度から17,000㎥/秒へ独断で引き上げた理由についても何も答えてない。この引き上げもこうすることにより、八ッ場ダム事業を河川整備計画に必要な事業として位置づけやすくしたと考えられる。

③ 整備計画(原案)の治水目標流量を算出した洪水流出モデルは科学的な根拠が希薄で、17,000㎥/秒が過大な値であることは有識者会議で何度も指摘された。この問題について今回の回答は従前の説明を繰り返しているだけで、疑問は何ら払拭されていない。1/70~1/80に相当する治水目標流量は正しくは15,000㎥/秒以下である。

④ 円山川水系河川整備計画は水系の各所で自然を回復するための具体的な対策が図入りで示されている。それに比べると、利根川・江戸川河川整備計画(案)はそのような記載がなく、自然に対する姿勢や生物多様性保全に向けた施策に雲泥の差がある。円山川のように自然に対して畏敬の念を持って、開発事業で失われた自然の回復や生物多様性の保全を図るという精神が今の関東地方整備局には欠如していると言わざるを得ない。

⑤ 回答は計画(原案)について「現在の予算規模の状況などを考慮し、実現可能性を確認している」と述べてい
るが、今後は今までの時代とは異なり、新たな社会資本投資が次第に困難になっていく時代であるから、従前どおりに予算を確保することは到底無理である。まして、河川整備計画の事業費は国交省が示す約8,600億円よりはるかに大きな金額になることは必至なのであるから、計画(案)に示された事業メニューは実現性のない絵に描いた餅に過ぎない。
⑥ 計画(案)は総花的であって、流域住民の安全をできるだけ早く確保するための治水対策を厳選して河川予算を集中的に投じようとする方針がまったく見えない。喫緊の対策である脆弱な堤防の強化対策、ゲリラ豪雨による内水氾濫への対策、想定を超える洪水への対策に河川予算を集中して投じるように河川行政を変えていかなければ、利根川流域住民は氾濫の危険性がある状態に放置されてしまうことになる。予算を低く抑え、同時に工期も短く、効率よく治水機能を発揮できる新たな堤防強化対策が急がれている。
⑥ 超過洪水対策について回答で示しているのは、「自助・共助・公助の精神のもと、被害の最小化を図る」という言葉だけで、一方で、高規格堤防以外の「耐越水堤防」技術を否定している。高規格堤防の整備は全く現実性のないものであるから、結局、今回の河川整備計画(案)には超過洪水対策について具体的な対策が何も盛り込まれていない。今後30年間、仮に計画どおりに河川整備が実施されても、想定を超える洪水による壊滅的な被害発生の可能性は依然として残されてしまうことになる。

3 利根川流域住民の安全を本当に確保でき、自然を取り戻す利根川河川整備計画の再作成を求める
上記のとおり、利根川・江戸川河川整備計画(案)は八ッ場ダム本体工事を早期に着手するため、本川だけの計画が拙速でつくられたものであり、利根川流域住民の安全を本当に確保する内容になっていません。巨額の河川予算を利根川に投じ続けて数多くの河川事業を推進することを自己目的化した計画であり、今後は新たな社会資本投資が先細りせざるを得ない時代になることを踏まえれば、いずれ近いうちに暗礁に乗り上げてしまうことが必至です。また、円山川水系河川整備計画のように過去の開発事業で失われた自然を取り戻す視点のない計画であり、生物多様性国家戦略が国を挙げて進められている状況の中で、治水だけにシフトした、旧態依然とした計画であると断じざるを得ません。

私たちはこのように欠陥だらけの利根川・江戸川河川整備計画が罷り通るのを看過することができません。利根川流域住民の安全を確保できる治水対策を厳選してそこに河川予算を集中的に投じる河川整備計画、失われた利根川の自然をできるだけ取り戻す方策を盛り込んだ河川整備計画の策定を強く求めます。

関東地方整備局は関係都県知事からの意見を受けた後、利根川・江戸川河川整備計画を策定するでしょうが、河川整備計画は一度策定されてしまうと、それで終わりということではありません。

 河川法改正直後の建設省通達〔注〕には「地域の意向等を適切に反映できるよう、適宜その内容について点検を行い、必要に応じて変更するものである」と書かれており、私たちはあるべき利根川水系河川整備計画の市民案を提案して、利根川河川整備計画の再作成を求めていきます。

〔注〕「河川法の一部を改正する法律等の運用について(建設省の通達 平成10年1月23日)
2 河川整備計画の策定について 5) 河川整備計画の変更について
   河川整備計画は、流域の社会情勢の変化や地域の意向等を適切に反映できるよう、適宜その内容について点検を行い、必要に応じて変更するものであること。」
関東地方整備局は多摩川や鶴見川の河川整備計画を策定する際には、流域セミナーや流域懇談会を何度となく開催するなど、流域住民・関係者との合意形成を重視してきました。その結果、両河川は流域住民を主人公にした河川管理が現在も受け継がれています。流域住民に近い川として愛されていることは関東地方整備局がよく知るところです。

利根川水系河川整備計画の策定においても、流域住民・関係者と河川管理者との合意形成を根底におくことを強く求めます。

                                      以上


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